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第90話 私は公爵令嬢(2)
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しかし、その一方で前世の影響力も強かった。それこそがミロアの言う『前世に染まる』ということだ。
(いっそのこと、何もかもぶち壊せないかしら? 馬鹿王子や側近の野望も、元側近の病んだ愛も一度で一気に『ざまぁ』かなんかで潰すことができれば一気に楽になるんだけど………)
面倒な男達の欲するのはミロア自身だ。つまり、彼女が自分のものにならないと思えば彼らはミロアへの執着を失くす可能性が高いが、それをどう実現すればいいかが悩みどころだ。
(どうすれば男達は私を諦める? 執着を失くす? いっそのこと、私が『追放令嬢』みたいに平民落ちしたり修道院にでも送られれば………駄目だ。権力を強引に乱用して何か仕掛けてくるはず。強引に貴族の立場に戻されて監禁されるかも………駄目ね………)
前世の知識でも、読んだ投稿小説で平民になった令嬢を男が追いかけて来るものがあった。修道院送りも同様のパターンがある。強引な手段を実行するガンマのことを考えれば決して安心できる策ではない。
(………いっそのこと、彼らが罪を犯して退学にでもなってくれれば………それは駄目ね。意図的に罪を犯させる真似は流石に………)
ガンマが屋敷に来たときに、ミロアは婚約破棄の理由作りにガンマを挑発した。あの時は未遂で済んだものだが、流石に大きな罪を意図的に起こさせる気にはなれない。ミロアにもそれくらいの倫理観はある。
「はぁ~、面倒くさいわぁ~……一度で全て解決できる方法ってないかなぁ~……」
ベッドに仰向けになりながら、愚痴混じりに呟くミロア。それを眺めるエイルは、『一度で全て解決』と聞いて、無理だと思ってしまう。
(状況は複雑化している……残念ながらお嬢様の望むように一度で全て解決とはいくまい。気持ちは分からなくもないが、掛ける言葉すら悩むところだ)
ミロアのために悩むエイルだったが、そのミロアから不意に声がかかる。
「ねえ、エイル。学園のバカ男共を遠ざけるにはどうしたらいいかしら?」
「――えっ!? そ、そう言われましても……ガンマ殿下達は上級貴族の方々です。彼らが身を引く理由がないどころか、今はお嬢様を狙える機会があると思っているでしょう」
「私を狙えるって……どういうことよ?」
ぶっきらぼうに口にするミロアは貴族令嬢らしく見えないが、エイルは気にせずに冷静に答えを告げる。
「今のお嬢様は婚約している相手がいません。お嬢様は公爵令嬢ですので、その婚約者になれる機会があるならば何としてでもその立場になりたいと上級貴族なら思うことでしょう」
「だよね~、私は公爵令嬢……そのくせに婚約者なんていないし。分かってはいたけどね……」
(……そう、私は公爵令嬢、それだけで大きな立場にいるもんね)
頭では分かっていたが、口に出されると現実への理解が深まる。だが、口に出されたことでミロアは思いついてしまった。一度で全て解決とはいかないが、ある程度は男たちを遠ざけられるかもしれない方法を。
(いっそのこと、何もかもぶち壊せないかしら? 馬鹿王子や側近の野望も、元側近の病んだ愛も一度で一気に『ざまぁ』かなんかで潰すことができれば一気に楽になるんだけど………)
面倒な男達の欲するのはミロア自身だ。つまり、彼女が自分のものにならないと思えば彼らはミロアへの執着を失くす可能性が高いが、それをどう実現すればいいかが悩みどころだ。
(どうすれば男達は私を諦める? 執着を失くす? いっそのこと、私が『追放令嬢』みたいに平民落ちしたり修道院にでも送られれば………駄目だ。権力を強引に乱用して何か仕掛けてくるはず。強引に貴族の立場に戻されて監禁されるかも………駄目ね………)
前世の知識でも、読んだ投稿小説で平民になった令嬢を男が追いかけて来るものがあった。修道院送りも同様のパターンがある。強引な手段を実行するガンマのことを考えれば決して安心できる策ではない。
(………いっそのこと、彼らが罪を犯して退学にでもなってくれれば………それは駄目ね。意図的に罪を犯させる真似は流石に………)
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「はぁ~、面倒くさいわぁ~……一度で全て解決できる方法ってないかなぁ~……」
ベッドに仰向けになりながら、愚痴混じりに呟くミロア。それを眺めるエイルは、『一度で全て解決』と聞いて、無理だと思ってしまう。
(状況は複雑化している……残念ながらお嬢様の望むように一度で全て解決とはいくまい。気持ちは分からなくもないが、掛ける言葉すら悩むところだ)
ミロアのために悩むエイルだったが、そのミロアから不意に声がかかる。
「ねえ、エイル。学園のバカ男共を遠ざけるにはどうしたらいいかしら?」
「――えっ!? そ、そう言われましても……ガンマ殿下達は上級貴族の方々です。彼らが身を引く理由がないどころか、今はお嬢様を狙える機会があると思っているでしょう」
「私を狙えるって……どういうことよ?」
ぶっきらぼうに口にするミロアは貴族令嬢らしく見えないが、エイルは気にせずに冷静に答えを告げる。
「今のお嬢様は婚約している相手がいません。お嬢様は公爵令嬢ですので、その婚約者になれる機会があるならば何としてでもその立場になりたいと上級貴族なら思うことでしょう」
「だよね~、私は公爵令嬢……そのくせに婚約者なんていないし。分かってはいたけどね……」
(……そう、私は公爵令嬢、それだけで大きな立場にいるもんね)
頭では分かっていたが、口に出されると現実への理解が深まる。だが、口に出されたことでミロアは思いついてしまった。一度で全て解決とはいかないが、ある程度は男たちを遠ざけられるかもしれない方法を。
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