反目ノ四獣

反目ノ四獣

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服従ノ朱雀 著:mana

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 若い衆が見張りの交代にと、事務所のドアを開けた一瞬の出来事だった。
「住谷!!死ねぇぇっ!!」
 およそこの場に相応しくない甲高い声とともに、刃物を持った男が大部屋に飛び込んできた。
 が、大方の予想通り目当ての《住谷》が大部屋などに居る筈も無い。
 なんだカチコミかと殺気立った事務所内も、真っ青な顔をして両手を震わせながら必死に刃物を持つ男を見れば、途端に馬鹿にした笑いへと変わった。
 男、というよりは青年の方がしっくりくる若者は、ならず者の集まりへ闇雲に飛び込んだのちようやく自分の置かれている状況を悟った。《住谷》を殺す前に自分が殺されてしまう、と。──その時。

「誰が死ねだって?」
 大部屋の奥のドアがゆっくりと開いた。

「オメエら、うるせえぞ」
 ドスの効いた声が部屋中をビリビリと震わせる。大部屋の若い衆が一斉に頭を下げた。
「すんません、若頭かしら
 若頭かしらと呼ばれた男がジロリと青年を睨んだ。さっきの勢いは何処へやら、青年はまさに蛇に睨まれたカエルのように身動きひとつ取れなくなる。手にした三徳包丁がカランと地面に落ちた。

「何処の鉄砲玉かと思やぁ、柏木んとこの倅じゃねえか」
 《住谷》はゆっくりとその包丁を拾うと、刃先を青年の喉元に突き付けクツクツと笑った。
「こんな包丁じゃあ俺は殺れねぇなあ?」

 ──────────────────

「あいつらにマワさせても良かったんだぜ?」
 住谷の放つ氷のような冷たい声が、豪華な個室の防音壁に吸い込まれていく。
「男だろうが女だろうが穴がありゃ喜ぶ連中だからな」

 黒革のどっしりとしたソファには、後ろ手に縛られシャツの前をはだけさせた青年の淫らな肢体。柏木の倅、と呼ばれた青年は下腹部も露わに屈辱を受けていた。
 恐怖に慄きながらも必死に抵抗を試みる柏木だったが、思いとは裏腹に住谷の慣れた手技に唆されたペニスは持ち主を裏切り、硬く勃ち上がり始めていた。

「おいおい、もう腰砕けか。そんなんで親の仇取ろうなんざ百年早えんだクソガキが」
「……ち、がっ……、ッ、ッく、そおお…、ッアッ、」
「何が違うだ、ちんこ扱かれてあんあん言いやがって。死んだ親父が見たら悲しむぜ?」
「あン、…なんて言ってないッ!そもそもオレの親父を殺したのはお前じゃない、ッ…かッ、あ、ああっ、も、弄る、なぁ……ッ」
「お前の親父は組を裏切った。見せしめは必要だろう?」
 住谷はそう言うと、柏木の秘茎を爪で強く弾いた。
「ひ……うッ」
「ひとつ教えてやろう」
 住谷は自分の指を柏木に見せつけるようにねぶると、唾液の糸を引いたその口をぎらりと歪ませた。
「お前の親父は、死んで罪を償うしか道は無かった」

 住谷の唾液でてらてらと光る指が、ゆっくりと柏木の股の奥をまさぐり始めた。

「あ、……うぅッ、や、めろ、ぉ」
 グリグリと無遠慮に掻き回されているのは、ただでさえ他人に見せることの無い部分である。屈辱以外の何物でもないが、住谷の中指にはめられた指輪がゴツゴツと秘肉を抉るたびに、柏木の中に快感を呼び起こす。
「お前の親父は組の情報を盗みやがった。自分の座布団ほしさに組を売ろうとしたんだ。組長おやじの寝首を掻くような真似は俺が許さねえ」
 住谷の冷たい眼差しがより一層鋭利になった。まるで柏木の皮膚を切り裂くかのように。

 ゆっくりと住谷はスーツの前を寛げる。持ち込んだ刃物以上の凶器がそそり立つさまに、ヒュ、と柏木の喉が鳴った。
 住谷は柏木に三徳包丁を持たせる。
「殺れるもんなら殺ってみろ。お前が俺を殺るのが先か、俺がお前の腹を食い破るのが先か。何にも知らないクソガキのココに死ぬ程解らせてやんねえとなあ、あ?」
 冷たい視線に縫い留められたまま、柏木の後孔はずぶずぶと住谷の凶器に射貫かれた。
「あ、あ、ああッ、あああッっ、やめ、ろぉぉッッ」
 容赦の無い抽挿ちゅうそうに、やがて柏木の若い身体は戦意を喪失した。もうあとは住谷の首にしがみ付き、送り込まれる快感に腰を振るだけのメス犬に成り下がるばかりだ。手にした包丁も目的を失い、カーペットへと滑り落ちていった。
 柏木のほうけた表情に、住谷は鋭い眼差しを少しだけ緩めた。
「覚えておけ。この世界はな、タマのやりとりが全てだ」

 柏木の薄っぺらい胸の尖りをギリギリと噛めば、痛みを脳内で快感に捉えた柏木が「あああッ、ん」と肉壁を収縮させる。住谷は裏社会の掟を刻み込むかのように、柏木の奥深くへと杭を打ち込んだ。


───────────────────

「お前の親父が盗んだのは、ちっぽけな鍵だった」
 住谷が取り出した胸元のチェーンの先には、小さな鍵が取り付けてあった。
「こんなちっぽけな鍵のためにお前の親父は命を落とす羽目になった。馬鹿な男だ。倅のお前もだがな」

 ぐったりとソファに脱力した柏木の頬には、枯れた涙が痕を作っている。住谷は痕をなぞるように親指の腹を滑らせると、ぐい、と柏木の顎を掴んで持ち上げた。
「馬鹿息子だが孔の具合は丁度良い、お前を飼ってやる。ああ、いや。良い事を思いついた」
 住谷の口調が楽し気なものに変わる。柏木は力無い瞼を必死に持ち上げた。嫌な予感がしたのだ。
「お前はこの鍵を肌身離さず身に着けていろ、こうやってな」

 柏木の黒目が恐怖に見開かれた。白濁を吐き出し終えた蜜芯の先端に鍵山がひた、と押し当てられる。
 それは柏木が住谷に今後一切、身も心も服従しなければならない事を意味していた。

 いや、だぁぁぁッッッ──────────


                       
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