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第0章 豹変編
前世の自分
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「いいザマだな、村長さんよ」
「…………」
黒焦げになった村長(一応生きてる)に用は済んだローは、そのまま村長の家で旅の準備に取り掛かった。自分の家よりもこの家の方が物資が豊富だと思ったからだ(つまり略奪)。実際、村長の家だけあって、旅に必要なものは揃っていた。少し身分がいいだけのことはある。というよりも贅沢だ。
「さて、用意はできた。行くとするか、この村を出る前にな」
ローはこの村の連中を痛い目に合わせたが、まだ復讐は終わっていない。この村を出た5人の幼馴染が残っている。彼らを追うために旅に出るのだ。
だが、この村で復讐の他にやり残したことがある。迷宮に入る前の目的だ。
「父さんと母さんの墓参り。最後になるな、もう帰ってこないし」
ローは最後の墓参りに行くことにした。
墓所。
「………」
両親の墓の前に立つローは、過去を振り返っていた。
両親と共に生き、死に別れ、魔法なしと呼ばれ周りから蔑まれ、挙句に迷宮に迷い込んだ。そして迷宮を攻略し、今ここにいる。心を変えて。
「ロー・ライト、最後の墓参りに来ました。父さん、母さん。俺は故郷を出ていきます。どうか天国で俺の旅を見守ってください」
ローは両親の墓に花を添えて、感謝を込めて手を合わせた。
数分後。
「……って言っても、今の俺はもうこれまでの『ロー・ライト』じゃないんだけどな」
その通りだ。ただの『ロー・ライト』のままなら、最後に命を奪うまでが復讐になるが、ローは最終的に誰一人殺すことは無かった。
「まあ、あのまま『ロー・ライト』だけだったら、頭のイカれた殺人鬼になっていたからな。ていうか人間って極限状態になるとあそこまで狂えるのか。いや、その前に村の馬鹿共の苛めがヤバすぎなんだな。こういうのはアニメや漫画だけだと思ったのに」
その通り。今の彼は『前世の自分』、『ナイトウ・ログ』が混じっているのだ。その影響は彼の復讐をも変えた。『ナイトウ・ログ』の部分が、狂気に染まった『ロー・ライト』をまともな方に戻したのだ。
「復讐をする時点でまともとは呼べないが、『ナイトウ・ログ』は変人だったしな研究一筋の。魔法の研究をしてる時に研究所が崩壊するなんて、なんかの実験の失敗か? もう確かめようがないからどうでもいいけどな。それ以上に気になることがあるし……」
『ナイトウ・ログ』は魔法の研究者だった。あらゆる魔法の研究・実験・調査に携わっていたため、魔法の知識は豊富だった。その知識を生かして、村の復讐を成功されたのだ。それは、残りの復讐にも役立つのだろうが、『ナイトウ・ログ』の部分が復讐以上の目的を持ってしまった。
「それにしても……、どうして世界はこんな風に退化したんだ?」
それは、『ナイトウ・ログ』の部分が一番最初に感じた疑問だった。
「…………」
黒焦げになった村長(一応生きてる)に用は済んだローは、そのまま村長の家で旅の準備に取り掛かった。自分の家よりもこの家の方が物資が豊富だと思ったからだ(つまり略奪)。実際、村長の家だけあって、旅に必要なものは揃っていた。少し身分がいいだけのことはある。というよりも贅沢だ。
「さて、用意はできた。行くとするか、この村を出る前にな」
ローはこの村の連中を痛い目に合わせたが、まだ復讐は終わっていない。この村を出た5人の幼馴染が残っている。彼らを追うために旅に出るのだ。
だが、この村で復讐の他にやり残したことがある。迷宮に入る前の目的だ。
「父さんと母さんの墓参り。最後になるな、もう帰ってこないし」
ローは最後の墓参りに行くことにした。
墓所。
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「ロー・ライト、最後の墓参りに来ました。父さん、母さん。俺は故郷を出ていきます。どうか天国で俺の旅を見守ってください」
ローは両親の墓に花を添えて、感謝を込めて手を合わせた。
数分後。
「……って言っても、今の俺はもうこれまでの『ロー・ライト』じゃないんだけどな」
その通りだ。ただの『ロー・ライト』のままなら、最後に命を奪うまでが復讐になるが、ローは最終的に誰一人殺すことは無かった。
「まあ、あのまま『ロー・ライト』だけだったら、頭のイカれた殺人鬼になっていたからな。ていうか人間って極限状態になるとあそこまで狂えるのか。いや、その前に村の馬鹿共の苛めがヤバすぎなんだな。こういうのはアニメや漫画だけだと思ったのに」
その通り。今の彼は『前世の自分』、『ナイトウ・ログ』が混じっているのだ。その影響は彼の復讐をも変えた。『ナイトウ・ログ』の部分が、狂気に染まった『ロー・ライト』をまともな方に戻したのだ。
「復讐をする時点でまともとは呼べないが、『ナイトウ・ログ』は変人だったしな研究一筋の。魔法の研究をしてる時に研究所が崩壊するなんて、なんかの実験の失敗か? もう確かめようがないからどうでもいいけどな。それ以上に気になることがあるし……」
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「それにしても……、どうして世界はこんな風に退化したんだ?」
それは、『ナイトウ・ログ』の部分が一番最初に感じた疑問だった。
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