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第3章 組織編
幹部と会長
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魔法協会。
魔法協会の地下実験室で、非人道的な実験の準備が行われていた。暗い顔をする被験者、つまり実験体が実験室に連れていかれていく。そんな様子をまったく気にしない者たちが実験を取り仕切る。それは魔法協会の研究員と構成員たちだ。
「よし。全員、実験室に入ったな。実験開始!」
「了解! 身体強化魔術・A-015開始!」
シュウウウウウウウウ!
実験室に白い煙が入ってくる。実験室に取り付けられた窓から中が見えなくなるころになって、悲鳴や叫びが聞こえ始める。
「うあああああああああああ!」
「苦しいいいいいいいいいい!」
「出して! 出してくれええええええええ!」
「助けてく……あっ!? ああああああああああああああああああああああああ!?」
「う……う、あ……あ……………」
バタッ バタッ バタッ ドシャッ
やがて、悲鳴も叫びも聞こえなくなった。実験室から白い煙が無くなった後に残っていたのは、死体の山だけだった。その結果を二人の人物が眺めていた。
「生存者はなしか、つまらんな。このところ変化がない」
「そうですな。身体強化魔術の開発なのですが、もう少し工夫が必要かもしれませんな」
「工夫と言ってもどうする? 魔術の術式を下手に変えれば、反動が起こりやすくなるぞ?」
「それならば、魔法を使える実験体にやらせればよいでしょう。反動も実験体が担うのなら問題ありますまい」
「ほう。斬新な案だな。しかしそれだと、我らの保有する魔法が増えなくなるぞ?」
「ありふれた魔法しか持ってないものを実験体にすればよいでしょう。我々が求める魔法は、もっと有能な魔法なのですから」
「もっともだな。検討しておこう」
あまりにも残酷な話をする二人。白い服に身を包む細身の男が幹部研究員の『ビルグ・トーレン』で、白い服に身を包む小太りな大男が魔法協会の『会長』こと『メルガー・メンデス』だ。この二人こそが魔法協会の中心人物なのだ。先ほど行われた実験は、この二人と他の二人の幹部たちが考えて計画したものだ。他にも、様々な非人道的な実験に携わってきたのだ。
「ところで、我が魔法協会に魔力を流して探りをかけた輩はまだ見つからんのかね?」
「その件で新しい報告は入っていませんね。バルムドとハイドが探していますが連絡が途絶えたままです。あの二人はそこそこの実力者だったのですが……」
二人の話題が変わった。それは数日前、何者かが魔法協会全体に、時間をかけて魔力を流してきたのだ。誰が何のためにそんなことをしたのか探るために、こちらから追手を差し向けてみたのだが、あれから音信不通になってしまったのだ。
「……連絡がこないままか。捕まったか殺された可能性があるということだな。気は進まんが騎士団の連中にも声をかけて警戒すべきかもしれん」
「騎士団ですか? 我々の構成員だけでよいのではないでしょうか?」
「魔法協会全体に魔力を流すような奴だ。希少な魔法持ちかもしれん。可能なら生け捕りにすべきだ。騎士団の上層部も我々の実態をよく知っているのだ。共通の敵だということにすれば問題あるまい」
「……そうですか。ではさっそく、騎士団に連絡を入れましょう」
ビルグは、騎士団に連絡を入れるためにその場を離れようとした。その直後だった。
ズウゥ……
何者かの微弱な魔力が流れてきたのは。
「「これは!?」」
魔力を感じ取ったビルグとメルガーの声が重なった。そして、同時に察した。さっき話していた輩が再び動きを見せたことを。しかし、これが単なる探りではなく攻撃だったことを後から思い知った。
魔法協会の地下実験室で、非人道的な実験の準備が行われていた。暗い顔をする被験者、つまり実験体が実験室に連れていかれていく。そんな様子をまったく気にしない者たちが実験を取り仕切る。それは魔法協会の研究員と構成員たちだ。
「よし。全員、実験室に入ったな。実験開始!」
「了解! 身体強化魔術・A-015開始!」
シュウウウウウウウウ!
実験室に白い煙が入ってくる。実験室に取り付けられた窓から中が見えなくなるころになって、悲鳴や叫びが聞こえ始める。
「うあああああああああああ!」
「苦しいいいいいいいいいい!」
「出して! 出してくれええええええええ!」
「助けてく……あっ!? ああああああああああああああああああああああああ!?」
「う……う、あ……あ……………」
バタッ バタッ バタッ ドシャッ
やがて、悲鳴も叫びも聞こえなくなった。実験室から白い煙が無くなった後に残っていたのは、死体の山だけだった。その結果を二人の人物が眺めていた。
「生存者はなしか、つまらんな。このところ変化がない」
「そうですな。身体強化魔術の開発なのですが、もう少し工夫が必要かもしれませんな」
「工夫と言ってもどうする? 魔術の術式を下手に変えれば、反動が起こりやすくなるぞ?」
「それならば、魔法を使える実験体にやらせればよいでしょう。反動も実験体が担うのなら問題ありますまい」
「ほう。斬新な案だな。しかしそれだと、我らの保有する魔法が増えなくなるぞ?」
「ありふれた魔法しか持ってないものを実験体にすればよいでしょう。我々が求める魔法は、もっと有能な魔法なのですから」
「もっともだな。検討しておこう」
あまりにも残酷な話をする二人。白い服に身を包む細身の男が幹部研究員の『ビルグ・トーレン』で、白い服に身を包む小太りな大男が魔法協会の『会長』こと『メルガー・メンデス』だ。この二人こそが魔法協会の中心人物なのだ。先ほど行われた実験は、この二人と他の二人の幹部たちが考えて計画したものだ。他にも、様々な非人道的な実験に携わってきたのだ。
「ところで、我が魔法協会に魔力を流して探りをかけた輩はまだ見つからんのかね?」
「その件で新しい報告は入っていませんね。バルムドとハイドが探していますが連絡が途絶えたままです。あの二人はそこそこの実力者だったのですが……」
二人の話題が変わった。それは数日前、何者かが魔法協会全体に、時間をかけて魔力を流してきたのだ。誰が何のためにそんなことをしたのか探るために、こちらから追手を差し向けてみたのだが、あれから音信不通になってしまったのだ。
「……連絡がこないままか。捕まったか殺された可能性があるということだな。気は進まんが騎士団の連中にも声をかけて警戒すべきかもしれん」
「騎士団ですか? 我々の構成員だけでよいのではないでしょうか?」
「魔法協会全体に魔力を流すような奴だ。希少な魔法持ちかもしれん。可能なら生け捕りにすべきだ。騎士団の上層部も我々の実態をよく知っているのだ。共通の敵だということにすれば問題あるまい」
「……そうですか。ではさっそく、騎士団に連絡を入れましょう」
ビルグは、騎士団に連絡を入れるためにその場を離れようとした。その直後だった。
ズウゥ……
何者かの微弱な魔力が流れてきたのは。
「「これは!?」」
魔力を感じ取ったビルグとメルガーの声が重なった。そして、同時に察した。さっき話していた輩が再び動きを見せたことを。しかし、これが単なる探りではなく攻撃だったことを後から思い知った。
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