上 下
17 / 25
序章 出会い編

第16話 なっさけねえ!/情けない!

しおりを挟む
 あいつを倒すと決めた俺達は戦う。遂に本格的な戦いをするんだ。

「チェイサースラッシュ!」
「ファイヤーシューティング!」

 まず、様子見を兼ねて遠距離から魔法を放つ。すると、

ドカン! ガシッ!
「ダグゥ!」

 ファイヤーシューティングは当たったが、全く無傷だった。しかも、俺が放ったチェイサースラッシュにいたっては素手でつかんでやがる。そんな馬鹿な! そして、

「ダバァ!」
プチッ
「ま、マジかよ……俺のチェイサースラッシュを片手でつぶしやがった」
「随分頑丈な体みたいね。ファイヤーシューティングを受けても無傷だったし」
「ダグゥバア!」
「「!」」

 今度は奴から向かって来……速い! 一体何を……!

ドガッ! ドガッ!
「ぐはぁ!」
「かはっ!」
ヒュウウウウウウ~  ドンッ! ドンッ!
「う……く……」
「……!……」

 くそ! 奴のこぶしが俺とミエダの腹に直撃した。その拍子に俺たち二人はぶっ飛ばされた。おまけに壁に激突とは……畜生! ミエダは……!?

「ダグゥ……」
カツッ カツッ カツッ
「げっ!? ミエダ! 起きろ! 逃げろ!!」
「…………」

 ミエダが起き上がらない!! 気を失ってるのか!? だとしたらまずいぞ、奴はミエダのほうに近づいてやがる。弱ったほうを狙うつもりか!? そんなことさせてたまるか!!

「おい!! そこのブサイクムシムシ野郎!!」
「ン、ダ~?」
「お前だよ、お前!! 俺が相手してやる!! 加速魔法・ハンターダッシュ!!」
ダンッ!
「ダバッ!?」

 加速魔法・ハンターダッシュを最高レベルで発動する。加速魔法は動きを早くできる魔法。その中でハンターダッシュは走力を上げられる。魔力の消費が多いがこれで奴以上に速く動けるはずだ。奴の懐に入って直接ぶんなぐってやる!!

「ゼ、ダバァ!」
ダンッ!
「何っ!?」

 こいつ! 懐に入られたら、直後に飛び上がって距離を取りやがった! 反応速度もすげえ! だが、逃がさねえ!!

「加速魔法・ハンタージャンプ!!」
ドンッ!
「ダバッ!?」

 よおし! 俺も飛び上がることでまた懐に入った、今がチャンス!! ここで殴りまくってやるぜ、最高レベルでな!!

「くらえ!! 連続ハンマーパンチ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
「ゼグッ、バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!?」
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 痛み苦しむ悲鳴が聞こえる。俺でもミエダでもない。こいつからだ! うまくいった、最初から全力でいけばよかったんだ! このままぶっ倒れるまで俺のこぶしを叩き込んでやるぜ! 魔力が続く限りな! お前を倒すまで殴り続け……

ガシッ ガシッ
「ヘ?」
「バァ……バァ……ゼバァ……」
「う、嘘だろ!?」

 こ、こいつ! 俺の両腕を掴んできやがった! まずいぞ、これで手がふさがってしまった! だけど、こいつも手が使えないはず、どうするつも……

「ゼバァアッ!!」
ゴキッ ゴキッ 
「うっ!? ぐあああああああああああああああああ!! て、手があああああああ!!」

 い、いってー!! この野郎!! 俺の腕を折りやがった!! なんてことしや、って今度は足を曲げてやがる!! このまま蹴り飛ばす気かよ!? 早く脱出しないと!!

「雷撃魔法・ボルトバースト!!」
ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!
「アババババババババババババババババッバババッババババババッババババババ!!」

 雷撃魔法・ボルトバーストはミエダのカイザーエンドのような全体攻撃で、周りに雷撃を浴びせるんだけど、近接攻撃には向かない。だが、こうでもしないと腕が抉られていた。しかも、思ったより聴いてるみたいだ。都合がいい!! 今度は蹴りを入れてやる!!

「雷撃魔法・サンダーキック!!」
バッキーン!! ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!
「ダ、バ……ダッグバアァ!!」
「はん! ざまあねえな、って……?」

 こいつも蹴りの体勢を……!

バッキーン!! 
「ぐっ、ごほっ…………」
ドガッ!

 俺の意識はここで一旦、途絶えてしまった。


※ゼクトが目覚めたとき

「うう……俺は一体? 何があった?」

 気が付くと、体全身が痛かった。さっきまで何があったんだろう?

「そういえば、虫みたいな顔した狂戦士と戦ってて……! そうだ、思い出した!」

 あの時、蹴りを入れたのに蹴り返されてそのまま床に激突したんだった。……くっそぉ、やり返されたってことかよ! なっさけねえ……いや、その前に今どうなってんだ!?

「はあああああああああああああ!!」
ドッカーン!!
「!?」
「ゼッゼバアアアアアアアアアアア!!」

 俺が後ろを振り返ると、ボロボロのミエダと鎧が半壊した狂戦士がそこにいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

最強魔導師エンペラー

ブレイブ
ファンタジー
魔法が当たり前の世界 魔法学園ではF~ZZにランク分けされており かつて実在したZZクラス1位の最強魔導師エンペラー 彼は突然行方不明になった。そして現在 三代目エンペラーはエンペラーであるが 三代目だけは知らぬ秘密があった

【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する

雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。 その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。 代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。 それを見た柊茜は 「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」 【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。 追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん….... 主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します

ゴミアイテムを変換して無限レベルアップ!

桜井正宗
ファンタジー
 辺境の村出身のレイジは文字通り、ゴミ製造スキルしか持っておらず馬鹿にされていた。少しでも強くなろうと帝国兵に志願。お前のような無能は雑兵なら雇ってやると言われ、レイジは日々努力した。  そんな努力もついに報われる日が。  ゴミ製造スキルが【経験値製造スキル】となっていたのだ。  日々、優秀な帝国兵が倒したモンスターのドロップアイテムを廃棄所に捨てていく。それを拾って【経験値クリスタル】へ変換して経験値を獲得。レベルアップ出来る事を知ったレイジは、この漁夫の利を使い、一気にレベルアップしていく。  仲間に加えた聖女とメイドと共にレベルを上げていくと、経験値テーブルすら操れるようになっていた。その力を使い、やがてレイジは帝国最強の皇剣となり、王の座につく――。 ※HOTランキング1位ありがとうございます! ※ファンタジー7位ありがとうございます!

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

自分が作ったSSSランクパーティから追放されたおっさんは、自分の幸せを求めて彷徨い歩く。〜十数年酷使した体は最強になっていたようです〜

ねっとり
ファンタジー
世界一強いと言われているSSSランクの冒険者パーティ。 その一員であるケイド。 スーパーサブとしてずっと同行していたが、パーティメンバーからはただのパシリとして使われていた。 戦闘は役立たず。荷物持ちにしかならないお荷物だと。 それでも彼はこのパーティでやって来ていた。 彼がスカウトしたメンバーと一緒に冒険をしたかったからだ。 ある日仲間のミスをケイドのせいにされ、そのままパーティを追い出される。 途方にくれ、なんの目的も持たずにふらふらする日々。 だが、彼自身が気付いていない能力があった。 ずっと荷物持ちやパシリをして来たケイドは、筋力も敏捷も凄まじく成長していた。 その事実をとあるきっかけで知り、喜んだ。 自分は戦闘もできる。 もう荷物持ちだけではないのだと。 見捨てられたパーティがどうなろうと知ったこっちゃない。 むしろもう自分を卑下する必要もない。 我慢しなくていいのだ。 ケイドは自分の幸せを探すために旅へと出る。 ※小説家になろう様でも連載中

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...