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117.任意同行/恥の上塗り
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「イカゾノス伯爵。私達と詳しい話をする時は、然るべき場所だと思います。今、この場ではありませんでしょう」
「は、はぁ……」
「簡単に言えば、私はこの場で貴方と話すことは一切無いということですよ」
「……!」
リーベエはジノンの言っている意味が分からなかったが、とりあえず窮地に立たされるような話はされないと思って少しだけ安心してしまった。もしや、ワカマリナのことで悪い方向に話が始まると思っていただけに拍子抜けした。だが、面倒な話はされなかったが面倒な仕事が残っていた。
「そ、そうですか。それでは私達には用事があるので残念ながら、」
「ただ、ワカマリナ嬢のことで事情聴取を受けるべきではありますがね」
「「……へ?」」
この場を立ち去ろうとしたのだが、ジノンは立ち去りたいリーベエとフミーナの言葉を遮って、二人にとって別の意味で胃が痛くなるような面倒ごとを与えた。
「ワカマリナ嬢のことで御両親であられる貴方方には、是非ともワカマリナ嬢のことで詳しく話していただきたいのです。ということで、兵士の皆さん。このお二方を任意同行していただけますか?」
「「え!?」」
ジノンは控えていた兵士の方に振り替えると笑顔でそんなことを言いだした。今度は事情聴取と任意同行と聞いて、リーベエとフミーナの頭に再び不安が広がった。
「「「「「了解しました」」」」」
「「げ!?」」
そして、見事に不安は的中。複数の兵士達がリーベエとフミーナの両側に回って、両腕を掴んできた。どうやら兵士達は、とても『任意同行』とは呼べない形で二人を連れて行くようだった。
「お、おい、何をするんだ! こ、公爵殿! 任意同行ではないではないですか!」
「ちょ、ちょっとやだ! 何するのよ無礼者! 私は伯爵夫人なのよ!」
抵抗する二人だが多勢に無勢。ワカマリナのように無理やり連れていかれるのだった。抵抗しても無駄と分かった二人は、恥を忍んで目についた者達に助けを求めた。
「あ、アキエーサ! 公爵殿に取り計らってくれないか!? 今までのことは悪かった! 頭を下げて謝るから助けてくれ!」
「お願いよアキエーサ! これまで不遇にして本当にごめんなさい! お願いだから私達とワカマリナを助けて!」
「……………………え?」
「「「「っ!?」」」」
事情を知る者からすれば信じられないことに、リーベエとフミーナはあろうことか絶縁したはずのアキエーサに助けを求めたのだ。あまりにも驚かされる事態に、誰もが何を言いだしたのかと一瞬理解が遅くなった。特に、助けを求められたアキエーサに至っては、今も理解できないどころか理解したくなくて仕方がなかった。
「な、何、を…………?」
実の親に助けられたことがないアキエーサは、現実逃避したかのように固まってその場から動けなくなった。しかし、他の者たちはそうはいかない。
いくら追い詰められたからと言っても、契約までしてまで縁を切った娘に助けを求めるなど、プライドがないにもほどがある。親失格なうえに恥知らずになり下がった。その場にいる誰もがそう思ったほどだ。
衝撃と驚愕の後すぐに、呆れと軽蔑する気持ちが強くなる。特に、今もリーベエの親族であるルカスはそれが顕著に出た。
「……ふざけんじゃねえぞリーベエ! お前ら、自分たちが今までアキエーサに何をしてきたか分かっていってんのか! よくもそこまで恥の上塗りができるもんだな!?」
「あ、兄上……」
ルカスは激しい怒りを露わにしてリーベエに詰め寄ったのだ。
「は、はぁ……」
「簡単に言えば、私はこの場で貴方と話すことは一切無いということですよ」
「……!」
リーベエはジノンの言っている意味が分からなかったが、とりあえず窮地に立たされるような話はされないと思って少しだけ安心してしまった。もしや、ワカマリナのことで悪い方向に話が始まると思っていただけに拍子抜けした。だが、面倒な話はされなかったが面倒な仕事が残っていた。
「そ、そうですか。それでは私達には用事があるので残念ながら、」
「ただ、ワカマリナ嬢のことで事情聴取を受けるべきではありますがね」
「「……へ?」」
この場を立ち去ろうとしたのだが、ジノンは立ち去りたいリーベエとフミーナの言葉を遮って、二人にとって別の意味で胃が痛くなるような面倒ごとを与えた。
「ワカマリナ嬢のことで御両親であられる貴方方には、是非ともワカマリナ嬢のことで詳しく話していただきたいのです。ということで、兵士の皆さん。このお二方を任意同行していただけますか?」
「「え!?」」
ジノンは控えていた兵士の方に振り替えると笑顔でそんなことを言いだした。今度は事情聴取と任意同行と聞いて、リーベエとフミーナの頭に再び不安が広がった。
「「「「「了解しました」」」」」
「「げ!?」」
そして、見事に不安は的中。複数の兵士達がリーベエとフミーナの両側に回って、両腕を掴んできた。どうやら兵士達は、とても『任意同行』とは呼べない形で二人を連れて行くようだった。
「お、おい、何をするんだ! こ、公爵殿! 任意同行ではないではないですか!」
「ちょ、ちょっとやだ! 何するのよ無礼者! 私は伯爵夫人なのよ!」
抵抗する二人だが多勢に無勢。ワカマリナのように無理やり連れていかれるのだった。抵抗しても無駄と分かった二人は、恥を忍んで目についた者達に助けを求めた。
「あ、アキエーサ! 公爵殿に取り計らってくれないか!? 今までのことは悪かった! 頭を下げて謝るから助けてくれ!」
「お願いよアキエーサ! これまで不遇にして本当にごめんなさい! お願いだから私達とワカマリナを助けて!」
「……………………え?」
「「「「っ!?」」」」
事情を知る者からすれば信じられないことに、リーベエとフミーナはあろうことか絶縁したはずのアキエーサに助けを求めたのだ。あまりにも驚かされる事態に、誰もが何を言いだしたのかと一瞬理解が遅くなった。特に、助けを求められたアキエーサに至っては、今も理解できないどころか理解したくなくて仕方がなかった。
「な、何、を…………?」
実の親に助けられたことがないアキエーサは、現実逃避したかのように固まってその場から動けなくなった。しかし、他の者たちはそうはいかない。
いくら追い詰められたからと言っても、契約までしてまで縁を切った娘に助けを求めるなど、プライドがないにもほどがある。親失格なうえに恥知らずになり下がった。その場にいる誰もがそう思ったほどだ。
衝撃と驚愕の後すぐに、呆れと軽蔑する気持ちが強くなる。特に、今もリーベエの親族であるルカスはそれが顕著に出た。
「……ふざけんじゃねえぞリーベエ! お前ら、自分たちが今までアキエーサに何をしてきたか分かっていってんのか! よくもそこまで恥の上塗りができるもんだな!?」
「あ、兄上……」
ルカスは激しい怒りを露わにしてリーベエに詰め寄ったのだ。
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