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15.ワカマリナ視点/商人
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(ワカマリナ視点)
わたくしは貴族令嬢なのですわ。だから平民達はわたくしをもてなさなければなりません。それなのに、わたくしの家と契約している商人の者達は気が利かないのです。しかも不親切でけち臭いのです。
わたくしが来てやったと言うのに、他のお客と同じ扱いだし、あろうことか、わたくしからもお金を払うように願うだなんて無礼にもほどがありますわ。挙句には店の品をちょっと傷つけたぐらいで弁償してほしいなんて、頭おかしいのではなくて?
そんな人達の話なんて聞くだけ無駄ですわ。
お父様もどうしてこんな人達と懇意にしてらしているのかしらね。もっと親切で気の利く商人と契約なさればいいのに。
◇
リーベエが領民から情報を得てから数日後、イカゾノス家の屋敷に再びワカマリナの情報が入ってきた。それはイカゾノス家と商売取引している商人達からのものだった。最初は、こんな時に屋敷を訪れてきた商人達に対して、リーベエは困惑した。
「い、一体どうしたというのだ? 諸君らが皆して我が家に来るなんて、もしやワカマリナのことか?」
懇意にしている商人達がワカマリナの情報を掴んで情報を提供してきてくれたのでは、と期待したリーベエだったが、予想は大きく違っていた。ワカマリナ関連ではあるが、商人の一人が語りだしたのは苦情だったのだ。
「そうですね、お宅のワカマリナお嬢様のことで我らは苦情を進言しにまいったのですよ。我らの店にやってきては『懇意にしてやってるんだからお金は取らないで!』と言って本当にお金を払わないし、店の備品を壊したり傷つけたりしても『大目に見なさいよ!』と言って弁償もしない。挙句には店の商品にその場で文句を言って人前で悪口を言い放つ始末。もう我慢の限界なのですよ我々は」
「……は?」
苦情を聞いたリーベエは一瞬呆けたが、すぐに非常にマズいことになったと理解した。ワカマリナのことで商人達はイカゾノス家に怒りをぶつけに来たのだと、このままでは彼らとの関係が悪くなってしまうのだということを悟ったのだ。そこで、リーベエはすぐに弁明しようと試みる。
「す、すまなかった! 我が娘ワカマリナは世間知らずで、」
「謝罪は結構です。遅すぎますから」
しかし、時すでに遅しだった。代表格の商人がリーベエの弁明を遮って決意を口にした。
「我らはイカゾノス家との契約を破棄させていただきます。今後は一切の関りを絶たせていただく所存です」
「な、何!?」
驚愕するリーベエにも構わないで、商人達は封筒を取り出して渡した。こんなことも付け加えて。
「そして、これがワカマリナ嬢の請求される損害賠償金であるので、これだけは必ずお支払いしていただきます。未払いの商品の金額もここにあるのでよろしくお願いします」
「ま、また請求されるのか……いやいやいやいや! ちょっと待ってくれ! 冷静に話を、」
「断ります。我々もワカマリナ嬢とは何度も話し合いを求めましたが一度も応じていただけなかったのですよ? ご当主である貴方もそうだったではないですか。何度も手紙を送ったというのに」
「そ、それは……!」
その通りだった。屋敷に届いた書類等の中にはワカマリナが購入したドレス・宝石等の請求書だけではなかったのだ。
わたくしは貴族令嬢なのですわ。だから平民達はわたくしをもてなさなければなりません。それなのに、わたくしの家と契約している商人の者達は気が利かないのです。しかも不親切でけち臭いのです。
わたくしが来てやったと言うのに、他のお客と同じ扱いだし、あろうことか、わたくしからもお金を払うように願うだなんて無礼にもほどがありますわ。挙句には店の品をちょっと傷つけたぐらいで弁償してほしいなんて、頭おかしいのではなくて?
そんな人達の話なんて聞くだけ無駄ですわ。
お父様もどうしてこんな人達と懇意にしてらしているのかしらね。もっと親切で気の利く商人と契約なさればいいのに。
◇
リーベエが領民から情報を得てから数日後、イカゾノス家の屋敷に再びワカマリナの情報が入ってきた。それはイカゾノス家と商売取引している商人達からのものだった。最初は、こんな時に屋敷を訪れてきた商人達に対して、リーベエは困惑した。
「い、一体どうしたというのだ? 諸君らが皆して我が家に来るなんて、もしやワカマリナのことか?」
懇意にしている商人達がワカマリナの情報を掴んで情報を提供してきてくれたのでは、と期待したリーベエだったが、予想は大きく違っていた。ワカマリナ関連ではあるが、商人の一人が語りだしたのは苦情だったのだ。
「そうですね、お宅のワカマリナお嬢様のことで我らは苦情を進言しにまいったのですよ。我らの店にやってきては『懇意にしてやってるんだからお金は取らないで!』と言って本当にお金を払わないし、店の備品を壊したり傷つけたりしても『大目に見なさいよ!』と言って弁償もしない。挙句には店の商品にその場で文句を言って人前で悪口を言い放つ始末。もう我慢の限界なのですよ我々は」
「……は?」
苦情を聞いたリーベエは一瞬呆けたが、すぐに非常にマズいことになったと理解した。ワカマリナのことで商人達はイカゾノス家に怒りをぶつけに来たのだと、このままでは彼らとの関係が悪くなってしまうのだということを悟ったのだ。そこで、リーベエはすぐに弁明しようと試みる。
「す、すまなかった! 我が娘ワカマリナは世間知らずで、」
「謝罪は結構です。遅すぎますから」
しかし、時すでに遅しだった。代表格の商人がリーベエの弁明を遮って決意を口にした。
「我らはイカゾノス家との契約を破棄させていただきます。今後は一切の関りを絶たせていただく所存です」
「な、何!?」
驚愕するリーベエにも構わないで、商人達は封筒を取り出して渡した。こんなことも付け加えて。
「そして、これがワカマリナ嬢の請求される損害賠償金であるので、これだけは必ずお支払いしていただきます。未払いの商品の金額もここにあるのでよろしくお願いします」
「ま、また請求されるのか……いやいやいやいや! ちょっと待ってくれ! 冷静に話を、」
「断ります。我々もワカマリナ嬢とは何度も話し合いを求めましたが一度も応じていただけなかったのですよ? ご当主である貴方もそうだったではないですか。何度も手紙を送ったというのに」
「そ、それは……!」
その通りだった。屋敷に届いた書類等の中にはワカマリナが購入したドレス・宝石等の請求書だけではなかったのだ。
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