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1章 宇宙遭難編
48話 準備が整いました
しおりを挟む俺は空中都市上空に姿を現した、周辺を見まわすといつもの銀の球体が浮かんでいる、周辺は夜で空には星が大量に光っていた。
「これは恒星までついてくるのか?」と球体に触れリヴァララに話しかける。
『データ収集のためお供させていただきます、動かなくなった場合はそのまま捨て置いてください』
「いいだろう、ついてこれるならついてくるがいい」
可視できる範囲で連続テレポートし恒星が見える昼間の位置まで移動する、後ろを見ると銀の球体がきっちりついてきていた。
周辺の空気を少し集め空気遮断・断熱・減光のバリアを同時に展開する、遠隔透視で恒星の距離を把握しそのまま一気にテレポートを行った。
……
…
恒星の付近に到着すると眼下にはオレンジ色の発光体が広がっている、上下左右を見渡すが先が見えず巨大な壁に突き当たっている感覚であった、後ろを見ると銀の球体が居た。
「よくついてこれたな?」
『少し見失いましたがなんとか移動できました、行動される前に質問が2つほどありますがよろしいですか?』
「まぁいいだろう、いい機会だし詳しく答えてやる」
『ひとつはどうやって呼吸をしているのでしょう?
ふたつめはどうやってエネルギーを吸収するのでしょう?』
「まず呼吸は口から吐く時に二酸化炭素を分解して酸素を作っている、分解はたいした力を必要としないので俺が飽きない限り呼吸が可能だ。
そして恒星のエネルギーの吸収だが大きさ的に1回では無理なので、最初はバリアと呼吸の維持を残し力の源を体から出し限界まで広げそこでエネルギーの変換をして取り込む、そうすると出せる力が上がるのでさらに広範囲にエネルギーを取り込める、そうやって何度も繰り返し最終的には恒星を丸ごと包みこめるはずだ」
『なるほど解りました、しかし私の計算では恒星丸ごとのエネルギーは必要ないかと思われます』
「どのみちお前もテナも地球に来るから、これ必要ないだろ?」
『問題はありませんが、この恒星は地球の太陽の約6倍の大きさです、時間は大丈夫ですか?』
「聞くの忘れていたが、意外と大きいな。なら適度に切り上げるわ」
目を閉じ力を集中させる、右手を出し薄く広範囲に広げ核融合エネルギーを変換し体に戻す、変換した直後は黒い穴が開くがすぐに周りからオレンジ色の光が押し寄せ均一の色になる、すぐさま得たエネルギーを開放し先ほどより範囲を広げ再び吸収する。
後はこれを何度も繰り返すだけだ…
『お知らせします、城島様達が海にお出かけになりました。先日に美憂様が作られた水着を着ております』
リヴァララさんは俺の集中を乱したいのか? 何故その話を持ってくるのだ。
もしかしてリヴァララは恒星からエネルギーを取るのは反対なのか?
「もしかしてワザと邪魔してる? 言っておくが始めてしまえば集中しなくても片手間でできるから、無駄だぞ」
『決して恒星からエネルギーを取るのを反対しているわけではございません。
一人では退屈であろうと思いまして、話しかけました』
「なら話じゃなく映像をよこせ」
『盗撮は犯罪です』
「この前の温泉の時そんなこと言ってないけど?」
『城島様より無断の撮影は犯罪と言われ受理しました、ただし兼次様にマスター権限が完全に移行されれば変更可能です』
そうか地球につくまで我慢か、でも盗撮とか言われるとやる気が出ない、麻衣はすでに全裸を鑑賞済みだから今さら感がある、美優は絶壁だから見る必要は無い、ゆえに瑠偉の水着姿だけでも拝まないとな、しかたないチャンスを待つしかないのか。
『実はキプロス星の外側の惑星に生命が誕生しつつあります』
「そ、そうか・・・でも止めないよ? もっと他の話題無いの?」
『実は男性経験が無いので、何を話していいのかわかりません』
なるほど、確かテナの一族は雌雄同体だったな、なのでメスとオスが解れている種族は初めてと言うわけか、そんな雌雄同体の事を思い出していたら肝心なことに気が付き、なにか嫌な予感がよぎる。
「そういえばテナの体は何を基準に作っているんだ?」
『生きて居た頃のDNAデータを元に構築しております』
てことは雌雄同体の体か、麻衣あたりが喜びそうだが・・・
「その体は雌雄同体なのか?」
『そうですが、何か問題でも?』
問題ある、一部のマニアを除けばかなり引くレベル、とうぜん俺も興味はない。
最初の体育の時間にビックリハプニングが起きそうだな、いやむしろ普通に入学初日に男子トイレに入っていきそうだ、やはり地球人の女性の体にしないと色々と問題が起きると思う。
まてよ雌雄同体なら男子でもいいのか・・・いや、だめだ俺よりイケメンになってもらっては困る、やはり女性にするべきだ、いずれ関係を持つかもしれないしな。
「色々と問題があるので体は地球人ベースへ変更は出来るか? 例えば麻衣や瑠偉のDNAを合成して新たに作ったり」
『調査と研究が必要になりますので時間がかかります』
「早急に始めてくれ、さすがに地球生活で雌雄同体だとテナの将来が心配だからな。
あと今の体も一応継続して作っておいてくれ念のためにな、必要になるかもしれないしから」
『了解しました、早急に研究を開始します。そして、その件ですが地球についた時、地球人のDNAサンプルの収集したいのですが、許可をお願いします』
「許可する、ただし気づかれ無いよう行動してくれ」
『心配無用です、織田様でも気づきませんでしたので大丈夫です』
そうだったな50億体のナノマシンだったか、頻繁に惑星を飛び回っていたが全く存在を感じさせなかったな。
どうやら話題がなくなった様で先ほどから無言が続いている、いい機会だし地球の事や地球人の事を詳しく教え込んでおこう。
……
…
エネルギーの吸収を始めてからどれぐらいの時間が経ったろうか、当然だが昼も夜もないので時間感覚が全く分からない。体は素晴らしく快適だ、エネルギーも充分蓄えこれで地球に戻る準備がすべて整った。
『お知らせします、恒星の放出エネルギーが50%低下しました。
キプロス星の浮遊島がすべての地点に集合いたしました。
散らばっているナノマシンや調査ロボットの呼び戻しが完了し、移動準備が整いました』
「では地球に帰還しよう、その前に地球についた時の事を確認する、リヴァララよ計画を」
『地球に到着と同時に浮遊島に対物理シールドの展開を行います。
核兵器の攻撃にも耐えることが可能です。
全浮遊島に戦闘用ロボットを配置し許可されていない侵入者を排除します。
増産したナノマシンを地上にばらまき全コンピューターへハッキングを開始します。
日本の農産物の調査を行い農業島で日本の農作物の生産を開始します。
以上となります』
「よろしい、では出発する。現在の浮遊島の位置データを頼む」
『了解しました』
銀の球体が俺の頭に乗っかり情報が流れてくる、その位置情報を元に浮遊島へ直接テレポートした。
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