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第2章 奴隷編
貧困の外町
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王都。そこは王国の中心にして最大の都市。最高権力者の王族が住む城を中心とした、王国で一番繁栄と富にあふれた町だ。つまり、悪く言えば一番贅沢が出来てるともいえる。そして、もっと言えば、王都以外の町や村は王都ほど発展していないともいえる。だからこそ、王都で暮らすことを夢見るものが多い。
そのためには、魔法の実力がここでも必要になる。何故なら、別の町や村から王都へ行く道中では必ず魔物に出くわすからだ。他の町から来たよそ者が王都で暮らすには、そういう困難と立ち向かう必要がある。門番がローグをすんなり王都に通したのは、ローグが一人できたことから、相当な実力者だと見抜いたからだったのだ。そのことに後になって気付いたローグは、王国は本当に魔法絶対主義だと理解した。
だとすれば、ローグが見ているこの町は何なのか。王都のすぐ近くにありながら、王都どころか、ローグの住んでいた辺境の村よりもみすぼらしい。ほとんどの家が、あばら家で今にも壊れそうだ。住んでる人は皆やつれていて、ボロボロの服を着て、気力というものを感じさせない顔をしていた。こんな町に、『あの女』がいる理由が分からなかったローグは困惑した。訳が分からない。
「マジで何なんだよ……これも魔法が生んだ惨状だってのか? これも知る必要があるな」
ローグはこの町について知るために聞き込みを開始した。まず、しっかりした人に聞いたほうが得策だと思って、目についた人の中で、強そうで白髪の初老の男性に話しかけた。その男性もあまり気力のない感じではあったが、周りの人と何か違う感じがしたのだ。
「あの、すみません。少し聞きたいことがあるのですがいいでしょうか?」
「……何だ、何が聞きたいんだ? こんな俺に……」
男性は答えてくれた。ローは自己紹介をしてすぐにこの町について質問する。
「私はロー・ライトといいます。私は王都に初めて来たのですが、近くにこのような町があったことは知らなかったのです。一体、この町は何なんですか?」
「ふん、よそ者だったか。俺はルドガー。この町は外町って言うんだよ」
「外町? 何なんですか、それは?」
「外町ってのはな、王都を追い出された魔法なしや犯罪者とかが住み着く町なんだ。いつからできたか知らねえが、簡単に言えば人生の負け組の行き着くところさ」
「ええ!? そんなっ!?」
ルドガーの口から語られたその事実に、ローグは驚愕した。魔法の有無に関する偏見がこんなひどい町を作った。このような町は旧世界にも無かったのだ(ローグが知らないだけかもしれないが)。魔法による偏見はこの時代の方が酷いことを痛感した。
(こ、こんな町が作られてしまうなんて……! なんて時代だ!)
そのためには、魔法の実力がここでも必要になる。何故なら、別の町や村から王都へ行く道中では必ず魔物に出くわすからだ。他の町から来たよそ者が王都で暮らすには、そういう困難と立ち向かう必要がある。門番がローグをすんなり王都に通したのは、ローグが一人できたことから、相当な実力者だと見抜いたからだったのだ。そのことに後になって気付いたローグは、王国は本当に魔法絶対主義だと理解した。
だとすれば、ローグが見ているこの町は何なのか。王都のすぐ近くにありながら、王都どころか、ローグの住んでいた辺境の村よりもみすぼらしい。ほとんどの家が、あばら家で今にも壊れそうだ。住んでる人は皆やつれていて、ボロボロの服を着て、気力というものを感じさせない顔をしていた。こんな町に、『あの女』がいる理由が分からなかったローグは困惑した。訳が分からない。
「マジで何なんだよ……これも魔法が生んだ惨状だってのか? これも知る必要があるな」
ローグはこの町について知るために聞き込みを開始した。まず、しっかりした人に聞いたほうが得策だと思って、目についた人の中で、強そうで白髪の初老の男性に話しかけた。その男性もあまり気力のない感じではあったが、周りの人と何か違う感じがしたのだ。
「あの、すみません。少し聞きたいことがあるのですがいいでしょうか?」
「……何だ、何が聞きたいんだ? こんな俺に……」
男性は答えてくれた。ローは自己紹介をしてすぐにこの町について質問する。
「私はロー・ライトといいます。私は王都に初めて来たのですが、近くにこのような町があったことは知らなかったのです。一体、この町は何なんですか?」
「ふん、よそ者だったか。俺はルドガー。この町は外町って言うんだよ」
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「ええ!? そんなっ!?」
ルドガーの口から語られたその事実に、ローグは驚愕した。魔法の有無に関する偏見がこんなひどい町を作った。このような町は旧世界にも無かったのだ(ローグが知らないだけかもしれないが)。魔法による偏見はこの時代の方が酷いことを痛感した。
(こ、こんな町が作られてしまうなんて……! なんて時代だ!)
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