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第3章 組織編

第二の非常事態

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魔法協会内部・入り口付近。

「生存者の確認を急げ! 復旧作業にも取り掛かるんだ! 決して外部に情報を漏らすな!」

 魔法協会幹部のアルフレド・アンリルの声が響く。魔法協会は魔術の暴走が止まってから、生存者の確認と復旧作業に取り掛かり始めていた。だがここで、予想外の出来事が起こった。

ギギィ

「「「!?」」」

 こんな状況でバルムドとハイドが魔法協会に現れたのだ。それを見た構成員たちは二人に罵声を浴びせる。

「おい! あれを見ろよ!」
「バルムドとハイドだ! 何でこんな時に戻ってきたんだ!?」
「お前らどこ行ってたんだよ!? 怪しい奴を探してたんだろ!? そいつは見つかったのか!?」
(バルムドとハイドだと!? 今戻ってきたのか!?)

 こんな時に戻ってきたバルムドとハイドに不信感を抱く者達は、二人に容赦なく攻め立てる。だが、肝心の二人の様子はおかしかった。何故なら……。

「「…………」」
「おい! 黙ってないでなんか言えよ!」
「後ろめたいことでもあんのか、ああ!?」
「「…………」」
(なぜ黙っている? ハイドまでお大人しいとはどういうことだ? そもそも定期連絡はどうしたんだ? 何故、仮面もかぶらないで戻ったんだ?)

 アンリルだけが疑問に感じているが二人は何を言われても黙ったままだった。その代わり、バルムドが手をかざしだした。そして……。

「おい! 何のつもりだ!?」
「ひょ、」
「「「ひょ?」」」
「【氷、結、魔法】……『氷矢・雨』……!」
「「「なっ、何!?」」」

ヒュン! ヒュン! ヒュン! ドガッ! ザシュ! グサ!

「「「うわあああああああああああ!?」」」
「くっ! あのバルムドが我々に攻撃だと!? まさか!?」

 バルムドが構成員たちに対して攻撃を始めた。驚く構成員たちとアンリルだが、それで終わりではなかった。今度はハイドが魔法を発動していたのだ。

「うう……【獣……魔、法】『狼、化』……! ぐるあああああああああああ!」
「ハ、ハイドが狼に!」
「ど、どうしちまったんだお前ら!?」
「おい! 逃げるぞ!?」

 多くの構成員が混乱するなかで、一人の男が走り出した。

「くそ! 私が相手をする! 他のものは戦闘班と幹部に知らせろ! バルムドとハイドが敵に操られているとな!」
「「「!」」」

 アンリルが二人の前に出る。攻撃してきた二人は操られていると判断したのだ。だからこそ、アンリルは、事態の収束のためにも自分が戦わなければならないと思って行動した。たとえ、この二人を殺すことになったとしてもだ。

(バルムドとハイドは強い。私が本気で殺す気にならなければ勝てんだろう。幸いにも、二人の実力は知っている。戦闘パターンもな。二人には悪いが、運が良ければ重賞だけで済むだろう。……死んでも悪く思うなよ!)

 魔法協会内部でついに戦闘が始まった。皮肉にも、幹部と操られた構成員との間で。

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