12 / 248
第11話 結果報告
しおりを挟む
ミロアが目覚めてから十日目、体の痛みがなくなったのでミロアは庭に出て散歩をしていた。医師にも診てもらい、激しい運動でなければ特に問題はないと言われたのだ。
「本当に運がいいわ。あの時、庭の茂みがクッションになったわけね。まあ、少し肌を擦りむいちゃったけどね」
ミロアの言う『あの時』とは、窓から飛び降りた時だ。あの出来事がミロアの運命を変えたのだと言えるだろう。
「さて、お父様に婚約解消のことを頼んでから10日経つ。状況はどうなっているでしょうね?」
ミロアの父バーグは、レトスノム公爵として王家に対し直接娘の婚約を解消するために出向いたのだ。そして、今日その結果が分かるはずだ。
◇
父の書斎でミロアは、結果報告を聞いていた。予想通りでがっかりすることにもなった。
「王家は……婚約解消を望まないようだ」
「やはりそうですか……」
「些細なことで王家と公爵家で決めた婚約を解消するわけにはいかないなどと陛下はきっぱり仰せられた。婚約の重みは理解できるが、我が娘を突き飛ばしたことを些細などと……! 相当ガンマ殿下を庇いたいようだ。婚約者を無下にするような男などを……!」
父バーグは王家に対する怒りを感じているらしい。ミロアに報告している最中でもその怒りを隠せることはできていなかった。
「ガンマ殿下は何と言っていましたか?」
「婚約解消には反対のようだ。だが、どこか気まずい顔をしていたよ。私が王宮に来たのをきっかけにミロアにしたことが陛下と王妃に知られたのだから当然だな」
「それなのに婚約解消には反対ですか(馬鹿にしてるわね)」
ミロアも怒りを感じだす。これまでのことを考えれば、ガンマがミロアを愛していないのは明らかだ。前世でいう『ツンデレ』にも見えない。それなのに婚約そのものは解消したくないということは……自然と答えが出てくる。
(あの男は、私を都合のいい女にしたいということね……)
前世の知識の中には、愛してはいないが立場が都合がいいという理由で婚約してその裏で浮気をする王子という設定の物語があった。ミロアとの婚約解消をしないあたり、ガンマはそんな感じだろうと思う。実際、ガンマはミーヤという男爵令嬢に執心している。そのことを思い出したミロアのガンマに対する不快感が更に募った。
「証拠も他に証言もないから婚約続行だということで強引に話を決められてしまった。すまなかったミロア」
「いえ、私は気にしていないと言えば嘘になりますが、そこまで気を落とさなくても……」
ため息を吐くバーグを気遣うミロアだが、バーグは不甲斐なく感じていた。
「本当に運がいいわ。あの時、庭の茂みがクッションになったわけね。まあ、少し肌を擦りむいちゃったけどね」
ミロアの言う『あの時』とは、窓から飛び降りた時だ。あの出来事がミロアの運命を変えたのだと言えるだろう。
「さて、お父様に婚約解消のことを頼んでから10日経つ。状況はどうなっているでしょうね?」
ミロアの父バーグは、レトスノム公爵として王家に対し直接娘の婚約を解消するために出向いたのだ。そして、今日その結果が分かるはずだ。
◇
父の書斎でミロアは、結果報告を聞いていた。予想通りでがっかりすることにもなった。
「王家は……婚約解消を望まないようだ」
「やはりそうですか……」
「些細なことで王家と公爵家で決めた婚約を解消するわけにはいかないなどと陛下はきっぱり仰せられた。婚約の重みは理解できるが、我が娘を突き飛ばしたことを些細などと……! 相当ガンマ殿下を庇いたいようだ。婚約者を無下にするような男などを……!」
父バーグは王家に対する怒りを感じているらしい。ミロアに報告している最中でもその怒りを隠せることはできていなかった。
「ガンマ殿下は何と言っていましたか?」
「婚約解消には反対のようだ。だが、どこか気まずい顔をしていたよ。私が王宮に来たのをきっかけにミロアにしたことが陛下と王妃に知られたのだから当然だな」
「それなのに婚約解消には反対ですか(馬鹿にしてるわね)」
ミロアも怒りを感じだす。これまでのことを考えれば、ガンマがミロアを愛していないのは明らかだ。前世でいう『ツンデレ』にも見えない。それなのに婚約そのものは解消したくないということは……自然と答えが出てくる。
(あの男は、私を都合のいい女にしたいということね……)
前世の知識の中には、愛してはいないが立場が都合がいいという理由で婚約してその裏で浮気をする王子という設定の物語があった。ミロアとの婚約解消をしないあたり、ガンマはそんな感じだろうと思う。実際、ガンマはミーヤという男爵令嬢に執心している。そのことを思い出したミロアのガンマに対する不快感が更に募った。
「証拠も他に証言もないから婚約続行だということで強引に話を決められてしまった。すまなかったミロア」
「いえ、私は気にしていないと言えば嘘になりますが、そこまで気を落とさなくても……」
ため息を吐くバーグを気遣うミロアだが、バーグは不甲斐なく感じていた。
106
お気に入りに追加
5,461
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
後悔だけでしたらどうぞご自由に
風見ゆうみ
恋愛
女好きで有名な国王、アバホカ陛下を婚約者に持つ私、リーシャは陛下から隣国の若き公爵の婚約者の女性と関係をもってしまったと聞かされます。
それだけでなく陛下は私に向かって、その公爵の元に嫁にいけと言いはなったのです。
本来ならば、私がやらなくても良い仕事を寝る間も惜しんで頑張ってきたというのにこの仕打ち。
悔しくてしょうがありませんでしたが、陛下から婚約破棄してもらえるというメリットもあり、隣国の公爵に嫁ぐ事になった私でしたが、公爵家の使用人からは温かく迎えられ、公爵閣下も冷酷というのは噂だけ?
帰ってこいという陛下だけでも面倒ですのに、私や兄を捨てた家族までもが絡んできて…。
※R15は保険です。
※小説家になろうさんでも公開しています。
※名前にちょっと遊び心をくわえています。気になる方はお控え下さい。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風、もしくはオリジナルです。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字、見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
理想の女性を見つけた時には、運命の人を愛人にして白い結婚を宣言していました
ぺきぺき
恋愛
王家の次男として生まれたヨーゼフには幼い頃から決められていた婚約者がいた。兄の補佐として育てられ、兄の息子が立太子した後には臣籍降下し大公になるよていだった。
このヨーゼフ、優秀な頭脳を持ち、立派な大公となることが期待されていたが、幼い頃に見た絵本のお姫様を理想の女性として探し続けているという残念なところがあった。
そしてついに貴族学園で絵本のお姫様とそっくりな令嬢に出会う。
ーーーー
若気の至りでやらかしたことに苦しめられる主人公が最後になんとか幸せになる話。
作者別作品『二人のエリーと遅れてあらわれるヒーローたち』のスピンオフになっていますが、単体でも読めます。
完結まで執筆済み。毎日四話更新で4/24に完結予定。
第一章 無計画な婚約破棄
第二章 無計画な白い結婚
第三章 無計画な告白
第四章 無計画なプロポーズ
第五章 無計画な真実の愛
エピローグ
完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。
結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに
「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……
愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!
風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。
結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。
レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。
こんな人のどこが良かったのかしら???
家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる