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33.父/情けない

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だが、そんなことはアキエーサが許さない。

「お父様、言っておきますがお父様に対する言葉でもあるのですよ。まるで他人事のように聞いておられますが、ご自身は無関係などだとは思っていないでしょうね?」

「な、何!?」

突然話を振られてリーベエは驚いた。フミーナがアキエーサに暴力を振るっていたことに、アキエーサが怒りを露わにしていた衝撃的すぎて、リーベエは自分は蚊帳の外だと錯覚していた。アキエーサの屋敷での境遇のことを考えれば、そんなはずはないというのに。

「当然でしょう。ワカマリナのことはお父様も同じではありませんか。義母様のように溺愛するばかりが印象的でしたよ」

「……それは、その……」

「それ以上に、お父様も私の扱いのことは知っていたのに何も言わないし、お金のこともワカマリナの好きにさせてきたではないですか。『お金のことは気にしなくていいよ』などと優しい顔でワカマリナにささやいていたことをお忘れですか?」

「あ!」

アキエーサに言われてリーベエはハッとした。アキエーサの言うように、ワカマリナにそういうことを言った覚えがあったからだ。

「そんなことではワカマリナが調子に乗って散財するのも当然です。あの子は単純で考え無しでもありますからね。そういう意味では、お父様も親として情けない限りではないですか」

「ぐっ……それは……」

リーベエはアキエーサの言うことを否定することができなかった。確かにリーベエ自身もワカマリナを溺愛していたため、彼女に金をいくら使ってもいいと言ってしまったことがある。その言葉を信じたワカマリナは金遣いが荒くなったのかもしれない。そして、その結果がイカゾノス家の財政危機に繋がった。そのことに関しては否定できなかった。

しかし、リーベエに対するアキエーサの追及はまだ収まらない。それは親としての側面だけではなく、貴族としての側面だった。

「それどころか、お父様はイカゾノス家の当主でありながら滅多に屋敷に戻って執務をなさらないとはどういうことですか? しかも、屋敷でできる仕事の全てを使用人達に任せっきりだなんて……貴族としてあるまじき行いではありませんか!」

「っ!? そ、それは……いや、それは、その……社交での仕事が忙しくて、屋敷に戻れないんだ……」

仕事のことまで言及されたリーベエは驚き、そして焦り始めた。屋敷に戻らないで使用人に任せっきりなのも紛れもなく事実だからだ。ただ、言い訳で社交が忙しいなどと口にしたが、本当はそれだけではないのだ。本当の理由だけは流石に口に出すことはできない。貴族として恥ずかしいからだ。

「そ、そのことに、ついては反省している………本当に申し訳なく、」

「社交で忙しいだと? 本当にそれだけか? リーベエ、今も若い頃のように遊び歩いているから、の間違いじゃないのか?」

「な!? 兄上! 何を言うんだ! ち、違う! 違うんだ!」
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