敗北した女神と普通の少年

mimiaizu

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17.朝食!

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「ああ、美味だったな~」

「そんなに喜んでくれたの? ありがとう!」

 シレンは冬樹と一緒に朝食を食べた。食パンにベーコンとコーヒーというシレンにも分かるほど簡単なメニューだったが、シレンが思ったよりも満足した。

(パンと聞いて黒くて固い黒パンを想像したが杞憂でよかった。なんという柔らかくて美味なパンだ。しかも、これで安物とは、到底思えん)

 シレンの中でパンのイメージが大きく変わった。ベーコンとコーヒーもそうだった。

(それにベーコンもなんと味わい深いのか。これも安物扱いとは。人間の食文化がここまで発達していようとは。このこくのあるコーヒーもパンに合う)

 シレンが考え事をしているときに、ピーッという音が聞こえた。シレンと冬樹が同時に立ち上がる。

「な、何だ、この音は!? まさか敵襲か!?」

「えっ、洗濯機が止まった音だけど」

「な、何だ。そうか、遂に洗い終えたのだな」

 二人は洗濯機に向かう。そして、中から取り出した服を見てシレンは感動した。

「おおおおおお! あんなに汚れた服が汚れひとつ無いではないか! すごい! 素晴らしい!」

「もう、はしゃぎすぎだよ! でも、よかったね!」

 シレンの興奮ぶりに驚く冬樹もつられて喜ぶ。

(ふふふ、後は服が乾けばいいだけ。素晴らしい発明を作ってくれたものだ、人間は。………これはもっと知る努力が必要になるな)

 シレンは視線を冬樹に移す。冬樹はどうみても幼い少年だ。この家は彼しか住んでいない。なのに、この家だけでもシレンが驚くような機械がたくさん存在する。少年が一人で住んでいるような家で多くの知識を得ることができたのだ。

 その事実に気付き、シレンは思い知った。神々は、自分を含めて、人間のことを髪の毛一筋ほどにも知らなかったのだ、と。

(もう確信した。私達の敗因は、人間に対して無知すぎたことだったのだ。人間を馬鹿にしてきた結果が神々の滅亡に繋がった。これは間違いない)

 シレンは変わることを決意した。

(ならば、私は知ろう! もう二度と人気をに負けぬように知識を身につけていくのだ。そして、完全復活をはたして神に返り咲いて見せる!)
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