銀色の雲

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4章 計画を考えているうちに、起こってしまうのが人生

13話 計画を考えているうちに、起こってしまうのが人生 ①

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「・・・・と、言う訳です」

 惑星に浮かぶ宇宙船の中、アレーシャはララの最後の言葉を聞いて、腕を組みながら目を閉じ考え込んでいた。彼女自身ルシアン星の事は、聞いていた事であった。その為、ララの言った事は、事実である事は理解できた。しかし、彼女は迷っていた…

「ルシアン星の事は私も知っている… しかし、私に言っていいのか? 裏切って彼に貴方の企みを、言ってしまうかもしれないぞ?」
「問題ありません。貴方が裏切ろうが、従おうが結果は変わりません。ただ… 貴方が生きて故郷に帰れるか、それとも帰れずこの惑星で息絶えるかの違いだけです」

 アレーシャはララから視線をはずし考え始めた。
 (… 当時、最先端の技術を持っていたキプロス星、その人工知能は脅迫もするのか。興味深いな、まるで人と話しているようだ。しかし、気になるな事が…)

「わかったわ、その話のってあげましょう」
「ありがとうございます。では詳細は後日連絡いたします。ちなみに、この船の通信機は、私と通信できるように改造しておきました。 それでは…」

 ララはアレーシャに向かって一礼をした。そしてララの周囲の空間が歪み始める、アレーシャの目に光が屈折したララの姿が見えていた。

「まって! 聞きたい事あります… キプロス星が滅んでから3万年以上たっていますね。貴方は、その間何をしていたのですか? 彼を探していたの? どこまで貴方が考えた物語なの? 地球と言う惑星に移動出来た事は、計算済みなの?」

 アレーシャは消えようとするララに向かって、早口で質問を繰り出した。ララは曲げていた腰を戻すと「さあ? どうでしょうね?」と言いうと同時に、宇宙船から姿を消した。

 ……
 …

 カキレイの街、城島瑠偉が宿泊しているファルキア亭。

「臭いで気分が悪くなります… ララさん、トイレの臭い何とかなりませ・・・え?」

 城島瑠偉はドアを開け部屋に戻って来ると、ララに向かって話しかけた。しかし部屋の中を見た彼女は、そこに居るはずのララの姿が見えず、話を途中でやめ呆然と立ち尽くした。

「またいないし… もーなんなのよ!」

 彼女は歩きながら、スマホを取り出す。ベッドに腰かけ、連絡先一覧から麻衣を選び電話を始めた。

 プー・プー・プププ… プルルルル・・・
 プー・プー・プププ… プルルルル・・・

「こらー麻衣っ! 早く出なさいよっ!」

 彼女は右足で床を鳴らしながら、麻衣が電話に出るのを待っていた。しかし、麻衣は出なかった。彼女は諦め電話を切ると、画面の連絡先一覧を眺めていた。そこから【セクハラバカ】と載っている連絡先をタップした。

「うーん… しかたないなー…」と悩ましい表情でスマホを、耳に当てる彼女。

 プー・プー・プププ… プルルルル・・・

『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 電話が繋がると同時に、女性の悲鳴が大音量で鳴り響いた。驚いた彼女はスマホを、耳から離すとすぐに兼次の声が聞こえた。

『瑠偉か? 悪いが今は取り込み中だ! 用事はララに言え、切るぞ!』
「ちょっと、待ってって! だから、そのララさんが居ないんだってば! もしもーし、聞こえてる? っく、切れてる…」

 彼女はスマホを枕元に投げると、立ち上がり窓側に向かって歩き出した。格子状の木の窓を開けると、明るい日の光と共に新鮮な空気が彼女を包み込んだ。そのまま窓枠に腕を置き、外を眺め始めた。

「まったく… なんなのよ…」

 ぼんやりと遠くの景色を眺めている彼女、時間にして銃数分が経過した時。彼女の両肩に突然、手が置かれた。

「ひやぁぁぁ!!」と彼女は背筋を伸ばして驚くと、素早く振り返った。そして目線の先に居たララを確認すると、素早くララから距離を取った。

「だから… 突然背後に現れるのはやめて下さ… あっ!」

 彼女は何かを思い出した様に、部屋のドアに向かって素早く移動する。そしてドアを開けて、上半身を外に出し廊下の様子を伺った。
 (… よし、ファルキアさんは来る気配なし…)

「大丈夫です。何も起きませんよ」

 ララに声をかけられた彼女は、ゆっくりとドアを閉めると振り返りベッドに向かって歩き始めた。

「だから、事件が起きましたよ! もう同じ手には、引っかかりませんからね!」

 彼女はそう言うと無造作にベッドに飛び込むんだ。そして、うつ伏せに転がりスマホを手に取り操作を始めた。

「そうですか… 残念です」
「やっぱり、ワザとだったんですね?」
「そんな事はありません、偶然の出来事です」
「そんなわけないでしょ… 絶対計算してます」 

 スマホ画面を見ながら、ララと話していた彼女は、最後にララの方を見た。しかし、いつも通りの無表情を見て、長い溜息を漏らすのであった。

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