ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

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第5章 外国編

新たな襲撃4

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 3人目の敵が物音に気付いて様子を見に来た。そこに現れたのは気絶したはずの二人目の男だった。

「さっきの物音は何だ? 何かあったのか?」
「いや、問題はない。そっちはどんな感じだ」
「こっちも特に問題はない。作戦開始まであと5分だ、配置に戻るぞ」
「了解」

 3人目の男が戻ろうとした時だった。後ろから二人目の姿に変装したローグに、一人目の男がされたように絞められてそのまま、

「【外道魔法】!」

ビリビリビリビリビリビリビリビリ!

「~~~~~~~~っ!?」

ドサッ

(更に3人目)

 この後、4人目も同じ手口で倒したのだが、この時にミーラがあることに気付いた。

「ローグ、5人目の人の気配が遠ざかっていくんだけど」
「!? 気付かれたか!」




 5人目の男は駆け出していた。宿から離れるためにだ。

(くそ! 予想以上じゃないか!)

 実はこの男は他の4人とは違い、ローグ達の実力を測るための諜報役でしかなかったのだ。他の4人と敵対者の戦いを見て情報を持ち帰ることが使命であり、戦闘のために来たわけではなかったのだ。

 そんな5人目の彼が見た限りでは、あっという間に戦いが終わっていた。それどころか戦いですらなっていないともいえるだろう。ローグ・ナイト、この少年はあまりにも強すぎる。下手をすれば自分の位置も把握されてる可能性が高い。一刻も早くここから離脱して情報を持ち帰らなければならない。そう感じて、全力で逃走を図ったのだ。

 彼は諜報役というだけあって逃走能力に秀でた男だった。すでに宿が見えないところまで走っている。既に辺りは暗くなっているのだ、絶対に捕まるはずがないと思い込んでいた。たとえ相手が優れた魔法持ちであったとしてもだ。

 だが、彼は見誤っていた。敵はローグ・ナイトだけではないのだ。

「(ゾクッ)……!?」

 強い悪寒が彼の全身に走った。嫌な予感がしたせいで反射的に後ろを振り返ってしまった。振り返った先には何もなかったが、その時に前から強い衝撃が襲ってきた。

ドンッ

「ぐはっ!? な、何……?」
「よお」
「んな!? お、お前は!?」

 彼は前方から殴られたのだ。背中に少女がくっついた状態のローグ・ナイトに殴られた。その事実を理解した時、彼は激しく動揺した。いつの間にか追い抜かれて先回りされていたことになる。もう訳が分からなかった。

「な、何で!? 何でだよ! さっきまで……」
「知る必要は、ない!」

 狼狽する5人目をローグは容赦なく殴り倒した。これで5人全員が倒されたのだ。

「よくやったミーラ」
「そ、そんな、えへへへへ……」

 珍しくミーラを褒めるローグ。ミーラは褒めてもらって喜んでいる。それもそのはずだ。いくらローグでも、逃走能力に秀でた相手を一人で捕まえられるはずがない。そこでミーラに正確な位置を感知してもらって、都合よく追いついたということだ。ミーラを背負っていたのもそのためだった。

 この後二人は、5人目を縛り上げて宿の裏に戻った。ローグは5人組全員をひとまとめにして、ミーラはリオルを呼びに行った。
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