8 / 252
第0章 豹変編
迷宮攻略者
しおりを挟む
ローは出くわした魔物たちを笑って殺しながら迷宮を進み続けていたが、その道に変化が生じた。今までと雰囲気が違う広間にたどり着いたのだ。
「何だここは? まるで……神殿みたいだ」
両親が生きていたころに見た神殿のような場所が迷宮の中にあることに、ローは困惑した。もしかしたら何かの罠がある可能性を考えて、警戒しながら調べてみることにした。
「あれはなんだ?」
奥の方は行き止まりだったが、奇妙な形をした台座があった。魔法陣が描かれているところを見ると何か仕掛けがあるようだ。ここから先に進めないようなのでローはわざと魔法陣の仕掛けを動かすために、台座の上に立ってみた。
「この仕掛けを動かせば先に進めるかもしれないけど、ただ立つだけじゃダメなのか? そうだ、俺の魔法を流したらどうなるんだ?」
台座に立つだけじゃ何も起こらないと分かったので、魔法を流すことにしたところ、変化が起こった。魔法陣が光りだしたのだ。そして、部屋全体も光りだし、ローの立つ台座が形を変え始めた。
「な、何だ、何が起こっているんだ? 俺、何したんだ!?」
動揺するローだったが、更に奇妙なことが起こった。
『迷宮の攻略者を確認しました』
「な、何!? 誰だ!? どこにいるんだ!?」
突然、声が聞こえ始めたのだ。さっきまでロー以外は誰もいなかったはずなのにだ。
『迷宮攻略、おめでとうございます』
「どこにいやがる! 出てきやがれ!」
『これより迷宮の特典を授与します』
「何を言ってやがる! どこにいるんだ! くそ!」
奇妙なことを言う声に、さすがにローも混乱してしまいそうになる。台座の上に大きな魔法陣が出来上がっていたのが気付かないほどに。
「くそ! ってなんだこれは!? いつの間に!?」
『どうぞお受け取りください。攻略者様に良き未来がありますように』
「はあ!? 受け取る? 攻略者様? 良き未来だと? 本当に何を言って……」
その時だった。魔法陣からローに向けて強い光が放たれた。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!」
『あなたが受け取る特典は『前世の自分』です。攻略、ありがとうございました。迷宮の外に出る場合は、これから出現する魔法陣をお使いください』
数時間後。
「うう……」
少年は目を覚ました。迷宮の奥で。どうやらさっきの光の衝撃で気を失ったらしい。見た目は何ともないようだが……。
「ここは……? なんだ? 俺はどうして? 研究所の崩落に巻き込まれて……あれ? なんだ、これは? ってなんだこの体は!? これが俺!? 背が縮んでる!?」
変化があった。少年はもうロー・ライトではなかった。いや、というよりも……
「俺に一体何が!? 落ち着け! 俺はナイトウ・ログだ!……え? ロー・ライト?……これは別の誰かの記憶か!?」
少年はもうロー・ライトだけではなかった。
「さっきまで何があったんだ!? 確か迷宮が前世のとか言ってたけど……! この記憶がそうか! ……ナイトウ・ログは死んだ俺だ……ナイトウ・ログが『前世の自分』か!!」
こうして彼は再び変わった。ロー・ライトとナイトウ・ログ、二人分の記憶を持つ者として。
「何だここは? まるで……神殿みたいだ」
両親が生きていたころに見た神殿のような場所が迷宮の中にあることに、ローは困惑した。もしかしたら何かの罠がある可能性を考えて、警戒しながら調べてみることにした。
「あれはなんだ?」
奥の方は行き止まりだったが、奇妙な形をした台座があった。魔法陣が描かれているところを見ると何か仕掛けがあるようだ。ここから先に進めないようなのでローはわざと魔法陣の仕掛けを動かすために、台座の上に立ってみた。
「この仕掛けを動かせば先に進めるかもしれないけど、ただ立つだけじゃダメなのか? そうだ、俺の魔法を流したらどうなるんだ?」
台座に立つだけじゃ何も起こらないと分かったので、魔法を流すことにしたところ、変化が起こった。魔法陣が光りだしたのだ。そして、部屋全体も光りだし、ローの立つ台座が形を変え始めた。
「な、何だ、何が起こっているんだ? 俺、何したんだ!?」
動揺するローだったが、更に奇妙なことが起こった。
『迷宮の攻略者を確認しました』
「な、何!? 誰だ!? どこにいるんだ!?」
突然、声が聞こえ始めたのだ。さっきまでロー以外は誰もいなかったはずなのにだ。
『迷宮攻略、おめでとうございます』
「どこにいやがる! 出てきやがれ!」
『これより迷宮の特典を授与します』
「何を言ってやがる! どこにいるんだ! くそ!」
奇妙なことを言う声に、さすがにローも混乱してしまいそうになる。台座の上に大きな魔法陣が出来上がっていたのが気付かないほどに。
「くそ! ってなんだこれは!? いつの間に!?」
『どうぞお受け取りください。攻略者様に良き未来がありますように』
「はあ!? 受け取る? 攻略者様? 良き未来だと? 本当に何を言って……」
その時だった。魔法陣からローに向けて強い光が放たれた。
「うわあああああああああああああああああああああああああああああ!」
『あなたが受け取る特典は『前世の自分』です。攻略、ありがとうございました。迷宮の外に出る場合は、これから出現する魔法陣をお使いください』
数時間後。
「うう……」
少年は目を覚ました。迷宮の奥で。どうやらさっきの光の衝撃で気を失ったらしい。見た目は何ともないようだが……。
「ここは……? なんだ? 俺はどうして? 研究所の崩落に巻き込まれて……あれ? なんだ、これは? ってなんだこの体は!? これが俺!? 背が縮んでる!?」
変化があった。少年はもうロー・ライトではなかった。いや、というよりも……
「俺に一体何が!? 落ち着け! 俺はナイトウ・ログだ!……え? ロー・ライト?……これは別の誰かの記憶か!?」
少年はもうロー・ライトだけではなかった。
「さっきまで何があったんだ!? 確か迷宮が前世のとか言ってたけど……! この記憶がそうか! ……ナイトウ・ログは死んだ俺だ……ナイトウ・ログが『前世の自分』か!!」
こうして彼は再び変わった。ロー・ライトとナイトウ・ログ、二人分の記憶を持つ者として。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
王宮で汚職を告発したら逆に指名手配されて殺されかけたけど、たまたま出会ったメイドロボに転生者の技術力を借りて反撃します
有賀冬馬
ファンタジー
王国貴族ヘンリー・レンは大臣と宰相の汚職を告発したが、逆に濡れ衣を着せられてしまい、追われる身になってしまう。
妻は宰相側に寝返り、ヘンリーは女性不信になってしまう。
さらに差し向けられた追手によって左腕切断、毒、呪い状態という満身創痍で、命からがら雪山に逃げ込む。
そこで力尽き、倒れたヘンリーを助けたのは、奇妙なメイド型アンドロイドだった。
そのアンドロイドは、かつて大賢者と呼ばれた転生者の技術で作られたメイドロボだったのだ。
現代知識チートと魔法の融合技術で作られた義手を与えられたヘンリーが、独立勢力となって王国の悪を蹴散らしていく!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い
平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。
ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。
かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる