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169.ワカマリナ視点/夢と現実
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(ワカマリナ視点)
「う~ん……むにゃむにゃ……」
……眠たいですわぁ。あら? いつの間にか眠ってしまったのですわね。わたくしとしたことが。
「ふわぁ~あ、よく寝ましたわ~」
いつの間に寝てしまったのでしょう。今日はいろいろあったので疲れて眠ってしまったのですわね。まあ、当然ですわね。……昨日は悪女を葬ろうとしただけなのに、訳が分からない理不尽な理由で牢に入れられたかと思えば、今日四人の殿方に助けられて遠くはるばる別荘にまで逃げ込んだのですから。
ただ、アクサン様を置いてきたのはマズいですわね。今になって気付いたのですが、もしかしたらアクサン様は今も王宮に残っているのかもしれません。王宮の兵士達はわたくしを牢屋に入れるようなお馬鹿さんばっかりですわ。そんな王宮に残してきたと思うと何だかアクサン様が不憫です。後で皆に頼んで迎えに行かないと……ってあれ?
「ここは……牢屋? え? 何? 夢?」
……あれれ? わたくしは夢を見ておりますの? 顔をつねろうと手を動かしますと、あら、何か手に違和感がありました。それは……
「え? 手枷!?」
な、なんてこと……奇麗なわたくしの手に手枷が嵌めさせられていましたわ! こんなものをわたくしに嵌めるだなんてどういうことなの!? まさか、これが夢だからではないでしょうね!?
「こ、これは、夢、夢ですわ! 絶対に夢に決まっていますわ! そうでなければどうしてわたくしが、こんな……! なんて悪夢! 早く覚めないと!」
わたくしはそれを証明しようとして自分の頬をつねってみます。そしたら……痛い? 嘘、これはもしかして夢じゃない! 気が付けば肌寒くて嫌な感じが全身で感じられる……これは夢じゃない!
「そんな……どうして……こんな馬鹿なことが……!」
……こんな牢屋に入れられて手枷を嵌められる。こんなことをあの四人がするはずがありませんわ!
「み、皆はどこ!? どこにいますの!?」
わたくしはきょろきょろと周りを見たり叫んでみますが、何も見当たりませんし誰もいないようでした。ここには見方がおりません……。
「まさか、そんな……」
……まさか、わたくしが救出されたことそのものが夢で、今の状況こそが現実だった? そんな悪い考えが頭に浮かんでしまいました。それほど怖くて仕方がないのです。
でも、それだと説明できないこともあります。何故なら、今わたくしがいる牢屋は前よりも汚くて暗い感じがするし、この手枷もいつ嵌められたのかという疑問が残ります。
「なんて邪魔な手枷なの。こんなもの壊してやるわ!」
わたくしは手枷を睨み、壊すために床に叩きますがビクともしません。むしろわたくしの手が痛くなるだけでした。……屈辱です。この高貴なるわたくしがこんなものを嵌めさせられるなんて!
「こ、こんな仕打ち……許せませんわ! こんなの、まるで犯罪者のような扱いではありませんか!」
理不尽な現実に対して、わたくしは激しい怒りを叫ぶのです。その直後でした。
「……犯罪者ではないですか、貴女は」
「え!?」
どこから現れたのか、わたくしのことを愛してくれる殿方の一人、ゲンダ・エヌエイ様が現れたのです。
「う~ん……むにゃむにゃ……」
……眠たいですわぁ。あら? いつの間にか眠ってしまったのですわね。わたくしとしたことが。
「ふわぁ~あ、よく寝ましたわ~」
いつの間に寝てしまったのでしょう。今日はいろいろあったので疲れて眠ってしまったのですわね。まあ、当然ですわね。……昨日は悪女を葬ろうとしただけなのに、訳が分からない理不尽な理由で牢に入れられたかと思えば、今日四人の殿方に助けられて遠くはるばる別荘にまで逃げ込んだのですから。
ただ、アクサン様を置いてきたのはマズいですわね。今になって気付いたのですが、もしかしたらアクサン様は今も王宮に残っているのかもしれません。王宮の兵士達はわたくしを牢屋に入れるようなお馬鹿さんばっかりですわ。そんな王宮に残してきたと思うと何だかアクサン様が不憫です。後で皆に頼んで迎えに行かないと……ってあれ?
「ここは……牢屋? え? 何? 夢?」
……あれれ? わたくしは夢を見ておりますの? 顔をつねろうと手を動かしますと、あら、何か手に違和感がありました。それは……
「え? 手枷!?」
な、なんてこと……奇麗なわたくしの手に手枷が嵌めさせられていましたわ! こんなものをわたくしに嵌めるだなんてどういうことなの!? まさか、これが夢だからではないでしょうね!?
「こ、これは、夢、夢ですわ! 絶対に夢に決まっていますわ! そうでなければどうしてわたくしが、こんな……! なんて悪夢! 早く覚めないと!」
わたくしはそれを証明しようとして自分の頬をつねってみます。そしたら……痛い? 嘘、これはもしかして夢じゃない! 気が付けば肌寒くて嫌な感じが全身で感じられる……これは夢じゃない!
「そんな……どうして……こんな馬鹿なことが……!」
……こんな牢屋に入れられて手枷を嵌められる。こんなことをあの四人がするはずがありませんわ!
「み、皆はどこ!? どこにいますの!?」
わたくしはきょろきょろと周りを見たり叫んでみますが、何も見当たりませんし誰もいないようでした。ここには見方がおりません……。
「まさか、そんな……」
……まさか、わたくしが救出されたことそのものが夢で、今の状況こそが現実だった? そんな悪い考えが頭に浮かんでしまいました。それほど怖くて仕方がないのです。
でも、それだと説明できないこともあります。何故なら、今わたくしがいる牢屋は前よりも汚くて暗い感じがするし、この手枷もいつ嵌められたのかという疑問が残ります。
「なんて邪魔な手枷なの。こんなもの壊してやるわ!」
わたくしは手枷を睨み、壊すために床に叩きますがビクともしません。むしろわたくしの手が痛くなるだけでした。……屈辱です。この高貴なるわたくしがこんなものを嵌めさせられるなんて!
「こ、こんな仕打ち……許せませんわ! こんなの、まるで犯罪者のような扱いではありませんか!」
理不尽な現実に対して、わたくしは激しい怒りを叫ぶのです。その直後でした。
「……犯罪者ではないですか、貴女は」
「え!?」
どこから現れたのか、わたくしのことを愛してくれる殿方の一人、ゲンダ・エヌエイ様が現れたのです。
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