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第三章 浮生の都
鴛鴦の悲嘆(1)
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蘇我石川麻呂による葛城王の暗殺計画を孝徳天皇に讒言した蘇我日向は、蘇我石川麻呂の異母弟だった。日向は孝徳天皇に讒言する前に、葛城王にも近辺にも石川麻呂の叛意を訴え出ていたが、葛城王と鎌子はそれを一蹴し、取り合っていなかった。
「石川麻呂の手の者によって葛城王に矢が射掛けられた、というのが蘇我日向の言い分です。やはりこれが罠でした」
鎌子は保管しておいた矢を葛城王の前に差し出した。砂浜で拾ったその日に鎌子が調べたところ、鏃は先が欠けていて矢としては使い物にならないことが分かっていた。
「その矢に何かほかの特徴は」
葛城王は鎌子が差し出した矢に手を触れないままそう尋ねた。
「矢羽が鷹ではなく鷲の尾羽です。白い鷲の尾羽は越の国が献上してくるもの、手に入れられる者は限られます」
王族もしくは蘇我宗家の長である石川麻呂なら手に入れることが可能だろう。葛城王は矢羽から目を離して鎌子を見た。
「阿倍の時と同じだ。吾を巻き込もうとする何らかの奸計だろう。できれば無視をしたいが日向は大王《おおきみ》にも伝えるという。そうもいかないだろう」
葛城王の危惧は的中し、蘇我日向の讒言を受けた孝徳天皇は葛城王に事の真偽を質す使者を寄こした。
「右大臣が暗殺を謀っていたということだが、皇太子の御身は無事か」
孝徳天皇の使者が述べた言葉は表向き葛城王の安否を気遣うものだった。だが自分が暗殺対象だったと名指しで言われれば葛城王は何らかの反応をせざるを得ない。
孝徳天皇は葛城王に石川麻呂を討てと暗に要請していると捉えるのが妥当だった。
「石川麻呂殿による暗殺の事実は否定し、矢への疑いだけを述べれば大王の意図を汲んだことになりませんか」
鎌子の提案は苦し紛れが明らかな言い分だった。だが葛城王は、
「それがよさそうだ」
といって自ら大王の使者に伝えた。
「浜辺を歩いていた吾の近くに矢があったことは確かだが、吾の暗殺のために放たれたものとは到底思えない。敢えて言うならば確かに石川麻呂ならばこのような仕様の矢を手に入れることはできるだろう。疑いがあるとすればその程度だ。大王の御心配は無用のものだ」
明らかな言い逃れで石川麻呂討伐の軍を動かそうとしない葛城王を尻目に、孝徳天皇はこれまでとは異なる思い切った行動に出た。孝徳天皇自らが蘇我石川麻呂を討つ兵を起こしたのである。
「葛城王からは右大臣である蘇我石川麻呂には確かに疑いがあるという報告があった。よってわたしが自ら右大臣を討伐する」
蘇我石川麻呂は孝徳天皇の軍に邸を囲まれる前に二人の息子とともに大和へ逃げた。逃げた先は石川麻呂の長男である蘇我興志が建てた山田寺という寺である。
「父上、ここで大王の軍勢を迎え撃ちましょう」
飛鳥宮にほど近い山田寺で石川麻呂を迎えた興志は、兵を集め、大王への宣戦布告のために飛鳥小墾田宮に火をつけることを計画していた。だが石川麻呂は興志の行動を制止した。
「この寺は大王のために建てたもの。私がここに来たのは大王に逆らうためではない。逆賊として大王の兵に殺されるのではなく、忠臣としての最後を迎えるためにこの寺に来たのだ。お前たちも覚悟を決めろ」
天皇が自ら兵を起こしたならば、もう罪を覆すことはできない。
石川麻呂は興志ら息子三人を含む家族八人ともども首を括って自死した。
孝徳天皇は蘇我日向の他に大伴狛を蘇我石川麻呂の追討の将軍に任じていた。
追討軍が難波から飛鳥に向かう前に石川麻呂一族の自死の報せがもたらされ、将軍の一人である大伴狛は軍を難波に返した。
だが蘇我日向は兵を退こうとしなかった。
蘇我日向が率いる軍は難波と飛鳥の境の峠を越え、既に石川麻呂一族の遺体が並ぶ山田寺を囲んだ。生き残って降伏を表明する者達を次々に捕らえ、ある者はそこで殺し、ある者は罪人として後ろ手に縛り首枷を掛けた。そして蘇我石川麻呂の遺体を見つけるとその首を切り落とした。
蘇我日向に従う者の中に穂積臣咋という者がいた。
穂積臣咋は東国のある国司の長官で、以前、行動に問題があるとして処罰され任を解かれていた。臣咋を処罰したのは改新を主導している葛城王と二人の大臣、阿倍内麻呂と蘇我石川麻呂だった。
左大臣である阿倍内麻呂が亡くなり臣咋の恨みの矛先は蘇我石川麻呂に向かっていた。
石川麻呂の遺体から首が切られるのを見届けると、穂積臣咋は部下の二田鹽に命じてその遺体を損壊させた。二田鹽は雄叫びを上げながら太刀で遺体の胴を突き、手足を断ち切り、背を、腹を切り刻んだ。山田寺の石畳には石川麻呂の血肉が一面に散らばった。
難波に残された石川麻呂の邸からは多くの書物や宝物などが押収された。それらの中には皇太子である葛城王への献上品と記されたものがあった。
「……前に吾の邸に火を放ったのは石川麻呂の指図だったのかもしれない」
子代離宮の一画で石川麻呂の遺品を鎌子とともに検分しながら葛城王が云った。
「なぜそう思うのですか」
鎌子が聞くと葛城王は美しい紙に写された経文を眺めながら、
「犬に吠えられて逃げる程度の者達だ。本当に吾の邸を焼こうと思っていたのなら気構えが足りない。本気ではなく吾の邸に火が付けられたことが周りに分かればいい、それで大王の命令をごまかそうとしたのではないか」
葛城王が手にする経文には皇太子への献上品と記された短い木簡が付けられていた。
「そうならば、あの鏃が欠けた矢もやはり石川麻呂殿のものだったのかもしれません」
石川麻呂は孝徳天皇から何回も葛城王を陥れる謀や暗殺を命じられていたが、適当に受け流して完遂には至っていなかった。その一方で葛城王には献上品を欠かさなかった。
対立する葛城王と孝徳天皇の両方に良い顔をしようとして阿倍内麻呂からは猜疑の目を向けられ、孝徳天皇の逆鱗に触れた。
それは見方を変えれば孝徳天皇による容赦のない葛城王派の粛清だった。
蘇我石川麻呂の事件により、兵を動かさなかった葛城王と孝徳天皇の敵対関係が衆目にも明らかになった。
「……鎌子、大王には最早吾の言葉が通じないのかもしれない」
「私もそのように思います」
「何かを言えば勝手に解釈され、黙っていれば勝手に何かを言ったことにされる」
葛城王の口調には苛立ちよりも虚しさが強く滲んでいた。
二人の対立が明らかになった今の状況を思えば、葛城王の邸を王宮の外に建てたことは適切な判断だった。だがかつての山背大兄王のように邸ごと一族を滅ぼされることもこの先は警戒しなければならない。佐伯子麻呂の他にも葛城王の邸の警備にあたらせる兵を増やさなければならないだろう。
鎌子は喫緊の対応に思考を巡らせながら葛城王に尋ねた。
「葛城王、遠智娘妃のご様子は。大丈夫でしょうか」
葛城王の妃である遠智娘は蘇我石川麻呂の娘である。気遣う鎌子の言葉だったが、葛城王の表情は目に見えて暗くなった。
「妃はひどく心を痛めている。日夜泣き叫び、疲れ果てて一日床に伏していたかと思えば起きて直ぐにまた泣き始める」
石川麻呂の娘である遠智娘は父母も兄弟も、近しい家族を一時に失って強く嘆き悲しんだ。なかでも石川麻呂は彼女にとって頼もしく娘想いの優しい父親だった。
遠智娘は深い悲しみに沈んだまま、喪屋で家族の遺体とともに石川麻呂の惨殺された屍を間近に見ることになった。
二田鹽によって切り刻まれ、原形をとどめていない血みどろの肉塊を父だと云われ、遠智娘はその心に強い衝撃を負った。大きな悲鳴を上げながら正気を手放す寸前の彼女の眼に映ったのは、肉塊のところどころに赤黒くこびり付いた見覚えのある父の衣装の断片だった。
心の均衡を失った遠智娘は、その後、現と虚ろを行きつ戻りつする生活を送ることになった。
かろうじて葛城王の第三子を妊娠してからはとりわけ気鬱の病が重くなり、遠智娘は腹の中の子をほとんど流産に近いかたちで出産し、産褥の床を上げることなくそのまま帰らぬ人となってしまった。
「石川麻呂の手の者によって葛城王に矢が射掛けられた、というのが蘇我日向の言い分です。やはりこれが罠でした」
鎌子は保管しておいた矢を葛城王の前に差し出した。砂浜で拾ったその日に鎌子が調べたところ、鏃は先が欠けていて矢としては使い物にならないことが分かっていた。
「その矢に何かほかの特徴は」
葛城王は鎌子が差し出した矢に手を触れないままそう尋ねた。
「矢羽が鷹ではなく鷲の尾羽です。白い鷲の尾羽は越の国が献上してくるもの、手に入れられる者は限られます」
王族もしくは蘇我宗家の長である石川麻呂なら手に入れることが可能だろう。葛城王は矢羽から目を離して鎌子を見た。
「阿倍の時と同じだ。吾を巻き込もうとする何らかの奸計だろう。できれば無視をしたいが日向は大王《おおきみ》にも伝えるという。そうもいかないだろう」
葛城王の危惧は的中し、蘇我日向の讒言を受けた孝徳天皇は葛城王に事の真偽を質す使者を寄こした。
「右大臣が暗殺を謀っていたということだが、皇太子の御身は無事か」
孝徳天皇の使者が述べた言葉は表向き葛城王の安否を気遣うものだった。だが自分が暗殺対象だったと名指しで言われれば葛城王は何らかの反応をせざるを得ない。
孝徳天皇は葛城王に石川麻呂を討てと暗に要請していると捉えるのが妥当だった。
「石川麻呂殿による暗殺の事実は否定し、矢への疑いだけを述べれば大王の意図を汲んだことになりませんか」
鎌子の提案は苦し紛れが明らかな言い分だった。だが葛城王は、
「それがよさそうだ」
といって自ら大王の使者に伝えた。
「浜辺を歩いていた吾の近くに矢があったことは確かだが、吾の暗殺のために放たれたものとは到底思えない。敢えて言うならば確かに石川麻呂ならばこのような仕様の矢を手に入れることはできるだろう。疑いがあるとすればその程度だ。大王の御心配は無用のものだ」
明らかな言い逃れで石川麻呂討伐の軍を動かそうとしない葛城王を尻目に、孝徳天皇はこれまでとは異なる思い切った行動に出た。孝徳天皇自らが蘇我石川麻呂を討つ兵を起こしたのである。
「葛城王からは右大臣である蘇我石川麻呂には確かに疑いがあるという報告があった。よってわたしが自ら右大臣を討伐する」
蘇我石川麻呂は孝徳天皇の軍に邸を囲まれる前に二人の息子とともに大和へ逃げた。逃げた先は石川麻呂の長男である蘇我興志が建てた山田寺という寺である。
「父上、ここで大王の軍勢を迎え撃ちましょう」
飛鳥宮にほど近い山田寺で石川麻呂を迎えた興志は、兵を集め、大王への宣戦布告のために飛鳥小墾田宮に火をつけることを計画していた。だが石川麻呂は興志の行動を制止した。
「この寺は大王のために建てたもの。私がここに来たのは大王に逆らうためではない。逆賊として大王の兵に殺されるのではなく、忠臣としての最後を迎えるためにこの寺に来たのだ。お前たちも覚悟を決めろ」
天皇が自ら兵を起こしたならば、もう罪を覆すことはできない。
石川麻呂は興志ら息子三人を含む家族八人ともども首を括って自死した。
孝徳天皇は蘇我日向の他に大伴狛を蘇我石川麻呂の追討の将軍に任じていた。
追討軍が難波から飛鳥に向かう前に石川麻呂一族の自死の報せがもたらされ、将軍の一人である大伴狛は軍を難波に返した。
だが蘇我日向は兵を退こうとしなかった。
蘇我日向が率いる軍は難波と飛鳥の境の峠を越え、既に石川麻呂一族の遺体が並ぶ山田寺を囲んだ。生き残って降伏を表明する者達を次々に捕らえ、ある者はそこで殺し、ある者は罪人として後ろ手に縛り首枷を掛けた。そして蘇我石川麻呂の遺体を見つけるとその首を切り落とした。
蘇我日向に従う者の中に穂積臣咋という者がいた。
穂積臣咋は東国のある国司の長官で、以前、行動に問題があるとして処罰され任を解かれていた。臣咋を処罰したのは改新を主導している葛城王と二人の大臣、阿倍内麻呂と蘇我石川麻呂だった。
左大臣である阿倍内麻呂が亡くなり臣咋の恨みの矛先は蘇我石川麻呂に向かっていた。
石川麻呂の遺体から首が切られるのを見届けると、穂積臣咋は部下の二田鹽に命じてその遺体を損壊させた。二田鹽は雄叫びを上げながら太刀で遺体の胴を突き、手足を断ち切り、背を、腹を切り刻んだ。山田寺の石畳には石川麻呂の血肉が一面に散らばった。
難波に残された石川麻呂の邸からは多くの書物や宝物などが押収された。それらの中には皇太子である葛城王への献上品と記されたものがあった。
「……前に吾の邸に火を放ったのは石川麻呂の指図だったのかもしれない」
子代離宮の一画で石川麻呂の遺品を鎌子とともに検分しながら葛城王が云った。
「なぜそう思うのですか」
鎌子が聞くと葛城王は美しい紙に写された経文を眺めながら、
「犬に吠えられて逃げる程度の者達だ。本当に吾の邸を焼こうと思っていたのなら気構えが足りない。本気ではなく吾の邸に火が付けられたことが周りに分かればいい、それで大王の命令をごまかそうとしたのではないか」
葛城王が手にする経文には皇太子への献上品と記された短い木簡が付けられていた。
「そうならば、あの鏃が欠けた矢もやはり石川麻呂殿のものだったのかもしれません」
石川麻呂は孝徳天皇から何回も葛城王を陥れる謀や暗殺を命じられていたが、適当に受け流して完遂には至っていなかった。その一方で葛城王には献上品を欠かさなかった。
対立する葛城王と孝徳天皇の両方に良い顔をしようとして阿倍内麻呂からは猜疑の目を向けられ、孝徳天皇の逆鱗に触れた。
それは見方を変えれば孝徳天皇による容赦のない葛城王派の粛清だった。
蘇我石川麻呂の事件により、兵を動かさなかった葛城王と孝徳天皇の敵対関係が衆目にも明らかになった。
「……鎌子、大王には最早吾の言葉が通じないのかもしれない」
「私もそのように思います」
「何かを言えば勝手に解釈され、黙っていれば勝手に何かを言ったことにされる」
葛城王の口調には苛立ちよりも虚しさが強く滲んでいた。
二人の対立が明らかになった今の状況を思えば、葛城王の邸を王宮の外に建てたことは適切な判断だった。だがかつての山背大兄王のように邸ごと一族を滅ぼされることもこの先は警戒しなければならない。佐伯子麻呂の他にも葛城王の邸の警備にあたらせる兵を増やさなければならないだろう。
鎌子は喫緊の対応に思考を巡らせながら葛城王に尋ねた。
「葛城王、遠智娘妃のご様子は。大丈夫でしょうか」
葛城王の妃である遠智娘は蘇我石川麻呂の娘である。気遣う鎌子の言葉だったが、葛城王の表情は目に見えて暗くなった。
「妃はひどく心を痛めている。日夜泣き叫び、疲れ果てて一日床に伏していたかと思えば起きて直ぐにまた泣き始める」
石川麻呂の娘である遠智娘は父母も兄弟も、近しい家族を一時に失って強く嘆き悲しんだ。なかでも石川麻呂は彼女にとって頼もしく娘想いの優しい父親だった。
遠智娘は深い悲しみに沈んだまま、喪屋で家族の遺体とともに石川麻呂の惨殺された屍を間近に見ることになった。
二田鹽によって切り刻まれ、原形をとどめていない血みどろの肉塊を父だと云われ、遠智娘はその心に強い衝撃を負った。大きな悲鳴を上げながら正気を手放す寸前の彼女の眼に映ったのは、肉塊のところどころに赤黒くこびり付いた見覚えのある父の衣装の断片だった。
心の均衡を失った遠智娘は、その後、現と虚ろを行きつ戻りつする生活を送ることになった。
かろうじて葛城王の第三子を妊娠してからはとりわけ気鬱の病が重くなり、遠智娘は腹の中の子をほとんど流産に近いかたちで出産し、産褥の床を上げることなくそのまま帰らぬ人となってしまった。
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