公爵令嬢は豹変しました 〜走馬灯を見る過程で、前世の記憶を思い出したので悪役令嬢にはなりません〜

mimiaizu

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第64話 可愛い義妹

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(って違うでしょ~っ! これはお父様のサプライズであって私が招いたんじゃない! もしかしてそういうことにして……いるわけ無いか)


父バーグを見ると何故か期待を込めた目で見ている。どうやらいい方に話が進んでいくと信じ切っているようだった。やっぱり配慮がない。ミロアはそんな父に愕然とした。


(そもそも義母様は大人しくて気弱な人みたいだって聞いてたんですけど! そんな人にこういうドッキリみたいなサプライズは心臓に悪いのに何してくれてんのよ! それにスマーシュは可愛いけど人見知りがちって……?)


スマーシュの方に目を向けると、スマーシュは不思議そうな顔をしてイマジーナの服を引っ張っている。そして、そのまま爆弾発言を告げる。

「お母様~、これってサプライズなんでしょ? お姉様を驚かすってお父様が言ってたよね」

「え? あ、ああっ!」

「……っ!」

(言っちゃったわね……)


娘に言われてハッとなって気づいたイマジーナは自分が言った言葉が間違っていることに気づいて顔を真っ赤に染める。その一方でバーグは顔を青ざめる。夫婦で顔を染める様にミロアは反応に困った。


(どうしよう、義母様は羞恥心で動転してるだろうし、お父様は自分が失敗したと思ったみたいだし……この場を明るく切り抜けるために私はどうすれば……)


家族のためにも自分がなんとかしなければと思うミロアだったが、ここで意外な助け舟が現れた。


「あ、そっか! お姉様を驚かすんだもんね。ワタシも真似する~」

「「「えっ???」」」

「はじめましてお姉様! しゅ、スマーシュです! 本日はよろしくおねがいしますぅ!」

「「「っ!!!???」」」


イマジーナの隣でスマーシュが挨拶を始めたのだ。ドレスの両端を掴んでその態勢を保ってお辞儀をする仕草は貴族令嬢の一般常識、それでも小さな女の子がするというだけでとても可愛らしい仕草に見えてしまう。途中で噛んだのだが、可愛いと言うだけで誰も気にしなかった。


(か、可愛い……そして健気! これは私も答えないと!)


特に、前世の記憶があるせいかミロアへの効果は抜群であった。


「ご無沙汰しております、義母様、スマーシュ! 本日はようこそおいでくださいました! 私は二人を大歓迎します!」

「み、ミロア様!?」

「! ミロア……」


ミロアはひとまず、スマーシュに合わせることにした。これは流れに合わせるというわけではなく、ただ単に可愛い妹に好かれたいためにミロアの方から全力で歩み寄ろうとしただけだ。


「スマーシュ、立派な挨拶だったわ。まだ小さいのによく頑張ったのね! しっかり者の妹がいてくれてお姉様は嬉しいわ!」

「本当お姉様! ワタシ、お姉様に会うの楽しみにしてたの! お父様に聞かされてからずっと仲良くしたいって思ってたから嬉しい!」

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