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第3章 組織編

知られていた正体

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「何を言って……」
「な、何で知ってのよ!?」
「ほう。やはりそうか」
「えっ!? どういう……!」
(あちゃ~……)

 どうやら、メルガーはカマをかけただけだったようだ。少年はしらばっくれようとしたが、ミーラのほうが大きく動揺してしまった。メルガーの中で少年の正体が確定してしまった。

「ミーラの馬鹿さ加減は変わらんな。あまり成長していなくて助かるよ」
「そ、そんな……ち、ちが……」
「今更しらばくれても無駄だ。といっても私は前から推測していたからな」
(ちっ、考えたな。俺はともかくミーラは馬鹿だから口が滑りやすい。情報を得るならこいつを利用するほうがいい。向こうはミーラのことをよく知ってたはずなのに。やられたな……)

 少年は心の中で舌打ちをするが、自身の失敗でもあるのでミーラを攻める気になれなかった。それ以上に気になることもあった。

(それにしても、『ロー・ライト』と『ローグ・ナイト』が同一人物だと推測されてたなんてな。どこで結びついたんだろう?)
「あ、あ、ああ……!」
「もう気にするなミーラ」
「え……でも、わ、私……」
「それはもう別にいい。ばれるのが少し早くなっただけだ。今気にするのはそんなことじゃない。そうだろ? 会長さんよ?」
「ほう。どういうことかね?」
「いつ、『ロー・ライト』と『ローグ・ナイト』が同一人物だって思ったんだ? 気を付けてたつもりだったんだけどな」

 少年は大胆にもメルガーに問いかけた。メルガーは答える義理は無いと分かっていたが、少年の実力までは分かっていないため、時間稼ぎを続けるために答えを聞かせた。

(戦闘班もトーレンもまだ来ない以上はまだ時間を稼ぐしかない。それに、こいつからも情報が出せるかもしれん。ミーラよりも頭は回るだろうがな)
「魔法協会は多くの組織とつながりがある。王国の最高権力を持つ王族、国家の剣と盾となり守護する騎士団、そして冒険者役場がそうだ」
「やはり冒険者役場か。あの村の事件を知って積極的に動くのは分かるな。決定打になったのは二人の女性冒険者からか?」
「え? 二人の冒険者?」

 メルガーと少年が話をしている中、落ち込んでいたミーラが「二人の女性」という言葉に反応して、少年の顔をまじまじと見てきた。少年は特に気にしない。

「ふむ。理解が早いな。だが、決定打になったのはその二人ではない。確かにお前が救った二人の情報も参考にさせてもらったが、それ以上の情報があったのだよ」
「村の連中か? あいつらにそこまでの語彙力やうまい説明ができるとは思えんが……」
「故郷の連中に対しひどい言い様だな。だが、彼らでもない。いい情報をくれたのは王都の門番だよ」
「何? 門番だと?」

 少年は全く予想していなかった話になり少し驚いた。それを聞いたミーラは少し納得したようだった。

「王都に入る前に門番に会って色々聞かれたはずだ。名前や目的を簡単に聞いただけだと思うか?」
「……! まさか!?」
「そうだ。門番を担うものは感知タイプの魔法やそれに近い魔法を持っているのだよ。お前を見た門番がお前の魔力を覚えていてな、魔法協会に流した微弱な魔力の残滓を見てもらったのだ。結果は同じだったよ。これが決定打だ」
「…………なるほどな」

 メルガーの説明を聞いた少年はようやく納得できた。門番のことはかなり甘く見ていただけに、少しショックを感じていた。だが、ミーラのように落ち込んで俯いたりはしなかった。

「ご説明、ありがとうございます会長。おかげですっきりしたよ。随分時間稼ぎをさせてしまったけどな」
「ふん、気付いていてあえてそうさせるとは。かなり自分の実力を過信しているな」
「過信してるか試してみろよ。話はもうここで終わりだ。『偽変身』!」
「まさか、ロー!?」
「いや、違うな……」

 少年は赤紫色の魔力に包まれる。魔力に包まれた少年は、姿を変えていくもそして、魔力が消えた後に黒髪黒目の少年が現れた。彼の名前は……。

「改めて自己紹介をしよう! 俺の名はローグ・ナイトだ! 現在進行形であんたたちをぶっ潰す男だ! 覚悟しろ!」
「ふん! 受けて立ってやろう! 報いを受けるがいい!」

 ついに姿を現したローグがメルガーと激突する。
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