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96.エリザ視点/今更後戻りできないくらいに
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(エリザ視点)
「ですが、まだまだやることはあります」
「そうなのか? お前の話を聞く限りではアクサン殿下はもう何もしなくても自滅するんじゃないのか?」
冷静になったお兄様はいいところに気が付きましたね。確かにそうです。だけど、思わぬ懸念事項があるのです。
「それはアクサン殿下が今のままであればの話です。新しい婚約者となったワカマリナ様が問題なのです」
「新しい婚約者のことか? アクサン殿下以上の馬鹿だろう? それの何が問題なんだ?」
「お兄様の言う通りですが、『それ』が問題なのです」
「?」
その通り、ワカマリナ・イカゾノス伯爵令嬢はアクサン殿下を上回る問題児でした。己の美貌を自覚してうまく利用することで多くの男を誘惑して弄び、その分だけ関わった人の婚約を白紙にしてしまっています。金遣いも荒く、非常に我儘で傲慢で頭も悪いうえに性格も最悪ということで身分関係なく迷惑をかけていました。
最初のうちはアクサン殿下の女性版などと思っていた私も、ワカマリナ様の愚行の数々に驚きました。これは、流石のアクサン殿下もとんでもないハズレくじを選んだと気付くのではないかと思いました。それが問題なのです。
「ワカマリナ様は分かりやすいくらいの愚者です。その現実をアクサン殿下が気付かれてしまわれると『やっぱり婚約破棄は無かったことに』とか言いだすかもしれません。それでは私が困ります。せっかく自由になれたのに」
「……まあ、なるほど。確かにあのクズ王子なら『今の女に飽きたからエリザとの婚約を戻してくれ』とか言いだしかねないな。そんなことは断じて許しはしないけどな」
「はい。だからこそ、今更後戻りできないくらいに追い詰めなければいけないのです。多くの人々、特に貴族側でアクサン殿下とワカマリナ様の関係を周知させなければと思っています」
「……そこまで考えているのか」
お兄様が私に感心していますが、その言葉はまだ早かったのですよ?
「具体的には今度の王宮で開かれるパーティーですね。おそらく多くの人々が来ることでしょう。好奇の目でアクサン殿下とワカマリナ様をその目で見るために。何しろアクサン殿下が主催者になるのですからね」
「ああ、そうだったな………え? アクサン殿下が主催者だって? あの男にそんな経験なんて無いだろ?」
「国王陛下にワカマリナ様との結婚を認めてもらうための条件のようですよ。失敗したら……私達の望むとおりの罰を与えられるようです」
「! 本当か!?」
お兄様が心底驚いています。アクサン殿下のことを嫌っているというか憎んですらいたようですからね。まあ、原因は私のようですけど。
「本当です。失敗すれば王族からも除籍することも考えるようです。ですから、後戻りできないくらい大きな失敗にしてしまいましょう。例えば、」
「例えば?」
「諸外国の要人の方々が見ている前でアクサン殿下達に失敗してもらうのです。王子の婚約ともなれば友好国等の要人が来てくださってもおかしくはないでしょうから」
「ええ!?」
流石にお兄様も私の言葉の意味くらい理解しましたか。ですが、出来るのですよ。ワカマリナ様が勝手に吹聴なさってくださっていますしね。
「ですが、まだまだやることはあります」
「そうなのか? お前の話を聞く限りではアクサン殿下はもう何もしなくても自滅するんじゃないのか?」
冷静になったお兄様はいいところに気が付きましたね。確かにそうです。だけど、思わぬ懸念事項があるのです。
「それはアクサン殿下が今のままであればの話です。新しい婚約者となったワカマリナ様が問題なのです」
「新しい婚約者のことか? アクサン殿下以上の馬鹿だろう? それの何が問題なんだ?」
「お兄様の言う通りですが、『それ』が問題なのです」
「?」
その通り、ワカマリナ・イカゾノス伯爵令嬢はアクサン殿下を上回る問題児でした。己の美貌を自覚してうまく利用することで多くの男を誘惑して弄び、その分だけ関わった人の婚約を白紙にしてしまっています。金遣いも荒く、非常に我儘で傲慢で頭も悪いうえに性格も最悪ということで身分関係なく迷惑をかけていました。
最初のうちはアクサン殿下の女性版などと思っていた私も、ワカマリナ様の愚行の数々に驚きました。これは、流石のアクサン殿下もとんでもないハズレくじを選んだと気付くのではないかと思いました。それが問題なのです。
「ワカマリナ様は分かりやすいくらいの愚者です。その現実をアクサン殿下が気付かれてしまわれると『やっぱり婚約破棄は無かったことに』とか言いだすかもしれません。それでは私が困ります。せっかく自由になれたのに」
「……まあ、なるほど。確かにあのクズ王子なら『今の女に飽きたからエリザとの婚約を戻してくれ』とか言いだしかねないな。そんなことは断じて許しはしないけどな」
「はい。だからこそ、今更後戻りできないくらいに追い詰めなければいけないのです。多くの人々、特に貴族側でアクサン殿下とワカマリナ様の関係を周知させなければと思っています」
「……そこまで考えているのか」
お兄様が私に感心していますが、その言葉はまだ早かったのですよ?
「具体的には今度の王宮で開かれるパーティーですね。おそらく多くの人々が来ることでしょう。好奇の目でアクサン殿下とワカマリナ様をその目で見るために。何しろアクサン殿下が主催者になるのですからね」
「ああ、そうだったな………え? アクサン殿下が主催者だって? あの男にそんな経験なんて無いだろ?」
「国王陛下にワカマリナ様との結婚を認めてもらうための条件のようですよ。失敗したら……私達の望むとおりの罰を与えられるようです」
「! 本当か!?」
お兄様が心底驚いています。アクサン殿下のことを嫌っているというか憎んですらいたようですからね。まあ、原因は私のようですけど。
「本当です。失敗すれば王族からも除籍することも考えるようです。ですから、後戻りできないくらい大きな失敗にしてしまいましょう。例えば、」
「例えば?」
「諸外国の要人の方々が見ている前でアクサン殿下達に失敗してもらうのです。王子の婚約ともなれば友好国等の要人が来てくださってもおかしくはないでしょうから」
「ええ!?」
流石にお兄様も私の言葉の意味くらい理解しましたか。ですが、出来るのですよ。ワカマリナ様が勝手に吹聴なさってくださっていますしね。
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