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1.敗北!
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神。それは古くから人々に崇められる大いなる存在だった。
何故ならば、人々にとって神は全てを創った創造者だと思われていたからだ。
世界を造り、人を含む生命を生み、万物を与えた偉大な主。それが人々の神への認識だった。
更には強大な力を持った絶対的な存在であり、神の決めたことは逆らうことは許されぬことだったとされていた。
だからこそ、これまで神に反逆して戦いを挑もうとするものは少なかった。………少なかっただけだった。
しかし、今は違う。
「わああああああああああああああああっ!!」
今、月で一人の女神が人の手によって滅ぼされようとしていた。その女神は神特有の神々しい光を失い、血まみれになって息切れしていた。
「な、何故………こんなことに………!」
「それはお前たちが人々に害をなす存在だからだ! お前たちに人の上に立つ資格などない!」
「………っ!?」
女神の前に立ち剣を向ける青年。彼は人間。彼の中には神に対する殺意と憎悪が溢れていた。
「もう終わりだ! 人々を苦しめるだけの邪神よ、今ここで討ち果たす!」
「き、貴様ぁ………!」
人が神に剣を向け、神が人に追い詰められる。このようなことは古い時代ではあり得なかったことだった。ましてや、神殺しなど考えられなかった。
「残る神はお前で最後だ! この瞬間、最後の神殺しをなして、俺たちは神が支配しない世界を築き上げる!」
「お、おのれぇ………!」
青年の言う通りだった。この世界の神々は、今この場で倒れ伏す女神を残して全て討ち滅ぼされたのだ。
「貴様らは………我らを、神を何だと思っているのだ! 一体、どれだけ崇められてきたと………!」
「悪だ!」
「っ!?」
女神は理解できなかった。何故、自分が、神々が人に反逆されるのか。何故、人が神殺しを成せるようになってしまったのか。今まで何をしても、何を奪っても、何もなかったのに。
「お前たちは俺たちから、奪い踏みにじり弄ぶ、残忍で最低な悪だ! そんなやつらを崇めろだと? ふざけるのもいい加減にしろ! 吐き気がするほどの邪悪が!」
「そ、そんな………」
だが、女神にも一つだけ分かったことがある。それは、目の前の人間は何をいっても間違いなく自分を殺すと言うことだった。
「とどめだ! この世界から消えてなくなれ!」
青年の剣が光輝く。そして、光の柱となり女神に振り下ろされた。強大な力が焼き尽くすかのように女神を飲み込む。
「そ、そんな、ば、か、なあぁぁぁぁぁ………」
光が収まったあとには女神の姿はなかった。青年は女神が消えてなくなったことを確認して、後ろを振り返って叫んだ。
「やったぞ! 女神は、邪神は倒された! これで全ての神は滅んだ! 人類は自由を勝ち取ったんだぁぁぁ!」
何故ならば、人々にとって神は全てを創った創造者だと思われていたからだ。
世界を造り、人を含む生命を生み、万物を与えた偉大な主。それが人々の神への認識だった。
更には強大な力を持った絶対的な存在であり、神の決めたことは逆らうことは許されぬことだったとされていた。
だからこそ、これまで神に反逆して戦いを挑もうとするものは少なかった。………少なかっただけだった。
しかし、今は違う。
「わああああああああああああああああっ!!」
今、月で一人の女神が人の手によって滅ぼされようとしていた。その女神は神特有の神々しい光を失い、血まみれになって息切れしていた。
「な、何故………こんなことに………!」
「それはお前たちが人々に害をなす存在だからだ! お前たちに人の上に立つ資格などない!」
「………っ!?」
女神の前に立ち剣を向ける青年。彼は人間。彼の中には神に対する殺意と憎悪が溢れていた。
「もう終わりだ! 人々を苦しめるだけの邪神よ、今ここで討ち果たす!」
「き、貴様ぁ………!」
人が神に剣を向け、神が人に追い詰められる。このようなことは古い時代ではあり得なかったことだった。ましてや、神殺しなど考えられなかった。
「残る神はお前で最後だ! この瞬間、最後の神殺しをなして、俺たちは神が支配しない世界を築き上げる!」
「お、おのれぇ………!」
青年の言う通りだった。この世界の神々は、今この場で倒れ伏す女神を残して全て討ち滅ぼされたのだ。
「貴様らは………我らを、神を何だと思っているのだ! 一体、どれだけ崇められてきたと………!」
「悪だ!」
「っ!?」
女神は理解できなかった。何故、自分が、神々が人に反逆されるのか。何故、人が神殺しを成せるようになってしまったのか。今まで何をしても、何を奪っても、何もなかったのに。
「お前たちは俺たちから、奪い踏みにじり弄ぶ、残忍で最低な悪だ! そんなやつらを崇めろだと? ふざけるのもいい加減にしろ! 吐き気がするほどの邪悪が!」
「そ、そんな………」
だが、女神にも一つだけ分かったことがある。それは、目の前の人間は何をいっても間違いなく自分を殺すと言うことだった。
「とどめだ! この世界から消えてなくなれ!」
青年の剣が光輝く。そして、光の柱となり女神に振り下ろされた。強大な力が焼き尽くすかのように女神を飲み込む。
「そ、そんな、ば、か、なあぁぁぁぁぁ………」
光が収まったあとには女神の姿はなかった。青年は女神が消えてなくなったことを確認して、後ろを振り返って叫んだ。
「やったぞ! 女神は、邪神は倒された! これで全ての神は滅んだ! 人類は自由を勝ち取ったんだぁぁぁ!」
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