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151.戦闘中/ショウ・トゥアーロ
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ならず者たち相手に、フィルは一人で戦っているわけではない。むしろ相方のショウの方が派手に戦っているのだ。なにしろ見るからに強うそうな雰囲気を見せるショウのほうが警戒されるのは当然だ。だからこそ彼女を取り囲んでくる男の数が多い。つまり、犠牲になる男もそれだけいるということだ。
「おらあっ!」
「どぅあっ!?」
戦闘中で、女性が発するとは思えない豪快な声でショウは、掴みかかろうとした男の顔に飛び蹴りをくらわした。
「もう一丁!」
「ぶぅっ!?」
そして更に、瞬時に反対側の足でもう一発蹴りをくらわすという器用な技を見せつける。蹴られたのは男の右耳の上のあたり、脳震盪を起こしたのか気絶させてしまった。
「くそが! 切り刻んでやらあ!」
「複数で囲め! ただ者じゃねえ!」
「おう! 油断しねえ!」
ナイフを持った男たちが迫ってくるが、ショウはむしろその男たちの中の一人に突撃していく。まるで何かを狙うかのように。
「死にに来たか!」
「違う。本命はこっち」
ショウが向かってきたことに驚きつつも男はナイフで刺す姿勢で突撃する。ナイフをショウに刺すつもりだったのだが、ショウは前でかわし、その勢いを逆手にとって男のナイフを持った手を掴んでそのまま背負い投げを決めた。
「るぼっ!?」
「蹴りもやる!」
「ぶだっ!?」
「ナイフはもらう!」
背負い投げされた男の頭を蹴り飛ばしてみごとに気絶させる。気絶した男のナイフが転がるのを確認して拾い上げ、他に向かってくる敵にショウは笑顔で突撃する。
「ははは、弱い弱い! こんなんじゃアタシは止められねえよ!」
「クソ! 調子に乗りやがって!」
「身ぐるみはいでやらあ!」
ショウがナイフを手にしてことによって、ならず者たちの危機感は更に強くなった。もはや『女』を相手にしているのではないという気持ちさえ芽生え、武器を握り締めるその手が強くなる。殺す気で立ち向かう気になったのだ。
しかし、それだけの覚悟を決めてもショウは強すぎた。
「だあらっしゃあっ!」
ショウはナイフを剣のように両手で持って戦いに臨む。その構え、その姿は、まるで騎士を彷彿させるようなものであった。
「ぐっああああああ!!」
「ぎゃあああああ!!」
「てっ、手がああああああ!!」
武器を持った男達を優先して打ち倒していくショウ。両手にナイフを持った男でも、槍を持った男でも、斧を持った男でも、ショウは剣技を振るうかのようにナイフを器用に駆使して戦った。
その途中で、剣を扱う男が現れる。
「テメエ、まるで騎士みてえに戦いやがるな……」
「へえ、分かるのかい?」
剣を持った男は、床に転がる有象無象の男達のように汚い身なりであったが、どこか少しだけ雰囲気が違うようだった。剣の構え方が雑ではない。ショウのように型のはまったような構え方なのだ。
「もしかして、お前騎士になろうとしてたの? それなのに今はならず者?」
「黙れ! 昔色々あったんだよ! テメエこそその戦い方は騎士のそれじゃねえのかよ!」
「まあ、親父がそうだったからアタシも戦い方はこうなったんだ。詳しいことが言うつもりはねえ。だから尋常に勝負と行こうぜ!」
「ちっ! くそが、男の意地を見せてやらあ!」
剣を持った男がショウに立ち向かう。男の方は長剣で、ショウは短めのナイフ。これだとショウの方がかなり不利であるが、ショウは剣技で勝負した。
「これはどう! はあっ!」
「ちいっ! なんて早く……!」
武器の有利性と体格差に力量、そういう差をショウは磨き上げた剣技と持ち前の身軽さと素早さで覆す。男には反撃する隙すら見せない実力を見せつけるのだ。
「く、この俺が……こんな……っ!」
「しまいにしようか!」
「何!?」
ショウの動きが更に早くなる。それに追いつけなかった男は隙をつかれて剣を叩き落とされた。剣を失った男は無防備を晒し、そのまま何もできずにショウに首元を蹴り飛ばされる。
「~~~~~っ!?」
「へへへ、剣士との戦いは御無沙汰だったから結構楽しかったぜ!」
これでショウの周りには敵はいなくなった。残りもフィルが片付けてしまった。十数人ほどの男達が立った二人の女性に倒されてしまったというわけだ。
「おらあっ!」
「どぅあっ!?」
戦闘中で、女性が発するとは思えない豪快な声でショウは、掴みかかろうとした男の顔に飛び蹴りをくらわした。
「もう一丁!」
「ぶぅっ!?」
そして更に、瞬時に反対側の足でもう一発蹴りをくらわすという器用な技を見せつける。蹴られたのは男の右耳の上のあたり、脳震盪を起こしたのか気絶させてしまった。
「くそが! 切り刻んでやらあ!」
「複数で囲め! ただ者じゃねえ!」
「おう! 油断しねえ!」
ナイフを持った男たちが迫ってくるが、ショウはむしろその男たちの中の一人に突撃していく。まるで何かを狙うかのように。
「死にに来たか!」
「違う。本命はこっち」
ショウが向かってきたことに驚きつつも男はナイフで刺す姿勢で突撃する。ナイフをショウに刺すつもりだったのだが、ショウは前でかわし、その勢いを逆手にとって男のナイフを持った手を掴んでそのまま背負い投げを決めた。
「るぼっ!?」
「蹴りもやる!」
「ぶだっ!?」
「ナイフはもらう!」
背負い投げされた男の頭を蹴り飛ばしてみごとに気絶させる。気絶した男のナイフが転がるのを確認して拾い上げ、他に向かってくる敵にショウは笑顔で突撃する。
「ははは、弱い弱い! こんなんじゃアタシは止められねえよ!」
「クソ! 調子に乗りやがって!」
「身ぐるみはいでやらあ!」
ショウがナイフを手にしてことによって、ならず者たちの危機感は更に強くなった。もはや『女』を相手にしているのではないという気持ちさえ芽生え、武器を握り締めるその手が強くなる。殺す気で立ち向かう気になったのだ。
しかし、それだけの覚悟を決めてもショウは強すぎた。
「だあらっしゃあっ!」
ショウはナイフを剣のように両手で持って戦いに臨む。その構え、その姿は、まるで騎士を彷彿させるようなものであった。
「ぐっああああああ!!」
「ぎゃあああああ!!」
「てっ、手がああああああ!!」
武器を持った男達を優先して打ち倒していくショウ。両手にナイフを持った男でも、槍を持った男でも、斧を持った男でも、ショウは剣技を振るうかのようにナイフを器用に駆使して戦った。
その途中で、剣を扱う男が現れる。
「テメエ、まるで騎士みてえに戦いやがるな……」
「へえ、分かるのかい?」
剣を持った男は、床に転がる有象無象の男達のように汚い身なりであったが、どこか少しだけ雰囲気が違うようだった。剣の構え方が雑ではない。ショウのように型のはまったような構え方なのだ。
「もしかして、お前騎士になろうとしてたの? それなのに今はならず者?」
「黙れ! 昔色々あったんだよ! テメエこそその戦い方は騎士のそれじゃねえのかよ!」
「まあ、親父がそうだったからアタシも戦い方はこうなったんだ。詳しいことが言うつもりはねえ。だから尋常に勝負と行こうぜ!」
「ちっ! くそが、男の意地を見せてやらあ!」
剣を持った男がショウに立ち向かう。男の方は長剣で、ショウは短めのナイフ。これだとショウの方がかなり不利であるが、ショウは剣技で勝負した。
「これはどう! はあっ!」
「ちいっ! なんて早く……!」
武器の有利性と体格差に力量、そういう差をショウは磨き上げた剣技と持ち前の身軽さと素早さで覆す。男には反撃する隙すら見せない実力を見せつけるのだ。
「く、この俺が……こんな……っ!」
「しまいにしようか!」
「何!?」
ショウの動きが更に早くなる。それに追いつけなかった男は隙をつかれて剣を叩き落とされた。剣を失った男は無防備を晒し、そのまま何もできずにショウに首元を蹴り飛ばされる。
「~~~~~っ!?」
「へへへ、剣士との戦いは御無沙汰だったから結構楽しかったぜ!」
これでショウの周りには敵はいなくなった。残りもフィルが片付けてしまった。十数人ほどの男達が立った二人の女性に倒されてしまったというわけだ。
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