110 / 252
第4章 因縁編
3種の合成生物
しおりを挟む
無事、カマキリの魔物を倒したローグは、次に自分はどうすべきか考え始めた。
(こいつは結構強いほうの魔物のはずだ。王都の外からわざわざ魔法協会に運ぶメリットが無いのは間違いない。となると……)
「ローグ!」
「へ? うわっ!?」
突如、ミーラがローグに抱き着いてきた。突然のことでローグは驚いて考えていたことが頭から飛んでしまった。更にルドガーも近くに控えていた。どうやら、カマキリの魔物を倒した時点で二人はそばに来ていたようだ。
「な、何すんだよ、いきなり」
「だって、ローグだって、いきなり一人で戦いだしたじゃない! 心配したのよ! ルドガーさんは大丈夫だなんて言うし!」
「大丈夫に決まってんだろ。その坊主がどれほど強いかなんて、嬢ちゃんが一番よく知ってるはずだろ?」
「う、そうですけど、これとそれとは話が別です!」
「どう別なんだよ……ん?」
ローグは魔法協会のほうから血の匂いがしてくるのに気づいた。扉の内側もよく見れば血まみれになっている。
(さては、魔物はこいつだけじゃないな。となると……)
「ねえ? どうかしたの?」
「何か気になることでもあるのか?」
再び考え事を始めたローグに二人が声を掛けてくる。……その時だった!
「ウォルルルルルルルルルルルルゥッ!」
「「「っ!?」」」
突然、魔物の唸り声が響いてきた。魔法協会の奥から聞こえてきたそれは徐々に近づいてくる。つまり、
「二人とも! ここから離れろ!」
「分かった!」
「え? きゃあ!?」
ローグが二人に指示を出し、すぐに意味を理解したルドガーがミーラを手を引いて、物陰に隠れた。その一方でローグは魔法を発動する。
「【外道魔法・怠惰】『拒絶の壁』!」
ローグの目の前に赤紫色の光の壁が出現した。『堕落の壁』に似ているが、その厚さは『堕落の壁』に比べて薄い。だが、その効果の違いは……
「ウォルルルルルル!」
「来たか!」
「ウォルルルゥアアアッ!」
バキンッ!
「ウォオオッ!?」
唸り声の主と思われる魔物がローグに向かって噛みつこうとしてきたが、『拒絶の壁』に触れた瞬間に派手に弾かれた。
魔物が弾かれたのは、『拒絶の壁』の効果だった。『拒絶の壁』は攻撃を跳ね返すことができる効果がある。『堕落の壁』に比べると、魔力の消費は高いが攻撃にも利用できるのだ。
ローグは襲ってきた魔物を見てみた。魔物は全長3メートルほどある狼型。全身は緑色の固い鱗に覆われて、鋭い爪と牙を持っている。顔に8っつの真っ赤な目があり、口は従来の狼よりも少し長い。明らかに合成生物……迷宮の魔物だ。
(あの特徴……トリニティウルフか! そんな! こんな奴までこの時代まで生き残っていたのか!)
トリニティウルフとは、旧世界の合成生物実験で作られたものの中で、三つの生物を組み合わせた合成生物のことだ。その種類は、狼と蜘蛛と鰐。つまり、肉食生物をかけ合わせて作られた。このトリニティウルフは、生まれた時も成長した後も非常に狂暴で、特に人間に対しては攻撃性を示した。そのため多数の犠牲者を出し、殺処分か迷宮に封じられた。
「そいつが、遂に俺の目の前に現れるとはな」
「ウォルルルルルル!」
(こいつは結構強いほうの魔物のはずだ。王都の外からわざわざ魔法協会に運ぶメリットが無いのは間違いない。となると……)
「ローグ!」
「へ? うわっ!?」
突如、ミーラがローグに抱き着いてきた。突然のことでローグは驚いて考えていたことが頭から飛んでしまった。更にルドガーも近くに控えていた。どうやら、カマキリの魔物を倒した時点で二人はそばに来ていたようだ。
「な、何すんだよ、いきなり」
「だって、ローグだって、いきなり一人で戦いだしたじゃない! 心配したのよ! ルドガーさんは大丈夫だなんて言うし!」
「大丈夫に決まってんだろ。その坊主がどれほど強いかなんて、嬢ちゃんが一番よく知ってるはずだろ?」
「う、そうですけど、これとそれとは話が別です!」
「どう別なんだよ……ん?」
ローグは魔法協会のほうから血の匂いがしてくるのに気づいた。扉の内側もよく見れば血まみれになっている。
(さては、魔物はこいつだけじゃないな。となると……)
「ねえ? どうかしたの?」
「何か気になることでもあるのか?」
再び考え事を始めたローグに二人が声を掛けてくる。……その時だった!
「ウォルルルルルルルルルルルルゥッ!」
「「「っ!?」」」
突然、魔物の唸り声が響いてきた。魔法協会の奥から聞こえてきたそれは徐々に近づいてくる。つまり、
「二人とも! ここから離れろ!」
「分かった!」
「え? きゃあ!?」
ローグが二人に指示を出し、すぐに意味を理解したルドガーがミーラを手を引いて、物陰に隠れた。その一方でローグは魔法を発動する。
「【外道魔法・怠惰】『拒絶の壁』!」
ローグの目の前に赤紫色の光の壁が出現した。『堕落の壁』に似ているが、その厚さは『堕落の壁』に比べて薄い。だが、その効果の違いは……
「ウォルルルルルル!」
「来たか!」
「ウォルルルゥアアアッ!」
バキンッ!
「ウォオオッ!?」
唸り声の主と思われる魔物がローグに向かって噛みつこうとしてきたが、『拒絶の壁』に触れた瞬間に派手に弾かれた。
魔物が弾かれたのは、『拒絶の壁』の効果だった。『拒絶の壁』は攻撃を跳ね返すことができる効果がある。『堕落の壁』に比べると、魔力の消費は高いが攻撃にも利用できるのだ。
ローグは襲ってきた魔物を見てみた。魔物は全長3メートルほどある狼型。全身は緑色の固い鱗に覆われて、鋭い爪と牙を持っている。顔に8っつの真っ赤な目があり、口は従来の狼よりも少し長い。明らかに合成生物……迷宮の魔物だ。
(あの特徴……トリニティウルフか! そんな! こんな奴までこの時代まで生き残っていたのか!)
トリニティウルフとは、旧世界の合成生物実験で作られたものの中で、三つの生物を組み合わせた合成生物のことだ。その種類は、狼と蜘蛛と鰐。つまり、肉食生物をかけ合わせて作られた。このトリニティウルフは、生まれた時も成長した後も非常に狂暴で、特に人間に対しては攻撃性を示した。そのため多数の犠牲者を出し、殺処分か迷宮に封じられた。
「そいつが、遂に俺の目の前に現れるとはな」
「ウォルルルルルル!」
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
「お前のような役立たずは不要だ」と追放された三男の前世は世界最強の賢者でした~今世ではダラダラ生きたいのでスローライフを送ります~
平山和人
ファンタジー
主人公のアベルは転生者だ。一度目の人生は剣聖、二度目は賢者として活躍していた。
三度目の人生はのんびり過ごしたいため、アベルは今までの人生で得たスキルを封印し、貴族として生きることにした。
そして、15歳の誕生日でスキル鑑定によって何のスキルも持ってないためアベルは追放されることになった。
アベルは追放された土地でスローライフを楽しもうとするが、そこは凶悪な魔物が跋扈する魔境であった。
襲い掛かってくる魔物を討伐したことでアベルの実力が明らかになると、領民たちはアベルを救世主と崇め、貴族たちはアベルを取り戻そうと追いかけてくる。
果たしてアベルは夢であるスローライフを送ることが出来るのだろうか。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
[完結]回復魔法しか使えない私が勇者パーティを追放されたが他の魔法を覚えたら最強魔法使いになりました
mikadozero
ファンタジー
3月19日 HOTランキング4位ありがとうございます。三月二十日HOTランキング2位ありがとうございます。
ーーーーーーーーーーーーー
エマは突然勇者パーティから「お前はパーティを抜けろ」と言われて追放されたエマは生きる希望を失う。
そんなところにある老人が助け舟を出す。
そのチャンスをエマは自分のものに変えようと努力をする。
努力をすると、結果がついてくるそう思い毎日を過ごしていた。
エマは一人前の冒険者になろうとしていたのだった。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。
yonechanish
ファンタジー
僕は治癒魔法使い。
子供の頃、僕は奴隷として売られていた。
そんな僕をギルドマスターが拾ってくれた。
だから、僕は自分に誓ったんだ。
ギルドのメンバーのために、生きるんだって。
でも、僕は皆の役に立てなかったみたい。
「クビ」
その言葉で、僕はギルドから追放された。
一人。
その日からギルドの崩壊が始まった。
僕の治癒魔法は地味だから、皆、僕がどれだけ役に立ったか知らなかったみたい。
だけど、もう遅いよ。
僕は僕なりの旅を始めたから。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる