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第22.1話 王太子の地位
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(王太子視点)
帰りの馬車の中……僕は腸が煮えくり返る思いだった。
「クソクソクソクソクソクソクソ! 一体何なんだよ!」
僕は第一王子にして王太子ガンマ・ドープアントなんだぞ! それなのに何故こんな惨めな目に遭わなければならないんだ! 婚約解消を撤回させようと嫌でもミロアに会いに行ったのに怖い私兵に脅されて逃げ出してしまったなんて最悪だ!
「ミロアめ、一体何様のつもりだ!」
アイツのせいで僕は父上と母上に叱られたっていうのに!
『お前は一体何をしているんだ! ミロア嬢との婚約が無くなればレトスノム公爵家とのパイプが無くなってしまうでじゃないか! それは王家の損失と言ってもいいのだぞ! 分かっていなかったのか! おまけに男爵令嬢に執心だと? この馬鹿が!』
『そもそも、女性を突き飛ばすとは何事ですか! しかもその相手は婚約者だなんて恥を知りなさい! おかげで私達も恥ずかしい目に遭ったのよ!』
王宮に来たミロアの父の公爵はわざわざ父上と母上に僕とミロアの状況を細かく語ったせいで、僕がミロアにしたことや男爵令嬢のミーヤと仲良くしていることまで知られてしまった。せっかく今まで両親に黙っていたのに無駄になってしまったじゃないか!
『……おいガンマ、今回は何とか婚約解消を防ぐことができたが公爵はおそらく諦めていないだろう。もしもミロア嬢との婚約が白紙にせざるを得なくなったら、お前を王太子から外してやる!』
『そうなったらアナーザが次期王太子ね。あの子に王太子教育をする準備をしないといけなくなりそうね』
おまけにこの僕を王太子から外して弟のアナーザを王太子にしようという話になってしまった。アナーザは僕の弟で第二王子だ。この僕が父ファンタム・ドープアントに似ているように黒髪青眼の男らしい青年なら、アナーザは母マーギア・ドープアントに似て黒髪赤眼の中性的な容姿のお子様なのだ。
『あいつはまだ子供じゃないですか! 八歳の子供を王太子に決めるというのですか!』
『それの何が悪い。お前もその時くらいに王太子に決まっていたのだぞ』
『むしろ幼い頃に決めたほうがメリットがあるのですよ。それにアナーザは貴方より賢いようですからね。今すぐにでも王太子をあの子にすげ替えてもいいかもしれないくらいには』
『そんな!』
ふざけるな……と、怒鳴りたいところだが流石に実の両親にして国王と王妃を前にそんなことをするわけにもいかない。しかし、弟と比べられて兄である僕のほうが劣っていると言われて我慢できるはずもない。ましてや王太子の地位が脅かされるなら尚更だ。
僕は王太子の地位を守らなくてはならなくなった。そのためにあの二人と学園で相談することにした。
帰りの馬車の中……僕は腸が煮えくり返る思いだった。
「クソクソクソクソクソクソクソ! 一体何なんだよ!」
僕は第一王子にして王太子ガンマ・ドープアントなんだぞ! それなのに何故こんな惨めな目に遭わなければならないんだ! 婚約解消を撤回させようと嫌でもミロアに会いに行ったのに怖い私兵に脅されて逃げ出してしまったなんて最悪だ!
「ミロアめ、一体何様のつもりだ!」
アイツのせいで僕は父上と母上に叱られたっていうのに!
『お前は一体何をしているんだ! ミロア嬢との婚約が無くなればレトスノム公爵家とのパイプが無くなってしまうでじゃないか! それは王家の損失と言ってもいいのだぞ! 分かっていなかったのか! おまけに男爵令嬢に執心だと? この馬鹿が!』
『そもそも、女性を突き飛ばすとは何事ですか! しかもその相手は婚約者だなんて恥を知りなさい! おかげで私達も恥ずかしい目に遭ったのよ!』
王宮に来たミロアの父の公爵はわざわざ父上と母上に僕とミロアの状況を細かく語ったせいで、僕がミロアにしたことや男爵令嬢のミーヤと仲良くしていることまで知られてしまった。せっかく今まで両親に黙っていたのに無駄になってしまったじゃないか!
『……おいガンマ、今回は何とか婚約解消を防ぐことができたが公爵はおそらく諦めていないだろう。もしもミロア嬢との婚約が白紙にせざるを得なくなったら、お前を王太子から外してやる!』
『そうなったらアナーザが次期王太子ね。あの子に王太子教育をする準備をしないといけなくなりそうね』
おまけにこの僕を王太子から外して弟のアナーザを王太子にしようという話になってしまった。アナーザは僕の弟で第二王子だ。この僕が父ファンタム・ドープアントに似ているように黒髪青眼の男らしい青年なら、アナーザは母マーギア・ドープアントに似て黒髪赤眼の中性的な容姿のお子様なのだ。
『あいつはまだ子供じゃないですか! 八歳の子供を王太子に決めるというのですか!』
『それの何が悪い。お前もその時くらいに王太子に決まっていたのだぞ』
『むしろ幼い頃に決めたほうがメリットがあるのですよ。それにアナーザは貴方より賢いようですからね。今すぐにでも王太子をあの子にすげ替えてもいいかもしれないくらいには』
『そんな!』
ふざけるな……と、怒鳴りたいところだが流石に実の両親にして国王と王妃を前にそんなことをするわけにもいかない。しかし、弟と比べられて兄である僕のほうが劣っていると言われて我慢できるはずもない。ましてや王太子の地位が脅かされるなら尚更だ。
僕は王太子の地位を守らなくてはならなくなった。そのためにあの二人と学園で相談することにした。
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