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第3話 ショック
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嫉妬にかられたミロアは行動をエスカレートさせた。ガンマへの愛をもっとアピールするようになったのだ。
例えば、ガンマを付け回すときはあえてバレるように動いたり。
例えば、ガンマへの恋文を毎日長文で送りつけたり。
例えば、ガンマのために自分のノートを送りつけたり。
思いつくことを何でもやったが、その度にガンマの嫌悪感が増していくという逆効果になってしまった。挙句には、嫌悪感を隠しもしなくなり、婚約者として取り繕わなくなったのだ。
「もう僕に構うなよミロア! 頭がおかしくなりそうだ!」
「そんな! ガンマ様!」
初めてガンマに罵倒されたミロアは、それを全てミーヤのせいだと考えてしまう。ミーヤに対しては今まで嫌がらせの類はしたことがなかったが、ある程度は丁寧に注意してきた。だが、それももう限界だった。
「ミーヤさん! 貴女はご自分が何をなさっているのか分かっているのですか!? これ以上ガンマ様と親しくするのは止めてください!」
「まあ、どうしてですの? お友達と仲良くすることはいけないことではないはずですわ?」
「だからと言って、婚約者である私を差し置いてガンマ様と二人きりで仲良く遊びに行ったり課題をしたりするなんてあんまりです!」
「え、でも……ガンマ様の方から頼まれたのですよ? 私はそれに応じただけでして……」
「嘘! そんなの嘘よ! ガンマ様が私を差し置いて――」
「ミロア! お前は一体何をしているんだ!」
直接ミーヤを問い詰めていたミロアだったが、そこにガンマが駆けつけてきたのだ。
「ガンマ様、ちょうどいいところに来てくださいました! この女がガンマ様に頼まれて応じたなどと虚言を言いだしまして――」
「事実だ。僕の方からミーヤと一緒にいたいと言ったのだ」
「え……?」
「何を言ってるんだという顔をしているな。まだ分からないのか? ならハッキリ言ってやる。僕はお前といるよりもミーヤと一緒にいたいと思ったんだ。いつまでも追いかけまわしてくるお前なんぞよりもな!」
「そんな……私達は婚約しているではありませんか!」
ミロアは悲痛な声で叫んだ。それに対しガンマは、ミロアに見せたことが無いほどの怒りの形相で憎悪を込めた言葉を吐き捨てた。
「確かに僕とお前は婚約しているが、それは愛の無い政略結婚にすぎない。結婚することは仕方がないが、その先にお前を愛する僕はいない。お前が僕に愛されるなどと思うな!」
「そんな! 嫌! 嫌よ! ガンマ様ぁっ!」
思いがけずガンマに縋ろうとするミロアだったが、ガンマは無情にもその手を振り払ったのだ。
「いい加減にしろ! 僕に付きまとうなミロア! 本当に頭がおかしくなりそうなんだよ!」
そんな叫びと同時にガンマはミロアを強く突き飛ばした。廊下に打ち付けられたミロアはしばらく起き上がれなかった。ただ、起き上がれなかったのは打ち付けられた痛みのせいではなく、ガンマに拒絶されたショックが大きかったからだ。
「…………」
「ミ、ミロア様! 大丈夫ですか!?」
しかも、そんなミロアを心配してくれたのがガンマではなく、恋敵のミーヤなのだから更に追い打ちをかけられる。ショックを受け止められなかったミロアは、ミーヤの差し伸べられた手を振りほどくこともできない。
「ミーヤ、そんな奴のことは放っておいて構わない。その女は体が強いからな」
挙句には、ガンマに「放っておけ」とまで言われて、遂にミロアの頭は真っ白になった。
例えば、ガンマを付け回すときはあえてバレるように動いたり。
例えば、ガンマへの恋文を毎日長文で送りつけたり。
例えば、ガンマのために自分のノートを送りつけたり。
思いつくことを何でもやったが、その度にガンマの嫌悪感が増していくという逆効果になってしまった。挙句には、嫌悪感を隠しもしなくなり、婚約者として取り繕わなくなったのだ。
「もう僕に構うなよミロア! 頭がおかしくなりそうだ!」
「そんな! ガンマ様!」
初めてガンマに罵倒されたミロアは、それを全てミーヤのせいだと考えてしまう。ミーヤに対しては今まで嫌がらせの類はしたことがなかったが、ある程度は丁寧に注意してきた。だが、それももう限界だった。
「ミーヤさん! 貴女はご自分が何をなさっているのか分かっているのですか!? これ以上ガンマ様と親しくするのは止めてください!」
「まあ、どうしてですの? お友達と仲良くすることはいけないことではないはずですわ?」
「だからと言って、婚約者である私を差し置いてガンマ様と二人きりで仲良く遊びに行ったり課題をしたりするなんてあんまりです!」
「え、でも……ガンマ様の方から頼まれたのですよ? 私はそれに応じただけでして……」
「嘘! そんなの嘘よ! ガンマ様が私を差し置いて――」
「ミロア! お前は一体何をしているんだ!」
直接ミーヤを問い詰めていたミロアだったが、そこにガンマが駆けつけてきたのだ。
「ガンマ様、ちょうどいいところに来てくださいました! この女がガンマ様に頼まれて応じたなどと虚言を言いだしまして――」
「事実だ。僕の方からミーヤと一緒にいたいと言ったのだ」
「え……?」
「何を言ってるんだという顔をしているな。まだ分からないのか? ならハッキリ言ってやる。僕はお前といるよりもミーヤと一緒にいたいと思ったんだ。いつまでも追いかけまわしてくるお前なんぞよりもな!」
「そんな……私達は婚約しているではありませんか!」
ミロアは悲痛な声で叫んだ。それに対しガンマは、ミロアに見せたことが無いほどの怒りの形相で憎悪を込めた言葉を吐き捨てた。
「確かに僕とお前は婚約しているが、それは愛の無い政略結婚にすぎない。結婚することは仕方がないが、その先にお前を愛する僕はいない。お前が僕に愛されるなどと思うな!」
「そんな! 嫌! 嫌よ! ガンマ様ぁっ!」
思いがけずガンマに縋ろうとするミロアだったが、ガンマは無情にもその手を振り払ったのだ。
「いい加減にしろ! 僕に付きまとうなミロア! 本当に頭がおかしくなりそうなんだよ!」
そんな叫びと同時にガンマはミロアを強く突き飛ばした。廊下に打ち付けられたミロアはしばらく起き上がれなかった。ただ、起き上がれなかったのは打ち付けられた痛みのせいではなく、ガンマに拒絶されたショックが大きかったからだ。
「…………」
「ミ、ミロア様! 大丈夫ですか!?」
しかも、そんなミロアを心配してくれたのがガンマではなく、恋敵のミーヤなのだから更に追い打ちをかけられる。ショックを受け止められなかったミロアは、ミーヤの差し伸べられた手を振りほどくこともできない。
「ミーヤ、そんな奴のことは放っておいて構わない。その女は体が強いからな」
挙句には、ガンマに「放っておけ」とまで言われて、遂にミロアの頭は真っ白になった。
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