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番外編

ザイーダ侯爵④

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「ネフーミ姉様の告白は誕生日パーティーの日になるらしい。その日は親戚も含めてそこそこの人が来るだろう? そこでお望み通り告白してもらって、振られて失敗させるのさ。大勢の人々の前で、姉の婚約者に告白して振られて失敗する。これくらい恥をかいてもらえばネフーミ姉様に対する目が厳しくなるとは思わない?」

「「っ!?」」

多くの人々の目の前で寝取るための告白失敗。実現できれば醜聞として噂が広まり、当の本人は笑い者になるだろう。姉の婚約者を奪おうとして失敗した不届き者として。

「「…………」」

私の作戦を聞いた二人はすぐには返答せずに考え込んで黙り込んだ。まあ、私はこの時点で二人がすぐに賛成できないことも分かっていた。ザイーダ家のことを考えれば当然だ。

「その作戦は賛同できかねます。それだと確かにネフーミお嬢様が厳しくされる可能性は高いのですが、ザイーダ家全体の醜聞になりますぞ?」

「そうですよ。それだと、御両親の教育に問題があるとまで言われますし、何よりマリアお嬢様やエクス様の将来に影響が出ます。なにも誕生日パーティーでそこまでしなくても………」

予想通りの反対意見。二人の意見は適切なものだ。それは貴族とは結構面倒な立場だからだ。どこかの家で醜聞を聞けば噂にしてすぐに広めたがるのが貴族の性格だ。もちろんザイーダ家の親戚でも同じことが言える。つまり、二人が言いたいのは、ネフーミのせいで私やマリアまで道連れにされていいはずがないということだ。

そして、それは私も同じ思いでもある。だからこそ二人の力量が試されるということだ。

「二人がそういうのは分かっていたよ。僕もネフーミ姉様のせいで将来が潰されるのはまっぴらだ。だから、全てをネフーミ姉様だけに押し付けるつもりだよ」

「「え?」」

「誕生日の日に来てくれる人は、親戚の方が大半だ。そういう人たちに先に手回ししてネフーミ姉様が家族を蔑ろにするような人だと伝えておくんだ。特に信頼できる人にはネフーミ姉様と僕、両方の作戦を知らせてしまうんだ。そして、作戦の後でネフーミ姉様が勝手に暴走して家族に多大な迷惑をかけたと噂を流してもらう。極力ザイーダ家の被害が最小限になる程度にね。これだけ言えば、二人なら僕の意図が分かるだろ?」

「…………!」

私の言っているのは、誕生日に来てくれる親戚にも協力してもらって、ネフーミの暴走によるザイーダ家の醜聞による被害を最小限にするということだ。まあ、親戚ぐるみでネフーミを追い詰めてやろうということだ。親戚の仲にもネフーミの我儘が気に入らない人もこの頃は多かったからな。
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