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51.前日/アクサン視点
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王宮のパーティー前日。ルカスとアキエーサは、パーティーの支度を整えていた。そして、最後に当日の打ち合わせも確認し合っていた。
「……なあ、本当にやるのか?」
「はい。部下たちの準備も万全ですので、当日はやってやれますよ。義父様も言っていたではありませんか。いつかは公にしないといけないことだって」
「まあ、そうだが……王宮でとなると結構大々的になるのだが、いいのか?」
アキエーサはパーティーでとある発表をする予定を組んでいた。これまで秘密にしてきたことを明かすことであり、そう簡単には信じられない事実を。
「はい。商会も思っていたよりも大分大きなものになってしまいましたから、もうこの辺で正体を明かそうと思っていたのだからちょうどいいと思うのです。噂でも『謎の会長の正体は若い娘』とか『実は貴族令嬢がリーダー』とか言われていますし」
「……そうだな、隠しておくのも限界というわけか。正体を明かすとなれば、これからは一層気を付けていかねばならなくなるが、本当にいいんだな?」
ルカスは最後の確認を取る。彼は心配なのだ。アキエーサのやろうとしていることが上手くいった後で、アキエーサが大変な思いをするのではないかと。ただでさえ、イカゾノス家にいた頃につらい経験をしているのだからなおさらだ。
「はい、ワカマリナにも負けたくありませんからね」
「!」
しかし、アキエーサの決意は固かった。彼女の目にはルカスですら滅多に見ないような輝きが見えるような気がした。
「くくく、そうかよく言った! もう俺からは何も言うまい! 俺も協力しようじゃないか! 婚約者と一緒にパーティーに臨め! そして、パーティーを盛り上げて見せろ!」
「もちろんです!」
ルカスは、これ以上思いとどまセルのは無粋、むしろ後押しするべきだと理解した。そして、全面的に協力する決意をした。
「……愚かだなリーベエよ。こんな優れた娘を手放すとはな。明日はきっと後悔するぞ」
◇
(アクサン視点)
私の名はアクサン・フーシャ。偉大なるフーシャ王国の第一王子だ。明日はこの私が主催とするパーティーが開催されるのだ。実を言えば、主催者としてパーティーを開くだなんて面倒くさくて仕方がないのだが、国王として偉そうにしている父上が私とワカマリナとの婚約を許してくれる条件として、パーティーを絶対成功させろと言うのだ。
『よいか! ワカマリナ嬢との婚約を実現したければ、今度のパーティーの責任者として成功させて見せよ! それができなければ婚約どころか王族から除籍されるものと思え!』
父上はいつになく厳しかった。そこが理解できない。ワカマリナは伯爵令嬢なんだ。王太子の婚約者としてはギリギリ間に合うじゃないか。そこまで厳しくしなくてもいいだろう?
ワカマリナが男爵か子爵の令嬢なら無理だと言われてもよく分かる。よく不出来な恋愛小説には『王太子と男爵令嬢が身分違いの愛』をテーマにするものがある。だけど、王族が男爵令嬢を娶るなど問題しか起こらないし、常識的にも無理があることは私も分かるものだ。
だからこそ、伯爵令嬢と聞いてワカマリナに手を出したんだ。
「……なあ、本当にやるのか?」
「はい。部下たちの準備も万全ですので、当日はやってやれますよ。義父様も言っていたではありませんか。いつかは公にしないといけないことだって」
「まあ、そうだが……王宮でとなると結構大々的になるのだが、いいのか?」
アキエーサはパーティーでとある発表をする予定を組んでいた。これまで秘密にしてきたことを明かすことであり、そう簡単には信じられない事実を。
「はい。商会も思っていたよりも大分大きなものになってしまいましたから、もうこの辺で正体を明かそうと思っていたのだからちょうどいいと思うのです。噂でも『謎の会長の正体は若い娘』とか『実は貴族令嬢がリーダー』とか言われていますし」
「……そうだな、隠しておくのも限界というわけか。正体を明かすとなれば、これからは一層気を付けていかねばならなくなるが、本当にいいんだな?」
ルカスは最後の確認を取る。彼は心配なのだ。アキエーサのやろうとしていることが上手くいった後で、アキエーサが大変な思いをするのではないかと。ただでさえ、イカゾノス家にいた頃につらい経験をしているのだからなおさらだ。
「はい、ワカマリナにも負けたくありませんからね」
「!」
しかし、アキエーサの決意は固かった。彼女の目にはルカスですら滅多に見ないような輝きが見えるような気がした。
「くくく、そうかよく言った! もう俺からは何も言うまい! 俺も協力しようじゃないか! 婚約者と一緒にパーティーに臨め! そして、パーティーを盛り上げて見せろ!」
「もちろんです!」
ルカスは、これ以上思いとどまセルのは無粋、むしろ後押しするべきだと理解した。そして、全面的に協力する決意をした。
「……愚かだなリーベエよ。こんな優れた娘を手放すとはな。明日はきっと後悔するぞ」
◇
(アクサン視点)
私の名はアクサン・フーシャ。偉大なるフーシャ王国の第一王子だ。明日はこの私が主催とするパーティーが開催されるのだ。実を言えば、主催者としてパーティーを開くだなんて面倒くさくて仕方がないのだが、国王として偉そうにしている父上が私とワカマリナとの婚約を許してくれる条件として、パーティーを絶対成功させろと言うのだ。
『よいか! ワカマリナ嬢との婚約を実現したければ、今度のパーティーの責任者として成功させて見せよ! それができなければ婚約どころか王族から除籍されるものと思え!』
父上はいつになく厳しかった。そこが理解できない。ワカマリナは伯爵令嬢なんだ。王太子の婚約者としてはギリギリ間に合うじゃないか。そこまで厳しくしなくてもいいだろう?
ワカマリナが男爵か子爵の令嬢なら無理だと言われてもよく分かる。よく不出来な恋愛小説には『王太子と男爵令嬢が身分違いの愛』をテーマにするものがある。だけど、王族が男爵令嬢を娶るなど問題しか起こらないし、常識的にも無理があることは私も分かるものだ。
だからこそ、伯爵令嬢と聞いてワカマリナに手を出したんだ。
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