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2章 地球激闘編

13話 情報収集と言う名の娯楽 その2 ※

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 ビルから出て歩道を歩いていると、ちらほらと人とすれ違った。そして全員こちら見ていく目線が気になった。おっさんに女性4人連れは、目立つと思っていたが、どうやらララを見ているようだった。

「さすがに銀髪と赤目は、目立つんじゃないですか?」

 そう瑠偉に言われるまで、気づかなかった。胸しか見ていなかった自分に反省。
 ちがう、ナノマシンの服に驚いて、すっかり忘れていたのだろう、そう言う事だ。
 と自分に言い聞かせた。

「ララ、髪色と目の色変更できるか?」
『残念ですが髪は、島に戻らないと無理です。目は可視光センサー以外を、停止させれば黒色になります』
「まぁいいか・・・ファッションとカラコンで押し通そう、と言うことで頼む」
『了解しました』

 久しぶりの名古屋だが、ほとんど変わってなくて逆に不安である。俺が東京に、引っ越してから60年程立ってるはずだ。いや、歩行者が少ないか?
 しばらく歩くと、漫画喫茶24Hと書かれている、看板が見つかり中に入る。

「いらしゃいませー、何名様ですか?」
「5人だ、ネットのペアシートと、4人テーブルで分けて頼む」
「ではペアシートは12番、テーブル席は26番になります」

 店員からプレートに挟まれたレシートを受け取り、瑠偉に26番のプレートを渡した。

「俺と麻衣でペアシートだ、何も起きないと思うがララは瑠偉と美憂の護衛を頼む」
『了解しました』

 フリードリンクコーナーで立ち止まり、ドリンクサーバーを眺める、〇〇・コーラとカル〇スは今だ健在のようだ、だからと言って飲まない。そのままアイスコーヒーを作り席に着く。
 机に置いてあるパソコンを見る、そこには<DE〇L>と刻まれた箱が置いてあった。制作メーカーもデザインもさほど変化が無い、電源を入れると見慣れた画面が表示された。
 ブラウザーはこれか? まだネット系企業は存続しているようだ。

「よかったー、完結してたよー」と大量の漫画を抱え麻衣が隣に座った。

 聞きたくないが、一応聞いておこう。男女の仲は、コミュニケーションが大事だからな。

「完結って?」
「〇ンターx〇ンターよ、不滅の名作コーナーに豪華完全版があったわ」
「瑠偉は何読んでた?」

「瑠偉ちゃんは、女性週刊誌読んでたよ」
「主婦か! 美憂は?」

「美憂ちゃんは、少女マンガ読んでたよ」
「乙女かよ! ララは何してた?」

「なんか動いていなかったよ、ずっと同じ姿勢だった」
「ロボットか! いやロボットだな」

 そのまま麻衣は、束になっている本から一冊取り出し、嬉しそうに読み始めた。
 俺もニュースサイトを見て、過去の事件とかをだらだらと眺めていた。

 そんな事をしていて数十分が経過したころ、突然にテキストエディタが勝手に起動し画面中央に現れた、カーソルが勝手に動き文字が入力されていく。

 ◇ララです。報告があります、マスター⏎

 もうハッキングしたのか、早いな。もともと調査してくれと、言ってあるからいいが・・・
 俺はそのままララとチャットを始めた。

 ◇どうした? ⏎
 ◇ここにある本を、全て記録し理解しました。もうやることがありません⏎

 店内にある時計を見ると、入店してから40分程度しか経過していない、その時間で店内にある本をすべて読み終えたと、しかも全部記録までして。さすが自称銀河系最速最強だな。

 しかし、やることがありませんと言われても困るな。

 ◇では指令を与える、ネットの大海を航海してきてくれ⏎
 ◇領海しました⏎

 領海って……了解か? おれの言い回し、をいい違いで返すとは、おかしな方向に成長してないか?

「ふぅー、よかった」
「え? もう読み終わったのか?」

 声に気づき隣を見る。幸せの表情で、読み終えた漫画を巻数順に揃えている、麻衣の姿があった。

「ふふ、速読の麻衣ちゃんと、呼ばれていた時期もあったわね。
 ・・・あっ、ちょっと検索させて? 調べたい物があるの」
「ああ、いいぜ」

 麻衣はキーボードを自分の前に引き寄せて、何やら調べ始めた。マウスホイールをクルクルさせながら「うぁー」と何度も叫んでいる。

「なんか、いい事があったのか?」
「お気に入りだった、異世界転生系のコミカライズが、原作含めて全部エタってる」

「エタってる、って何?」
「エターナル、英語だね。果てしない、つまり未完成ってことよ。
 それとか、これ見てよ! 物語の中盤で、さらに話の途中だよ? そこから2年ほど放置の上【主人公の冒険は、まだまだ続く…】で、いきなり終わってる。モヤモヤ感すごいよ!」

 さらに麻衣は、マウスを操作しwebページを切り替えた。マウスから手を放し、モニターの画面の角に手を置いた。「そして、これよ!」とモニターに向けてる、真剣な視線を俺に向けた。

「コミカライズの漫画、web版小説、書籍版、全部同じ場所で止まっているわ。そして2年後に【突然ですが、連載を終了させて頂きます】という、出版社の書き込みが! そして次は・・・・」

 そんな状態から、3巻分の感想とエタるクレームを語った。聞かなきゃよかったな・・・

「ま、まあ・・・流行なんてそんな物だろ・・・(…よくわからんけど)」
「はぁ~・・・ほかの漫画を持ってくるわね」
「ああ、行ってらっしゃい」

 麻衣は諦めたのか、大きな溜息をした。俺の前にキーボードを押し出と、ブブブと裏面の滑り止めのゴムが、激しく鳴った。そして漫画を探しに、個室から出て行った。

 モニターの角度を調整し、俺の正面に合わせ、web閲覧の続き始める。
 暫らくして、またテキストエディタが立ち上がった。

 ◇マスターw お知らせですwww⏎
 ◇なに? ⏎
 ◇日本のスパコンとかサバーをwww 全て支配下に置きましたwww⏎
 ◇わかった、今お楽しみ中だから、夜に聞く ⏎
 ◇うwっはwwwおwwっけっいwww⏎

 草を生やすなよ・・・壊れたのか? それとも、日本のネットの闇に汚染されたのか?
 しかし、航海に出してから10分ほどしか経ってないが、ハッキングが速過ぎだな・・・

 ◇安心してください、壊れていません(´・ω・`)

 今度は顔文字か・・・夜に注意しておこう。

 ……
 …

 目が疲れた・・・もう5時間ぐらいたったか。
 麻衣が俺の肩に寄りかかって寝ている、肩を突き上げ麻衣を起こす「ぐげっ」と変な声を出しながら麻衣が起きた。

「そろそろ出るか、昼食でも食べに行こう」
「もうそんな時間?」

「12時過ぎてるな、出るぞ」

 瑠偉達と合流して会計に向かう、「一緒で」と言いレシートをまとめて店員に渡す、店員はレジで計算を始めた。

「合計で27856円になります」

 と店員は作り笑顔で合計を言う。
 え? 2万7千? 多いな・・・と振り返り瑠偉達を見る。

「パフェを少々食べました」
「久しぶりの生クリーム、おいしかったな!」

 瑠偉と美憂はそう言うと幸せの笑顔を見せる、始めて俺に見せる表情だった。
 しかし少々だと? 絶対2個以上頼んでるぞ恐ろしい別腹だ・・・
 会計を済ませ外に出る。

「ありがとうございました~」

 音程の無い店員の挨拶を浴びながら外に出る。
 ではネットで事前に調べておいたあの名店に行くか!
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