ローグ・ナイト ~復讐者の研究記録~

mimiaizu

文字の大きさ
上 下
9 / 252
第0章 豹変編

VS門番

しおりを挟む
数日後。

 村の門番二人が退屈そうにしていると、一人の少年を見つけて笑い出した。退屈しのぎだとして声をかけ始めた。

「おい、見ろよあれ。ローじゃないか、あの魔法なしの」
「本当だ。いなくなったと思ったら戻ってきやがったのか、あの恥さらしが」
「まったくだ。魔法なしの役立たずが」

 それはロー・ライト。数日前、村から姿を消した少年だった。

「よう、良く戻ってきやがったなロー、この魔法なしが」
「何しに来たんだよ、ああ?」
「……改めてみるとほんとに嫌な奴らだな」

スパン ドサッ

「ああ? 何だと!? この魔法なしが! ……え?」

 男が間抜けな声を発したのは、拳を振り上げようとした腕が手首の方から切り落とされていたからだ。そして、その痛みはすぐに襲い掛かってくる。

「ぐあああああああああ! 腕があああああああああああああ!?」
「あ、相棒! ロー、貴様! なにしやがったあ!?」
「手首を切ったけど?」
「ふざけんな! よくも!」

 もう一人の男が剣を構える。怒りの形相でローを睨みつける。

「俺は正当防衛なんだけど?」
「何ふざけたこと言ってんだ! てかなんてことしやがった!」
「復讐さ。命までは奪わないから安心しろ」
「魔法なしが! なめんじゃねえええええええええええ!!」
(ぶっ殺してやる! 魔法なしめ!)

 この男は気付くべきだった。ローが無いはずの魔法で手首を切ったんだと。そうすれば、少しは抵抗できた、そうすればローの魔法の餌食にはならなかったかもしれない。

「えい」
「な!? これは!? がああああああああああああ!?」

ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!

 門番はローの手から出た赤紫色の光を正面から受けてしまった。彼は黒焦げではないにしろ、大やけどを負った。ローの言った通り、命だけは助かっている。そのまま気絶してしまったので、ローは仕事に支障をきたすくらいに切り刻んだ。そして、もう一人の方に近づく。腕をなくした方に。

「な!? 何でだ!? 何でお前が魔法を!? 魔法なしのくせに!」
「ああ。最近使えるようになったんだよ。おかげで復讐できる」
「そっそんな!? 馬鹿な!? ありえねえだろ!?」
「さあて、どうしてやろうか?」
「待て! 待ってくれ! 今までのことは悪かったから……」
「駄目。許してやらない。えい」
「ぎゃあああああああああああああああ!!」

ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!

「さて、次は仕事場の連中か」

 もう一人も大やけどにした後(ついでに腕の傷口は血が止まるほど焼き尽くした)、ローは村の外の仕事場に向かう。かつての同僚と上司に会うために。そして復讐のために。

「……まだすっきりしないしな。……まあ、じゃなあ」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

おっさんの異世界建国記

なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

処理中です...