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第102話 男避け

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この時、オルフェのことを穏やかだと言う一方で父子揃って同じことを思った。


((そういう意味ではガンマ殿下達とは正反対というべきか……))


ガンマと元も含めた側近たちは、誰もが穏やかとは言い難い者達だ。ガンマはすぐ手が出て全てを台無しにしたり、騎士志望だった男は公爵を襲撃しようとしたり、今唯一の側近は大きな野心を持っていたり、元側近は病んだ思いを抱いたりと、総合して表現すると積極的すぎるとも言えるだろう。

もしかしたらミロアがオルフェのことを好むのは、彼らの存在そのものが要因の一つなのかもしれない。


(あいつらは立場が立場だから近寄りがたい雰囲気も出してたのよね)

(それに比べてオルフェは安心感がある。ミロアが心を許せるのも分かる程度にな)

「ただ、オルフェとの婚約は本人と話し合ってからですね。今の状況からだと向こうには男避け目的だと思われそうですが、それ以上に私がオルフェと結ばれたいということを誠意を持って話をしなければなりません。男避けが目的なのもそうですが、それ以上にオルフェ自身を求めているのも事実ですから全て話してしまいましょう」

「全て話すだと? 男避け目的は別に伝えなくてもいいのではないか?」

「オルフェを婚約者とするのならば重要な事実を明かさなくてはならないでしょう。目的の全てを言わずして婚約するなど不誠実ではないのですか?」


事前に言わないと不誠実ではないかというミロアだが、実はそういうのも前世の記憶を参考にしているのだ。


(投稿恋愛小説で『婚約者のふり』を頼まれて承諾する貴族の話がよくあったから多分大丈夫。そもそも本当の婚約者になるんだから上手くいくはずよ)

「まあ、そうだが……そうだな」


男避けが目的ですと聞けば、普通の男はいい気はしないものだとバーグは思うのだが、オルフェはミロアの幼馴染だからいいか気にしないことにした。


(ミロアのために結構動いているようだし、報告でも好意を抱いているのは間違いないと聞く。それにミロアも男避けはついでという感じだし大丈夫だろう)

「話は決まりましたね? それではお父様には早速イーノック家と密かに話し合う機会を作っていただきたいと思います」

「待て待て、まだ承諾したわけではないぞ。学園ではどう過ごすつもりだ?」

「? 普通にオルフェと仲良く過ごしてみて、殿下達が行動を起こした時に対処するだけですよ。ソティーとゴウルと私で返り討ちにして退場してもらうのですよ?」

「対処って……簡単に言ってくれるな。しかもお前も加わるのか……」


バーグはため息を吐く。ミロアがソティーから護身術どころか剣術や体術まで習っていることは知っているし、中々いい線を言っていることも知っている。ただ、それでも娘が自ら危険に飛び込もうとしているのだから親として心配が尽きない。


(血は争えんとは聞くが、若い娘が……護身術だけに留めておくように言っておくべきだったか?)


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