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第5章 外国編

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 やがてリオルは落ち着きを取り戻し、気まずそうな顔でローグを見る。

「……すまん、取り乱してしまった」
「仕方がないんじゃないか? とんでもない事実なんだから、むしろ反応のないほうが怖い」
「そうか……それもそうだな……」
「十分落ち着いたようだな」
「ああ、まあ……それにしても、大掛かりな魔術だと、それはどんなものなんだ?」

 リオルは今度は落ち着いた様子で聞いてくる。魔法について気になる様子だと、よほど魔法を嫌っていた節がある。ローグは事実だけを言う。

「悪いが、俺でも王国がどこでどれくらいの魔術を使ってるなんて詳しいことまでは分かってないんだよ。元は村人だしな」
「ではどのようにして魔法の真実を知ったというんだ? 元村人がそうやすやすと知れる類の情報ではないはずだが?」
「……俺達が襲撃した場所はどこだかもう忘れたのか、第一皇女様?」
「何? どこって魔法協会だろ?」
「その通り、魔法の研究機関だ。王国の魔法や魔術に関する記録がすべてそこにあると言ってもいい。その記録は襲撃した俺達が閲覧できるとは思わないか?」
「……そういうことか!」
「そういうことだ」

 リオルは嘘を言ってはいないことを確認して納得した。自己解釈で。

(うまく嘘を言わずに嘘をつけたな)

 ローグは事実を言ったが、決してリオルの想像するようなことではなかった。王国の魔法と魔術の記録が気になって、魔法協会トップの二人を尋問する前に研究記録をある程度見たのは事実だ。ただ、あくまでもある程度に過ぎない。ローグの前世の記憶に比べれば大したものではなかったのだ。それをリオルは知らない。

「……ふう、とんでもない話を聞いてしまったな」
「帝国にとってはプラスになるだろう?」
「そうだな。私達が今までどんな連中と戦ってきたことが分かって本当によかったと思っている。怒りが増したがな」
「……少し休憩しないか。俺の話は後は首謀者が俺だとバレて帝国に逃げたってことだけだからさ」
「そうだな。だが、そんな話でも帝国にとっては貴重な情報源だ。それを聞かせてもらってから休憩に入ろう」
「……分かった。あの後、俺達は暴動中の魔法協会を見ていたんだが、そこでとんでもない事態が起こってしまったんだ」
「とんでもない事態? 今度は何が起こったんだ?」
「それは……」

 ローグは騒動の後のことを話した。

 魔法協会から魔物が出現したこと。
 魔法協会トップの二人が魔物のエサになったこと。
 外町が住人ごと焼かれたこと。
 ルドガーという仲間を失ったこと。
 騎士団の追手を逃れて帝国に来たこと。

 全てを話した。それから、リオルから細かい質問をされたが前世のことに触れないようにうまく答えた。

「……随分濃い内容を聞かされたな」
「聞きたいと言ったのはあんただろ?」
「帝国のためだからな……」

 休憩に入ったのはその後だ。

 ついでに、休憩の後はリオルの話を聞くことも決まった。

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