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最終話 公爵令嬢は豹変しました
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◇
「というわけで朝から上手くいったの! クラスメイトの皆の印象は大きく変えられたの!」
「それは良かったじゃないか!」
「うん! レイダ様とアギア様も上手く立ち回ってくれて……もう皆私が生まれ変わったとか豹変したとか言うようになってね……!」
休み時間、オルフェと合流したミロアはすぐに楽しそうに情報交換を交えて会話するのだった。伝えたいことを伝えてクラスメイト達を驚かせたことや、授業に難なく追いつけていること、隣の席の令嬢と友だちになれたことなど、話題はもう尽きないくらいだ。
「あの鬼教師にも目をつけられたんだけど、私がスラスラ答えて見せたら目を丸くして驚いたの。しっかり勉強を続けてきたかいがあったわ」
「ええ!? あの鬼教師が!? それはすごいな!」
「それと男爵令息の男の子にナンパされたんだけど、」
「誰ソイツ? すぐに脅しを、」
「すでに小生がかけたのでご心配には及びありませぬ」
「子爵令息にも失礼な人がいたんだけど、」
「このソティーが力づくで注意してさしあげました」
「……ミロアの専属騎士は頼りになるなぁ……」
専属騎士のゴウルとソティーも会話に混じりだしたことで、休み時間を全て使い果たしてしまった。気づけば、次の授業は直前になっていた。
「あれ? 休み時間ってこんなに短かったっけ?」
「いや、俺たちが話しすぎたんだよ。次の授業に急ごう。話の続きはその後だ」
「そうね。今の私が遅れるとかっこ悪いし」
二人はそれぞれの授業に急いだ。
◇
「――というわけで遅れるかと思って急いだんだけど杞憂だったわね」
「ふふふ、そのようで」
「婚約者の方も間に合うと良いですね」
急いだおかげで時間に少し余裕ができたミロアは、レイダとアギアと楽しく会話の続きをするのだった。内容は婚約者のオルフェのことだ。
「……いい婚約者ですわねオルフェ様は。私も頼りがいのある幼馴染がいてくれれば良かったのですが……」
「私も……正直、羨ましいです。侯爵令息で強そうですし」
「ふふふ、ありがとうございます(本人が聞けば大喜びでしょうね)」
レイダとアギアはオルフェを高く評価するが、本人の自己評価は実は低いのだ。実際、オルフェの性格は二人の評価よりも下回る方なのだ。そんなことをミロアは口にするつもりはない。オルフェの名誉のためにも。
(オルフェだってきっといい方に変わっていける。何しろ、前世の記憶というチートを持って豹変したこの私ミロア・レトスノムが婚約者なんだからね)
「ミロア様が大きく変わられたのもオルフェ様のおかげなのですか?」
「それとも、お屋敷の誰かのおかげなのですか?」
「え? あ~、それは秘密です」
「「え!?」」
友人たちに変わることが出来た理由を聞かれても「前世を思い出したから」とは言えない。流石に友人でも超常現象的なことを口にしてすんなり信じられるとは思えないからだ。
(でも、なんか悪いから適当なことをいうか)
「しかし、あえて言うなら……」
「「?」」
ミロアは気品のあって、それでいて感情の籠もった笑顔で口にした。
「公爵令嬢は豹変しました。それが最大の理由ですね」
この直後、教室に教師が入ってきてテキパキと授業を開始するのだが、ミロアがその授業でも努力の成果を見せつけて驚かせることとなるのだ。
その日から、学園はミロアを中心に騒がしくなり、ミロア自身も退屈することのない有意義な学園生活をオルフェと友人たちと過ごすことになるのであった。
終わり
「というわけで朝から上手くいったの! クラスメイトの皆の印象は大きく変えられたの!」
「それは良かったじゃないか!」
「うん! レイダ様とアギア様も上手く立ち回ってくれて……もう皆私が生まれ変わったとか豹変したとか言うようになってね……!」
休み時間、オルフェと合流したミロアはすぐに楽しそうに情報交換を交えて会話するのだった。伝えたいことを伝えてクラスメイト達を驚かせたことや、授業に難なく追いつけていること、隣の席の令嬢と友だちになれたことなど、話題はもう尽きないくらいだ。
「あの鬼教師にも目をつけられたんだけど、私がスラスラ答えて見せたら目を丸くして驚いたの。しっかり勉強を続けてきたかいがあったわ」
「ええ!? あの鬼教師が!? それはすごいな!」
「それと男爵令息の男の子にナンパされたんだけど、」
「誰ソイツ? すぐに脅しを、」
「すでに小生がかけたのでご心配には及びありませぬ」
「子爵令息にも失礼な人がいたんだけど、」
「このソティーが力づくで注意してさしあげました」
「……ミロアの専属騎士は頼りになるなぁ……」
専属騎士のゴウルとソティーも会話に混じりだしたことで、休み時間を全て使い果たしてしまった。気づけば、次の授業は直前になっていた。
「あれ? 休み時間ってこんなに短かったっけ?」
「いや、俺たちが話しすぎたんだよ。次の授業に急ごう。話の続きはその後だ」
「そうね。今の私が遅れるとかっこ悪いし」
二人はそれぞれの授業に急いだ。
◇
「――というわけで遅れるかと思って急いだんだけど杞憂だったわね」
「ふふふ、そのようで」
「婚約者の方も間に合うと良いですね」
急いだおかげで時間に少し余裕ができたミロアは、レイダとアギアと楽しく会話の続きをするのだった。内容は婚約者のオルフェのことだ。
「……いい婚約者ですわねオルフェ様は。私も頼りがいのある幼馴染がいてくれれば良かったのですが……」
「私も……正直、羨ましいです。侯爵令息で強そうですし」
「ふふふ、ありがとうございます(本人が聞けば大喜びでしょうね)」
レイダとアギアはオルフェを高く評価するが、本人の自己評価は実は低いのだ。実際、オルフェの性格は二人の評価よりも下回る方なのだ。そんなことをミロアは口にするつもりはない。オルフェの名誉のためにも。
(オルフェだってきっといい方に変わっていける。何しろ、前世の記憶というチートを持って豹変したこの私ミロア・レトスノムが婚約者なんだからね)
「ミロア様が大きく変わられたのもオルフェ様のおかげなのですか?」
「それとも、お屋敷の誰かのおかげなのですか?」
「え? あ~、それは秘密です」
「「え!?」」
友人たちに変わることが出来た理由を聞かれても「前世を思い出したから」とは言えない。流石に友人でも超常現象的なことを口にしてすんなり信じられるとは思えないからだ。
(でも、なんか悪いから適当なことをいうか)
「しかし、あえて言うなら……」
「「?」」
ミロアは気品のあって、それでいて感情の籠もった笑顔で口にした。
「公爵令嬢は豹変しました。それが最大の理由ですね」
この直後、教室に教師が入ってきてテキパキと授業を開始するのだが、ミロアがその授業でも努力の成果を見せつけて驚かせることとなるのだ。
その日から、学園はミロアを中心に騒がしくなり、ミロア自身も退屈することのない有意義な学園生活をオルフェと友人たちと過ごすことになるのであった。
終わり
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