202 / 229
201.ワカマリナ視点/夢の中
しおりを挟む
(ワカマリナ視点)
……わたくしの目の前で不可解なことが起こっていますの。
「あんたが馬鹿なことばっかりするからこんなことになったのよ! どうしてくれるのよ!」
「こんな大馬鹿者だったとは思わなかった! お前なんぞ甘やかすのではなかった!」
わたくしを愛してくれる両親が揃ってわたくしに向かって罵詈雑言を飛ばします。ありえないですわ?
「ちょっと! 私達の話を聞きなさいよブス!」
「太った挙げ句、顔までおかしくなりおって豚娘め!」
ましてや、わたくしのことを醜いだなんて言うはずがありません。どうしてこんな事になっているのでしょう?
少しずつ 少しずつ過去を思い返してみましょう。
……あの時、怒ったわたくしはお姉さまに立ち向かおうとしたら、お姉さまじゃなくて別の人で、それなのにお腹を殴られて気を失ったのです。人違いをしただけで殴るなんて乱暴な人ですわね。
気を失っている間に王宮に連れ戻されて、兵士たちに無理やり牢屋に入れられたのですね。……まるで罪人のように扱われて怖くて悔しいですわ。
きっと、わたくしは夢を見ている。それも悪夢を見ているんだと思い、わたくしは目をつぶって眠るのです。起きた後は幸せな現実が待っていると思って……。
それなのに目を覚ましたら、両親がわたくしを攻めるなんてあんまりですわ!
……きっと、わたくしはまだ夢の中なのですわね。絶対にそうですわ。だって、わたくしの見るべき現実は、悪に落ちたお姉さまが成敗されて、わたくしとアクサン様が幸せになるはずですから。
◇
二、三日位経った後のことです。わたくしたちは裁判所に連れてこられました。なんでも「王前裁判」とかいうのをやるんだとか。それで何故わたくしたちが?
「皆静粛に。これより、王前裁判を執り行う」
あ、あの人知っています。アクサン様のお父様、つまり国王様ですわ。そんな人が裁判ってことは……もしかして、これはわたくしたちの裁判? きっとそうですわ。遂にお姉さまが断罪される時が来たのですね。随分遅いではありませんか!
……あれ? でもなんだかおかしいですわ。周りの皆さんはお姉さまではなくわたくしたちを冷たい目で見ているし、お父様もお母様も青ざめた顔でうつむいています。
どうして? お姉さまが断罪されるのですよ? 喜ばしいはずでしょう? わたくしたちは歓迎されるべきたちばのはずでしょう? 皆さんの様子がおかしいのでわたくしが言ってやりますの。
「皆様! 遂に悪しき我が姉が……モゴモゴっ!?」
わたくしがお姉さまの名前を言おうとした直後、兵士の人が無礼にもわたくしの口を抑えだしますた。何をするのですか! 汚い手で触らないでくださいな!
◇
……屈辱です。わたくしは猿轡を噛まされました。おまけに手も縛られて……。
だけど、本当の屈辱はここからでした。何故なら、この裁判そのものが間違っているのです。
なんと、断罪されるのはわたくし達の方だったというのです。しかも、お姉さまが被害者側にいるというのだから立場が全く逆なのです。間違いを指摘したいのに、猿轡のせいで何も言えない……本当に悔しい!
え? 我が家はそんなにお金に困っていたの? 初耳なのですけど?
え? お父様とお母様ってそんな人達でしたの? わたくしの知らないところでそんな……。
ええ!? わたくしの罪状ですって!? ありえませんわ! 確かにお金を使ったり、男の人達と遊んでいたけど、そんな額のお金なんか返せないし、恨まれる覚えはありませんわ!
わたくしは決して悪意で人を陥れたり弄んだりしたことはありません! どうして皆さんそんな怖いお顔をするの? わたくしはみんなに愛されるべき存在のハズ!
……きっと、わたくしは夢の中なのですわね。絶対にそうですわ。だって、わたくしの見るべき現実は……。
……わたくしの目の前で不可解なことが起こっていますの。
「あんたが馬鹿なことばっかりするからこんなことになったのよ! どうしてくれるのよ!」
「こんな大馬鹿者だったとは思わなかった! お前なんぞ甘やかすのではなかった!」
わたくしを愛してくれる両親が揃ってわたくしに向かって罵詈雑言を飛ばします。ありえないですわ?
「ちょっと! 私達の話を聞きなさいよブス!」
「太った挙げ句、顔までおかしくなりおって豚娘め!」
ましてや、わたくしのことを醜いだなんて言うはずがありません。どうしてこんな事になっているのでしょう?
少しずつ 少しずつ過去を思い返してみましょう。
……あの時、怒ったわたくしはお姉さまに立ち向かおうとしたら、お姉さまじゃなくて別の人で、それなのにお腹を殴られて気を失ったのです。人違いをしただけで殴るなんて乱暴な人ですわね。
気を失っている間に王宮に連れ戻されて、兵士たちに無理やり牢屋に入れられたのですね。……まるで罪人のように扱われて怖くて悔しいですわ。
きっと、わたくしは夢を見ている。それも悪夢を見ているんだと思い、わたくしは目をつぶって眠るのです。起きた後は幸せな現実が待っていると思って……。
それなのに目を覚ましたら、両親がわたくしを攻めるなんてあんまりですわ!
……きっと、わたくしはまだ夢の中なのですわね。絶対にそうですわ。だって、わたくしの見るべき現実は、悪に落ちたお姉さまが成敗されて、わたくしとアクサン様が幸せになるはずですから。
◇
二、三日位経った後のことです。わたくしたちは裁判所に連れてこられました。なんでも「王前裁判」とかいうのをやるんだとか。それで何故わたくしたちが?
「皆静粛に。これより、王前裁判を執り行う」
あ、あの人知っています。アクサン様のお父様、つまり国王様ですわ。そんな人が裁判ってことは……もしかして、これはわたくしたちの裁判? きっとそうですわ。遂にお姉さまが断罪される時が来たのですね。随分遅いではありませんか!
……あれ? でもなんだかおかしいですわ。周りの皆さんはお姉さまではなくわたくしたちを冷たい目で見ているし、お父様もお母様も青ざめた顔でうつむいています。
どうして? お姉さまが断罪されるのですよ? 喜ばしいはずでしょう? わたくしたちは歓迎されるべきたちばのはずでしょう? 皆さんの様子がおかしいのでわたくしが言ってやりますの。
「皆様! 遂に悪しき我が姉が……モゴモゴっ!?」
わたくしがお姉さまの名前を言おうとした直後、兵士の人が無礼にもわたくしの口を抑えだしますた。何をするのですか! 汚い手で触らないでくださいな!
◇
……屈辱です。わたくしは猿轡を噛まされました。おまけに手も縛られて……。
だけど、本当の屈辱はここからでした。何故なら、この裁判そのものが間違っているのです。
なんと、断罪されるのはわたくし達の方だったというのです。しかも、お姉さまが被害者側にいるというのだから立場が全く逆なのです。間違いを指摘したいのに、猿轡のせいで何も言えない……本当に悔しい!
え? 我が家はそんなにお金に困っていたの? 初耳なのですけど?
え? お父様とお母様ってそんな人達でしたの? わたくしの知らないところでそんな……。
ええ!? わたくしの罪状ですって!? ありえませんわ! 確かにお金を使ったり、男の人達と遊んでいたけど、そんな額のお金なんか返せないし、恨まれる覚えはありませんわ!
わたくしは決して悪意で人を陥れたり弄んだりしたことはありません! どうして皆さんそんな怖いお顔をするの? わたくしはみんなに愛されるべき存在のハズ!
……きっと、わたくしは夢の中なのですわね。絶対にそうですわ。だって、わたくしの見るべき現実は……。
0
お気に入りに追加
863
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
舞台装置は壊れました。
ひづき
恋愛
公爵令嬢は予定通り婚約者から破棄を言い渡された。
婚約者の隣に平民上がりの聖女がいることも予定通り。
『お前は未来の国王と王妃を舞台に押し上げるための装置に過ぎん。それをゆめゆめ忘れるな』
全てはセイレーンの父と王妃の書いた台本の筋書き通り───
※一部過激な単語や設定があるため、R15(保険)とさせて頂きます
2020/10/30
お気に入り登録者数50超え、ありがとうございます(((o(*゚▽゚*)o)))
2020/11/08
舞台装置は壊れました。の続編に当たる『不確定要素は壊れました。』を公開したので、そちらも宜しくお願いします。
【完結】選ばれなかった王女は、手紙を残して消えることにした。
曽根原ツタ
恋愛
「お姉様、私はヴィンス様と愛し合っているの。だから邪魔者は――消えてくれない?」
「分かったわ」
「えっ……」
男が生まれない王家の第一王女ノルティマは、次の女王になるべく全てを犠牲にして教育を受けていた。
毎日奴隷のように働かされた挙句、将来王配として彼女を支えるはずだった婚約者ヴィンスは──妹と想いあっていた。
裏切りを知ったノルティマは、手紙を残して王宮を去ることに。
何もかも諦めて、崖から湖に飛び降りたとき──救いの手を差し伸べる男が現れて……?
★小説家になろう様で先行更新中
お父様お母様、お久しぶりです。あの時わたしを捨ててくださりありがとうございます
柚木ゆず
恋愛
ヤニックお父様、ジネットお母様。お久しぶりです。
わたしはアヴァザール伯爵家の長女エマとして生まれ、6歳のころ貴方がたによって隣国に捨てられてしまいましたよね?
当時のわたしにとってお二人は大事な家族で、だからとても辛かった。寂しくて悲しくて、捨てられたわたしは絶望のどん底に落ちていました。
でも。
今は、捨てられてよかったと思っています。
だって、その出来事によってわたしは――。大切な人達と出会い、大好きな人と出逢うことができたのですから。
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
【完結】婚約者に忘れられていた私
稲垣桜
恋愛
「やっぱり帰ってきてた」
「そのようだね。あれが問題の彼女?アシュリーの方が綺麗なのにな」
私は夜会の会場で、間違うことなく自身の婚約者が、栗毛の令嬢を愛しそうな瞳で見つめながら腰を抱き寄せて、それはそれは親しそうに見つめ合ってダンスをする姿を視線の先にとらえていた。
エスコートを申し出てくれた令息は私の横に立って、そんな冗談を口にしながら二人に視線を向けていた。
ここはベイモント侯爵家の夜会の会場。
私はとある方から国境の騎士団に所属している婚約者が『もう二か月前に帰ってきてる』という話を聞いて、ちょっとは驚いたけど「やっぱりか」と思った。
あれだけ出し続けた手紙の返事がないんだもん。そう思っても仕方ないよでしょ?
まあ、帰ってきているのはいいけど、女も一緒?
誰?
あれ?
せめて婚約者の私に『もうすぐ戻れる』とか、『もう帰ってきた』の一言ぐらいあってもいいんじゃない?
もうあなたなんてポイよポイッ。
※ゆる~い設定です。
※ご都合主義です。そんなものかと思ってください。
※視点が一話一話変わる場面もあります。
親からの寵愛を受けて育った妹は、私の婚約者が欲しいみたいですよ?
久遠りも
恋愛
妹は、私と違って親に溺愛されて育った。
そのせいで、妹は我儘で...何でも私のものを取るようになった。
私は大人になり、妹とは縁を切って、婚約者と幸せに暮らしていた。
だが、久しぶりに会った妹が、次は私の婚約者が欲しい!と言い出して...?
※誤字脱字等あればご指摘ください。
※ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる