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第31.2話 知る必要
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(女性騎士視点)
私の名はソティー・アーツノウン。レトスノム公爵家に仕える騎士だ。これでも女性ながら並の騎士以上の実力を持っていると自負している。それというのも、父親が騎士で戦争の時代を生き抜いた猛者だったゆえに、そんな父に憧れをもったからだ。
女性騎士も認められる今の世界で、私が騎士を目指すことに家族は心配したが、それでも私は努力して騎士を目指し最終的にレトスノム公爵家の騎士として腕を振るうことになった。今では良き先輩後輩に囲まれながら当主様やお嬢様をお守りするのが我が役目だ。
私の日常は騎士であるゆえに変化がよく起こる。その一つとして、ミロアお嬢様が大きく変わられたことがそうだ。
ミロアお嬢様は何やら婚約者のガンマ殿下と派手に痴話喧嘩なさって、そのショックで三日間寝込んでしまわれたようだ。そして、ガンマ殿下に愛想を尽かして婚約を解消することに踏み切ったとのこと。詳しいことは聞かされていないが、お嬢様はあんなにガンマ殿下に恋心を抱いていたのに随分と恋が冷めたようだ。
当主様もお嬢様のお気持ちをお考えになってか、王宮に出向いて行かれた。おそらく、ガンマ殿下か国王陛下とご相談されるのだろう。本当に婚約を解消してしまうか、二人を仲直りさせようとするのか。まあ、私は騎士だから色恋沙汰に関しては深く追求はしない。
しかし、そんな私でもお嬢様と殿下の関係が気になってしまうことが起きた。それはガンマ殿下の方からお嬢様に会うために屋敷に訪問してきたことだ。これは殿下がお嬢様と仲直りしたいのではと思ってしまったが、どうやら何か違っていたようだ。殿下は不機嫌な顔で屋敷に入り、お嬢様の待つ部屋にも乱暴に入ってきたのを見てしまったのだから。
更に驚くことに、あんなに堂々と偉そうにしていたガンマ殿下が、部屋から出る時はまるで何かに逃げ出すように走り去っていったのだ。しかも、明らかに怯えている顔を見てしまった。お嬢様を怒らせて怖くなって逃げてしまったのだろうか?
それ故に、流石の私も全体の話の流れが気になってきた。他の騎士たちも同じ気持ちのようだ。ただ、私は主とその家族を守る騎士の一人に過ぎない。なので、詳しい話は自分から積極的に知る必要はない。私は何があろうとも守るべきものを守る騎士なのだ。この剣を振るうのに余計なことは知る必要もない。
そう思っていたのだが、師匠であるダスター様とその友であるスタード様にあることを頼まれたことで私は知る必要があったと学んだのだ。
私の名はソティー・アーツノウン。レトスノム公爵家に仕える騎士だ。これでも女性ながら並の騎士以上の実力を持っていると自負している。それというのも、父親が騎士で戦争の時代を生き抜いた猛者だったゆえに、そんな父に憧れをもったからだ。
女性騎士も認められる今の世界で、私が騎士を目指すことに家族は心配したが、それでも私は努力して騎士を目指し最終的にレトスノム公爵家の騎士として腕を振るうことになった。今では良き先輩後輩に囲まれながら当主様やお嬢様をお守りするのが我が役目だ。
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ミロアお嬢様は何やら婚約者のガンマ殿下と派手に痴話喧嘩なさって、そのショックで三日間寝込んでしまわれたようだ。そして、ガンマ殿下に愛想を尽かして婚約を解消することに踏み切ったとのこと。詳しいことは聞かされていないが、お嬢様はあんなにガンマ殿下に恋心を抱いていたのに随分と恋が冷めたようだ。
当主様もお嬢様のお気持ちをお考えになってか、王宮に出向いて行かれた。おそらく、ガンマ殿下か国王陛下とご相談されるのだろう。本当に婚約を解消してしまうか、二人を仲直りさせようとするのか。まあ、私は騎士だから色恋沙汰に関しては深く追求はしない。
しかし、そんな私でもお嬢様と殿下の関係が気になってしまうことが起きた。それはガンマ殿下の方からお嬢様に会うために屋敷に訪問してきたことだ。これは殿下がお嬢様と仲直りしたいのではと思ってしまったが、どうやら何か違っていたようだ。殿下は不機嫌な顔で屋敷に入り、お嬢様の待つ部屋にも乱暴に入ってきたのを見てしまったのだから。
更に驚くことに、あんなに堂々と偉そうにしていたガンマ殿下が、部屋から出る時はまるで何かに逃げ出すように走り去っていったのだ。しかも、明らかに怯えている顔を見てしまった。お嬢様を怒らせて怖くなって逃げてしまったのだろうか?
それ故に、流石の私も全体の話の流れが気になってきた。他の騎士たちも同じ気持ちのようだ。ただ、私は主とその家族を守る騎士の一人に過ぎない。なので、詳しい話は自分から積極的に知る必要はない。私は何があろうとも守るべきものを守る騎士なのだ。この剣を振るうのに余計なことは知る必要もない。
そう思っていたのだが、師匠であるダスター様とその友であるスタード様にあることを頼まれたことで私は知る必要があったと学んだのだ。
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