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第3章 組織編

魔法の真実

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 驚く二人を無視してローグは続ける。

「正確に言えば、最低で5年、最高は20年。寿命の縮まる基準は魔法の能力で決まる。例えば、強力な魔法や極端な効果を持つ魔法ほど縮まる寿命が長くなる」
「な、なななな、何を言ってるんだ!?」
「おい! 何を言い出すんだ! やめろ!」

 二人が話を遮るように、というよりも遮って話を中断させようとする。だが、ローグは止まらない。止まるわけが無い。

「縮まる寿命は最初に発現した魔法で決まる。魔法を失っても縮んだ寿命は戻らない。逆に二つ目の魔法を何らかの手段で獲得してもそれ以上寿命が減ることは無い。何故なら、魔法を発現した時から肉体が魔法に耐性を持つからだ。それを知っているから、会長さんはいろんな魔法を奪って使ってきた、そうだろ?」
「「…………!」」
「それから、こんなことも知ってるかな? 魔法によっては副作用をもたらすものもある。使う度に肉体に悪影響があったり、周囲を巻き込んでしまったり……かなり稀少なタイプだけどな」
「そ、そこまで……」
「そんなことまで知っていたというのか!?」

 トーレンは唖然としてしまい、メルガーは激しく動揺する。まさにその通りなのだ。ローグは真実を口にしていたのだ。ローグはさらに続ける。

「それが魔法だ。それなのに、この国の人間の9割が魔法を発現する、特別なこともなしに。……こんなことは自然ではありえない。魔法で人の寿命を左右するなど、神が与えたものにしては残酷なルールだな。これはつまり、魔法は神が与えた力ではなく、全く別の何かが、この国の人間が魔法を発現するように仕組んだってことだ」
「まさかっ!? やめろぉ! やめてくれぇ!」
「もうやめろ! それ以上言うな!」

 二人はローグが口にしようとしている内容を察して、何とか話を中断させようと叫ぶ。魔法を封じられている以上、叫ぶか説得するしかない。

「その先を! その先だけは言うなぁ!」
「自分が何を言ってるのか分かっているのか!? 国家機密どころの話じゃないんだぞ!」
「全く別の何か。それはこの国の王族を含む上層部」
「「っ!?」」
「そして、魔法協会もそれに絡んでいる、違うかな?」
「「…………」」

 トーレンとメルガーは愕然とした。国家機密さえ上回る事実を、目の前の少年が語ったのだ。しかも、魔法協会では自分たちしか知らないなのに。


 ローグが語ったことはほとんど事実だが、実をいうと、ローグは自身の推測を語ったに過ぎなかった。国の上層部を中心に魔法の発現を行う、それ自体は前世でも行われていたこともあった。もっとも、それは独裁国家で国民を犠牲にする形で行ったために反乱が起きて中止された。今の王国はその前例と似ていたために、ローグは事実を言い当てることができたのだ。

(この二人の様子だと、俺の予想が的中したみたいだな。違っていても後で捕捉させようと思ったが手間が省けたな。後は方法か……)

 この後、話はまだ続いた。
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