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56.アクサン視点/パーティーの準備

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(アクサン視点)

私が王太子のままワカマリナと結婚しても許してもらえる条件。それは今度のパーティーを絶対に成功させることなんだ。それを成し遂げることができればいいけど、もし失敗したら私は王族から除籍されるという。……いくら何でもそこまではしないよな?


とりあえず私は、部下たちを集めてパーティーの準備を開始した。パーティーの日は一か月後だし、十分時間はあるけど、早いうちに準備したほうがいいと思われる。


「――というわけでお前達にも協力してもらうことになった。私のために働いてくれ 」


今、私の目の前には有力貴族の出自の貴族の子息たちがいる。彼らは私の取り巻き達だ。いわば雑用係みたいなものであり忠実な部下たちだ。いくら私でも、ワカマリナと二人だけで王宮のパーティーを仕切れるとは思わない。だからこそ、彼らの力が必然となるわけだ。


「……事情は分かりました。それで、我々は何から始めましょうか?」


取り巻きの中でも体躯のしっかりした男が代表として私の指示を求める。何故か嫌そうにしているような気もするが、まあいいか。指示してやることは決まっているから堂々と告げてやろう。


「一か月後に開かれる王宮のパーティーを成功させてくれ! 頼むぞ!」

「「「「「…………」」」」」

「それじゃあ、後はよろしくな!」

「「「「「え?」」」」」

「これから私はワカマリナとデートに行くから忙しいのだ。パーティーのことはお前達に任せた!」

「「「「「え、ええ~!?」」」」」


それだけ言って私は取り巻き達に後を任せて、ワカマリナのもとへ向かう。今、ワカマリナは私が与えた部屋で寂しくしているだろうしな。すぐに会いに行かなければ!





……私の取り巻き達は思ったよりも有能ではないのかもしれない。あいつら、あろうことか私がワカマリナとデートしている時にパーティーの細かい内容について質問攻めしてくるなんてどういう神経してるんだ?


パーティーの費用? 料理と酒の種類? パーティーの飾り付けの仕様? 招待される人の確認? 何故この私がそんな細かいことまで把握せねばならんのだ。費用も料理も、招かれる人も大体いつもと同じではないか。だから私はあいつらにこう言ってやったのだ。


「今度のパーティーの使用は全て、前回のパーティーと同じにしろ。後の細かいところはお前達で何とかするがいい」

「「「「「…………」」」」」


何も問題は無いはずだ。パーティーの費用も料理も飾り付けとかも大体いつも変りはしないだろうからな。来る人だって滅多なことがなければ変わることはあるまい。細かい違いがあれば任せるとあいつらに言っておいてあるから、後は大丈夫だろう。


さ~て、私はワカマリナとのデートの続きだ。パーティーの件はもう大丈夫だろうしな。






――という感じに、私は一か月前は気楽に考えていたのだが……それは間違いであったということに早く気付くべきだったと後悔することになる。いや、ある意味……最初から、間違えていたのかもしれない。
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