55 / 80
2章 地球激闘編
4話 長い話
しおりを挟む円形のテーブルに11人の男女が座り話し合いが始まった。
「中条いいのか? 孫がのびているぞ」
「儂の孫ではないな、そなたの嫁だろに」
俺は結婚してないし、年齢が釣り合わないだろう、なるほどボケちゃったか中条は。自称嫁なら居たが、俺が宇宙に漂流している間に60歳を過ぎている事になる。アゴに手を当て考えても出てこない、遠い過去には結婚してたが死別したし・・・
「白井夜巳、そなたの嫁だろう」考え込んでいる俺を見て中条はもう一度念を押してきた。
その嫁は自身でそう言っているだけのストーカーだ、始めて会った時から<やっと会えた>とか訳の分からない言葉を発して、抱きついてきた娘である。年齢は20代だったはずが、そこで気絶している物体は、どこから見ても子供だ。
「年齢が釣り合わないんだが?」
「詳しくは聞けなかったが、転生したそうだ」
転生か、そんな事ができる能力者だったのか?
「予知能力者だったはずだが、転生できるのか?」
「先ほども言ったように詳しくは知らん、そなたの嫁だし後で詳しく聞けばよかろう。それより、もっと重要なことを、聞きたいのではないのかね? 儂もそなたに聞きたいことがある」
円形のテーブルを見渡し各々の顔を拝見する、中条と彩音以外の視線が、発言をしている俺や中条ではなく、異星人であるテナに視線が集まっていた。
全員とっても聞きたそうな顔をしてる。
「回りくどい話は嫌いだ、現状を3行で説明してくれ、簡潔に解りやすくな!」
瑠偉達が<もうちょっと詳しく聞きたいんだけど>と言う声が聞こえてきそうな顔を、俺に向けてきた。瑠偉達は中条の性格を知らないのだろう、彼は伏線を張って話を逸らし続け、本題に入るまで、かなりの時間を要するお話し好きだ。そしておそらく老人特有の同じ話を繰り替えす事もするはず。
そんなわけで先手を打たなければならない、延々と2,3時間話されたらたまらないからな。
「ふむ3行か……
そなたが居なくなってから我々の組織は無事世界各国を支配下に置いた。
国境を無くし内戦紛争も沈静化し平和な日々が20年ほど続いたぞ。
しかし突然それは現れ生命を飲み込み消していった、あらゆる手段を使ったが撃退するには至っておらん。
以上、それが今の世界の現状だ」
なるほど戦争して支配したわけではなさそうだな、あらゆる手段なら核ミサイルはガイルアに当てたが、見事に効かなかった訳だな。
彼らの侵略戦争に使用した可能性もあるので、一応確認しておくか。
「核ミサイルはそれに当てたんだろうな? まさかお前らの征服戦争で使った事は無いだろうな?」
「当然だ、我々は平和的に支配している」
俺はテナの方を見るがいつも通りの無表情だ、ガイルアは俺が何とかするとして東京の放射線を何とかしないといけない。キプロス星の科学力で除染できないか聞きたいところだが、今聞くと中条達に聞こえてしまう、仮に除染が可能ならそれを交渉材料にしたい。
「では儂の番かな」
「手短に頼むぞ」
しばらく考え込んでいた俺を見て、中条が先に話しかけてきた。
「アメリカ上空に出現した構造物はそなたと関係あるのかな?
そなたは宇宙空間から、どうやって戻ってきたのじゃ?
そちらの桃髪の方は、見るからに地球人じゃないのだが異星人じゃろ?
それらを総合的に見て、出現した構造物とそちらの異星人は関係があるように思える。
その異星人を連れてきたということは、そなたと関係があるのじゃろう。
つまりどういう事じゃ?
そちらの3人の娘さん達はどうするかのう?
しかし、その娘さん達は強力な力を感じるのだが、どんな能力者なのだ?
偶然飛行機の居合わせたにしては・・・3人とも能力者とはなにやら因果を感じるのぅ」
手短にと言ったはずが、聞いてなかったのか? しかも質問の数が多いしまだ続くらしい、ここは中条の話の途中だが、話にかぶせ強制的に答えを出す事にした。
「推測通りその構造物はそこに居る異星人の元居住区だ、現在は俺の家となっている。今は移動中だが太平洋上空の公海上で停止しするつもりだ、いずれは国家の樹立を宣言させてもらう。
まずは先にあれを何とかしよう」
3人の女子に手を向け続ける「この3人については落ち着いてから話し合おう」
「まだ話の途中じゃったのだが……まぁよい、異星人の事や国家宣言ついては、いずれ協議するとしよう。一番差し迫った問題は、あれについてだが我々は<死の流動体>と呼んでおる。
我々の能力はもちろん、核ミサイル、銃、電磁波など現在考えられる兵器で挑んだのだが、全て効かった。そのおかげで<死の流動体>に一方的な攻撃を受けている現状じゃ。
現在の地球人口は20億を切っておる、絶滅した動物も数千種類あり生態系も乱れておる。
現在の我々は、逃げながら細々と生きている状態じゃよ。
あぁ、そうだな<死の流動体>ついてだが、あれはそなたを宇宙に送った後、我々は‥‥…」
「まてまて、その演説はあとどれくらい続く?」
「演説ではないが…まぁ2時間ぐらいで終われると思うぞ?
まずアメリカ上空に現れた‥‥…」
「まて、言っているだろう」と強めの口調で中条を止める、くだらない話を2時間も聞く気はない、しかも最初に戻っているし・・・
「その<死の流動体>についてだが情報がある。テナ、ガイルアについての情報を頼む」
「わかりました、お話しします」
それから、テナ=シエルによってキプロス星の過去やガイルアとの戦いの末路が話された。
俺達は一度聞いた内容だ、彼らはガイルアの恐ろしさやキプロス星の末路を神妙に聞いていた。
0
お気に入りに追加
69
あなたにおすすめの小説
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた
羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件
借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!
いつか日本人(ぼく)が地球を救う
多比良栄一
SF
この小説にはある仕掛けがある。
読者はこの物語を読み進めると、この作品自体に仕掛けられた「前代未聞」のアイデアを知ることになる。
それは日本のアニメやマンガへ注がれるオマージュ。
2次創作ではない、ある種の入れ子構造になったメタ・フィクション。
誰もがきいたことがある人物による、誰もみたことがない物語がいま幕を開ける。
すべてのアニメファンに告ぐ!! 。隠された謎を見抜けるか!!。
------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
25世紀後半 地球を襲った亜獣と呼ばれる怪獣たちに、デミリアンと呼ばれる生命体に搭乗して戦う日本人少年ヤマトタケル。なぜか日本人にしか操縦ができないこの兵器に乗る者には、同時に、人類を滅ぼすと言われる「四解文書」と呼ばれる極秘文書も受け継がされた。
もしこれを人々が知れば、世界は「憤怒」し、「恐怖」し、「絶望」し、そして「発狂」する。
かつてそれを聞いた法皇がショック死したほどの四つの「真理」。
世界でたった一人、人類を救えも、滅ぼしもできる、両方の力を手に入れた日本人少年ヤマトタケル。
彼は、世界100億人全員から、救いを求められ、忌み嫌われ、そして恐れられる存在になった。
だが彼には使命があった。たとえ人類の半分の人々を犠牲にしても残り11体の亜獣を殲滅すること、そして「四解文書」の謎を誰にも知られずに永遠に葬ることだった。
異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。
ファンタスティック小説家
ファンタジー
科学者・伊介天成(いかい てんせい)はある日、自分の勤める巨大企業『イセカイテック』が、転移装置開発プロジェクトの遅延を世間にたいして隠蔽していたことを知る。モルモットですら実験をしてないのに「有人転移成功!」とうそぶいていたのだ。急進的にすすむ異世界開発事業において、優位性を保つために、『イセカイテック』は計画を無理に進めようとしていた。たとえ、試験段階の転移装置にいきなり人間を乗せようとも──。
実験の無謀さを指摘した伊介天成は『イセカイテック』に邪魔者とみなされ、転移装置の実験という名目でこの世界から追放されてしまう。
無茶すぎる転移をさせられ死を覚悟する伊介天成。だが、次に目が覚めた時──彼は剣と魔法の異世界に転生していた。
辺境貴族アルドレア家の長男アーカムとして生まれかわった伊介天成は、異世界での二度目の人生をゼロからスタートさせる。
日本国転生
北乃大空
SF
女神ガイアは神族と呼ばれる宇宙管理者であり、地球を含む太陽系を管理して人類の歴史を見守ってきた。
或る日、ガイアは地球上の人類未来についてのシミュレーションを実施し、その結果は22世紀まで確実に人類が滅亡するシナリオで、何度実施しても滅亡する確率は99.999%であった。
ガイアは人類滅亡シミュレーション結果を中央管理局に提出、事態を重くみた中央管理局はガイアに人類滅亡の回避指令を出した。
その指令内容は地球人類の歴史改変で、現代地球とは別のパラレルワールド上に存在するもう一つの地球に干渉して歴史改変するものであった。
ガイアが取った歴史改変方法は、国家丸ごと転移するもので転移する国家は何と現代日本であり、その転移先は太平洋戦争開戦1年前の日本で、そこに国土ごと上書きするというものであった。
その転移先で日本が世界各国と開戦し、そこで起こる様々な出来事を超人的な能力を持つ女神と天使達の手助けで日本が覇権国家になり、人類滅亡を回避させて行くのであった。
魔法学院の階級外魔術師
浅葱 繚
ファンタジー
魔力の色によって使える魔法が決まる世界。魔法学院に入学した主人公ルーシッド・リムピッドの魔力の色は何と『無色』。色が無いゆえに一切の魔法が使えないルーシッド。しかし、実は無色の魔力には彼女だけが知っているある秘密があって…
魔法が絶対の世界は、たった一人の魔術師によって大きく動き出す。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
❤️レムールアーナ人の遺産❤️
apusuking
SF
アランは、神代記の伝説〈宇宙が誕生してから40億年後に始めての知性体が誕生し、更に20億年の時を経てから知性体は宇宙に進出を始める。
神々の申し子で有るレムルアーナ人は、数億年を掛けて宇宙の至る所にレムルアーナ人の文明を築き上げて宇宙は人々で溢れ平和で共存共栄で発展を続ける。
時を経てレムルアーナ文明は予知せぬ謎の種族の襲来を受け、宇宙を二分する戦いとなる。戦争終焉頃にはレムルアーナ人は誕生星系を除いて衰退し滅亡するが、レムルアーナ人は後世の為に科学的資産と数々の奇跡的な遺産を残した。
レムールアーナ人に代わり3大種族が台頭して、やがてレムルアーナ人は伝説となり宇宙に蔓延する。
宇宙の彼方の隠蔽された星系に、レムルアーナ文明の輝かしい遺産が眠る。其の遺産を手にした者は宇宙を征するで有ろ。但し、辿り付くには3つの鍵と7つの試練を乗り越えねばならない。
3つの鍵は心の中に眠り、開けるには心の目を開いて真実を見よ。心の鍵は3つ有り、3つの鍵を開けて真実の鍵が開く〉を知り、其の神代記時代のレムールアーナ人が残した遺産を残した場所が暗示されていると悟るが、闇の勢力の陰謀に巻き込まれゴーストリアンが破壊さ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる