悪役令嬢が行方不明！？SS集

番外編

悪役令嬢の妹⑨

先生と医者と話し合った後、私の生活は大きく変化した。

まず、私の体のことは大人たちと年長組に知られることになって、私の生活方針を話し合ったのだ。畑仕事などの体を酷使する作業を削り、事務仕事や勉強などを中心にすることが決まった。やっぱり勉強の量が多くなるのは悲しかった。それにお祈りも……。

更に、食生活も栄養のつく料理に変化したのだ。野菜中心の料理なのは変わらないけど量が多くなった。それに卵を必ず取り入れてくれるから少しは美味しくなったと思う。これは嬉しい。

それから、周りの人たちとの関係も変わってきた。今までは私自身が周りの子たちや大人たちから距離を取っていたから周りも私と筆意用以上に関わってこなかった。だけど今は周りから気をつかわれるようになった。

「ワカナさん大丈夫？　無理してない？」

「体の具合はどうだ？　しっかり食ってるか？」

「勉強頑張ってくださいね」

彼らも私の体のことを心配してくれているのかしらね。でも、どうしてだろう。今まであんなに悪態ついていた私のことをどうして……。いや、あれはお腹の子供の方が心配なのかもしれない。

そして、私自身も変わってきた気がする。文句を言う頻度が少なくなったのだ。畑仕事が激減し料理も少し美味しくなったからかしら。気付いた時にはそうなっていた。それに勉強もお祈りも真面目にするようになった。あんなに嫌だったんだけど先生と医者があんなに重視する様子を見ると私に必要なことなんだなと思えたからね。

……勉強をおろそかにしたせいで妊娠したってこともあるし、もう同じような過ちを犯したくないからね。そういうことで勉強は真面目にすることにした。何かに打ち込んでいくのもいいと先生も言っていたし。

ついでに、先生と医者が私の親類や関係者に連絡した結果、私やお腹の子供を引き取る人はいないみたい。お腹の子供の父親にあたる男の方は家から縁を切られて行方も分からないみたい。もともと期待はしていなかったから何も思うことは無いけどね。

……私の両親が罪人だったから当然か。後で母の余罪が判明して死刑になったと聞いたしね。母の死は素直に悲しかったわ。私を誰よりも可愛がってくれたから。でも、今思えば何でそれくらいの愛情を姉にも分けなかったんだろうと不思議に思える。行方不明になった姉だって母の娘なのに。そんな疑問を抱く私はもうその答えを聞くことはできない。両親は死刑になり姉は行方不明のままだから。もう私に家族と言えるのは、これから生まれる子供だけだから。

あれ？　何だか悲しくなってきた。ないだが溢れてくる。何で？

「ワカナさん？　どうしたんですか？　そんなに泣くなんて！」

先生に言われて気付いた時には私は涙が止まらなくなっていた。