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番外編

ザイーダ侯爵⑤

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「……なるほど、最小限にですか。それだと結局ザイーダ家は醜聞に巻き込まれるのでは?」

「そうですよ。結果的にはザイーダ家の被害が免れないじゃないですか。お嬢様は一応御家族ですよ」

確かにザイーダ家の醜聞になるのは間違いない。いくらネフーミ一人に責任を押し付けることになっても、それだけは免れないだろう。まったく、貴族のしがらみというものには苦労させられる。

だが、決行するしかないのだ。

「二人の言う通りザイーダ家の傷になるのは確定だ。だが、これくらいしないとネフーミ姉様を変えられることはできないとは思わないか? 我が両親はネフーミ姉様を溺愛してしまっている。彼女は見栄えだけはかなりいいからね」

「「…………」」

言葉に詰まる二人。彼らも使用人としてネフーミを見てきたから否定できないのだろう。ここで更にたたみかける。

「それにこれを機にネフーミ姉様を変えられないで、いつ変えようと言えるんだ? 早いうちに厳しくしておかないと将来にもっと酷いことになる可能性もあるじゃないか。あの性格で成人まで成長すれば貴族として取り返しのつかないことになりえるんじゃないか? 正直、何をするか分からない」

「あの性格で成人に……」

「それは、確かにマズいですね……」

「そうだろう。これはいい機会じゃないか。たとえ、ザイーダ家の傷になろうとも、これを機にネフーミ姉様を変えてやろうじゃないか。彼女自身のためにも。何、ザイーダ家は侯爵だ。娘の小さな不祥事程度では大きく傾きはしないさ」

「「…………」」

迷う使用人二人。しかし、この時点ですでに二人の判断は決まっていた。

「……そうですな。大局的に見ればネフーミお嬢様を今のままにしておくべきではありませんな。ザイーダ家の傷になってしまいますが知れ渡るのが親戚の方々にならば小さなものにできるやもしれません……」

「確かに、ザイーダ家そのものに影響が出まい限りは旦那様たちも気持ちを切り替えないと思いますね。仕方ないと言えば仕方ないのかもしれません」

そして、二人は遂に決断を口にするのだ。

「分かりました。この私の力を尽くして親戚の方々に口添えしておきましょう」

「私も、他の使用人たちと連携して誕生日パーティーを組んでおきます。ネフーミお嬢様が告白するタイミングやそれを知るであろう親戚の方々の座席の位置などは任せてください」

「ありがとう。二人が協力してくれるならうまくいくよ。あ、それとこのことは父上と母上には内密にしてくれ。あの二人が聞けば止められるだろうからね」

「「承知しました」」

これで裏方は万全だ。この二人なら大丈夫だ。後は、もう一人の主役にも協力してもらうとしよう。
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