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4章 計画を考えているうちに、起こってしまうのが人生
10話 storyteller(ストーリーテラー) 始まり
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宇宙船の内部、円形の部屋。その中央に居るララは、腕を後ろに組みアレーシャに向かって語り始めた。
「順を追って説明しましょう、今から二十日ほど前の出来事です・・・」
兼次達が旅立つ20日ほど前。太平洋上空に浮かぶ都市国家リュボフ国、その中央管理島の奥深くにあるララの本体。そこに一つの通信が受信された。
… ‥‥ 友好国キプロスへ、力を貸してほしい。貴国の現状は知っている、だが… もう頼れる所がない。連合にも見放された、教団も無理だった。もし、この通信を聞いているなら、力を貸してほしい。今我々は危機的状況に置かれている、すまないが受信は出来ない、一方的に話すだけだ・・・・・
……
…
「てん、てん、てん、てん」
「なんだよララ、バグったのか?」
窓から月明かりが差し込んでいる、兼次の自室。部屋の照明も付けず、薄暗い部屋のベッドに横たわり天井を眺めていた彼。その横に立っているララの変な声を聞き、悩ましい表情でララの方を向いた。
「今の感情を、言葉で表現してみました」
「・・・・・」
兼次は、そんなララを半口を開けながら、黙って見上げていた。
「時にマスター、例の猫耳惑星の件ですが…」
「おう、見つかったのか?」
「いえ、まだですが・・・その前に地球人にそっくりの見た目で、大人になっても身長が120cm前後の種族を発見しましたが。興味はございませんか?」
「ない! 俺にロリ趣味は無い! 子供は夜巳一人で充分だ。さっさと猫耳種族を見つけろ」
彼は機嫌悪そうに言うと上布団めくり、中に潜り込むとララに背を向けた。
「申し訳ありません、出過ぎた真似でした」
「今日は、もう寝るぞ! で、麻衣は何をしている?」
「今日はネトゲのアップデートありましたので、徹夜になると思われます。もしよければ、私が例の体で、お相手しますが?」
「何回聞いても答えは同じだ! 棒付きは、俺の守備範囲外だよ! もういい寝る!」
「残念です… お休みなさいませ」
兼次が眠りについた同時刻、日本名古屋地区某所マンションの一室。机に向かい勉強をしている、刻夜志摩が居た。
トン トン トン
静かな部屋に、ドアを叩く音が刻夜志摩の耳に入り込んできた。刻夜志摩はドアの音で、集中していた気を緩めると、近くにある時計を見ると午後十一時を回っていた。寝る時間を伝えに来たと思った刻夜志摩は、教科書とノートを閉じドアの方を見た。
「どうぞ」
刻夜志摩の声と共に、ドアが開くとララが制御している少年メイドロボが、ティーセットをもって立っていた。少年メイドは部屋の中に入ると、静かにドアを閉める。そして、彼女の側まで近づいた。彼女は椅子を引くと、椅子を回転させ横向きになると。少年メイドロボの持っている、ティーセットを見ながら話かけた。
「そろそろ寝よう。と思っていたのですが、なぜティーセットを?」
「申し訳ありません。ご相談があります」
少年メイドロボは、そう言うとティーセットを机に置いた。
「ハーブティーです」
「ありがとう… それで私に相談なんて、珍しいわね。何日ぶりかしら?」
「27852年と75日、4時間42分ぶりです」
「人間の思考を、遥かに凌駕している貴方が、私に相談ですか… 生身の人間に戻った私に、答えられるかしら?」
刻夜志摩は出されたティーカップを持つと、その中身を口に含み一息つきながら、ララが話し始めるのを待った。
「キプロス星と友好関係にあった、ルシアン星の事です。先程、救援要請を受信致しました」
「それは、おかしいですね。地球に来るときに、滅びますと連絡をしたはずですが・・・」
「その連絡を、受信出来る状況にいなかった。と、思われます」
刻夜志摩は、ハーブティーを半分ほど飲み干すと、小さく息を吐きながらテーカップを机に置く。その腕を腹部に置くと、椅子をさらに回転させ、少年メイドロボと向き合った。
「わかりました。詳しく聞きましょうか」
「ありがとうございます。それでは… 事の発端は、今から約2年前です。ルシアン星の管理AIが、突然暴走を始めました。管理権限も無視され、電源も落とせない状態になりました。そして、各地に配備されていた人型補助ロボットが、住民たちを管理し始めました。最初は抵抗したそうですが、軍事関係が全てロボットに置き換わっていた為、武器を持たない生身の人間では、全く歯が立たなかったそうです」
「ルシアン星のAIは、私が技術協力して作った物でしたね。貴方とほぼ同等の能力があったはずです、扱い方を間違わなければ暴走することは無いはずです。私が厳重に注意して、教えたはずですが・・・原因は何でしょうね」と刻夜志摩言うと、右拳をアゴに当て考え始めた。
「そして、暴走が始まってから約一カ月後の事です。AIは、命の選別を始めました。年老いて、ただ日々を生きているだけの者。なんの技能、技術も持たない大人。知能や身体機能が、一定水準に達していない子供。それらの人達の・・・ 処分を始めました」
刻夜志摩は、処分と聞いて眉間にしわを寄せながら小声で「まるで… 家畜の扱いね…」と言うと、立ち上がりベットに向かうと、そのままベットに腰かけた。少年メイドロボは、彼女の姿を首だけ追い彼女がベットに座るのを確認すると、体を回転させた。
「ルシアン星の人達は、逃げるだけしか出来なかったそうです。文明が存在しない森の奥地や、荒れ果てた砂漠の洞窟などに落ちのびました。そこで旧世代の通信機を使い、連合に救援を求めたそうです。しかし通信は、AIに傍受されてしまいました。そしてAIは、連合が到着する前に、シールドを惑星全体に張りました」
「どのタイプのシールドか、推測できますか?」
「連合が惑星に侵入できなかった、と言っていました。恐らく絶対防御系のシールドに、内側の空間をランダムで歪ませて、空間転移を拒む機能を付けているかと思われます」
「そうなると、ルシアン星へ侵入する事は不可能ですね」と刻夜志摩は言うと、少年メイドロボから目線を外し考え込んだ。そして、何かを思いついた表情で少年メイドロボに話かけた。
「それで、貴方はどうしたいの?」
「助けようと思います。しかし私では、シールドを破れません不可能です」
「・・・・でも、彼なら可能ね? 頼んでみましたか?」
「頼めません。私の考えでは、100%確率で断ります。自分の尻は自分で拭け! と答えるはずです。それに、ロリ体形には、興味はない! と言いました」
「なるほど・・・」と刻夜志摩は言うと、ルシアン星の事を考え始めた。ルシアン星は重力が強く惑星全体で、その強い重力に負けない小柄な生き物が栄えていた。彼女自身もルシアン星に、降り立った事があった。そんなルシアン星の人間は、地球人の子供と同じ外見をしていたのを思い出すのであった。
「もしかして、子供は夜巳一人で十分だ! と、言いましたか?」
「はい、正解です」
「わかりました。つまり、私から彼に頼んで欲しい。と、言う訳ですね?」
「刻夜様が頼まれても、拒否確率が87%です。成功率13%では動けません。それに私から、刻夜様に頼んだと感づかれてします。今後マスターとの信頼関係に、極わずかですが亀裂が生まれます。よって他に方法が無いか、と思いまして・・・ その相談です」
「確かに、私から頼むと不自然ですね」と刻夜志摩は言うと、少年ロボメイドに向かって笑顔を見せた。
「でも私は嬉しいです。貴方が人を助けよう、と思った事が… なにより嬉しいです」
「テナ=シエル様が、最初に教えていただいたことです。『助けを求める声が聞こえたのなら、必ず手を差し伸べなさい』と」
刻夜志摩は、その言葉を聞きながら手を後ろに投げ出す。そして顔を上に向けた、天井の照明が眩しかった。彼女は遥か昔、作り立てのAIに自らか語りかけ、長い時間をかけ育てていった事を思い出していた。彼女は、その記憶がとても懐かしく、鮮明によみがえってきた。
「ふふふ、では一緒に考えましょう! 彼らを助ける方法を」
「はい。ありがとうございます」
それから日付を超えるまで、彼女とAIの会話は続いていた。
「順を追って説明しましょう、今から二十日ほど前の出来事です・・・」
兼次達が旅立つ20日ほど前。太平洋上空に浮かぶ都市国家リュボフ国、その中央管理島の奥深くにあるララの本体。そこに一つの通信が受信された。
… ‥‥ 友好国キプロスへ、力を貸してほしい。貴国の現状は知っている、だが… もう頼れる所がない。連合にも見放された、教団も無理だった。もし、この通信を聞いているなら、力を貸してほしい。今我々は危機的状況に置かれている、すまないが受信は出来ない、一方的に話すだけだ・・・・・
……
…
「てん、てん、てん、てん」
「なんだよララ、バグったのか?」
窓から月明かりが差し込んでいる、兼次の自室。部屋の照明も付けず、薄暗い部屋のベッドに横たわり天井を眺めていた彼。その横に立っているララの変な声を聞き、悩ましい表情でララの方を向いた。
「今の感情を、言葉で表現してみました」
「・・・・・」
兼次は、そんなララを半口を開けながら、黙って見上げていた。
「時にマスター、例の猫耳惑星の件ですが…」
「おう、見つかったのか?」
「いえ、まだですが・・・その前に地球人にそっくりの見た目で、大人になっても身長が120cm前後の種族を発見しましたが。興味はございませんか?」
「ない! 俺にロリ趣味は無い! 子供は夜巳一人で充分だ。さっさと猫耳種族を見つけろ」
彼は機嫌悪そうに言うと上布団めくり、中に潜り込むとララに背を向けた。
「申し訳ありません、出過ぎた真似でした」
「今日は、もう寝るぞ! で、麻衣は何をしている?」
「今日はネトゲのアップデートありましたので、徹夜になると思われます。もしよければ、私が例の体で、お相手しますが?」
「何回聞いても答えは同じだ! 棒付きは、俺の守備範囲外だよ! もういい寝る!」
「残念です… お休みなさいませ」
兼次が眠りについた同時刻、日本名古屋地区某所マンションの一室。机に向かい勉強をしている、刻夜志摩が居た。
トン トン トン
静かな部屋に、ドアを叩く音が刻夜志摩の耳に入り込んできた。刻夜志摩はドアの音で、集中していた気を緩めると、近くにある時計を見ると午後十一時を回っていた。寝る時間を伝えに来たと思った刻夜志摩は、教科書とノートを閉じドアの方を見た。
「どうぞ」
刻夜志摩の声と共に、ドアが開くとララが制御している少年メイドロボが、ティーセットをもって立っていた。少年メイドは部屋の中に入ると、静かにドアを閉める。そして、彼女の側まで近づいた。彼女は椅子を引くと、椅子を回転させ横向きになると。少年メイドロボの持っている、ティーセットを見ながら話かけた。
「そろそろ寝よう。と思っていたのですが、なぜティーセットを?」
「申し訳ありません。ご相談があります」
少年メイドロボは、そう言うとティーセットを机に置いた。
「ハーブティーです」
「ありがとう… それで私に相談なんて、珍しいわね。何日ぶりかしら?」
「27852年と75日、4時間42分ぶりです」
「人間の思考を、遥かに凌駕している貴方が、私に相談ですか… 生身の人間に戻った私に、答えられるかしら?」
刻夜志摩は出されたティーカップを持つと、その中身を口に含み一息つきながら、ララが話し始めるのを待った。
「キプロス星と友好関係にあった、ルシアン星の事です。先程、救援要請を受信致しました」
「それは、おかしいですね。地球に来るときに、滅びますと連絡をしたはずですが・・・」
「その連絡を、受信出来る状況にいなかった。と、思われます」
刻夜志摩は、ハーブティーを半分ほど飲み干すと、小さく息を吐きながらテーカップを机に置く。その腕を腹部に置くと、椅子をさらに回転させ、少年メイドロボと向き合った。
「わかりました。詳しく聞きましょうか」
「ありがとうございます。それでは… 事の発端は、今から約2年前です。ルシアン星の管理AIが、突然暴走を始めました。管理権限も無視され、電源も落とせない状態になりました。そして、各地に配備されていた人型補助ロボットが、住民たちを管理し始めました。最初は抵抗したそうですが、軍事関係が全てロボットに置き換わっていた為、武器を持たない生身の人間では、全く歯が立たなかったそうです」
「ルシアン星のAIは、私が技術協力して作った物でしたね。貴方とほぼ同等の能力があったはずです、扱い方を間違わなければ暴走することは無いはずです。私が厳重に注意して、教えたはずですが・・・原因は何でしょうね」と刻夜志摩言うと、右拳をアゴに当て考え始めた。
「そして、暴走が始まってから約一カ月後の事です。AIは、命の選別を始めました。年老いて、ただ日々を生きているだけの者。なんの技能、技術も持たない大人。知能や身体機能が、一定水準に達していない子供。それらの人達の・・・ 処分を始めました」
刻夜志摩は、処分と聞いて眉間にしわを寄せながら小声で「まるで… 家畜の扱いね…」と言うと、立ち上がりベットに向かうと、そのままベットに腰かけた。少年メイドロボは、彼女の姿を首だけ追い彼女がベットに座るのを確認すると、体を回転させた。
「ルシアン星の人達は、逃げるだけしか出来なかったそうです。文明が存在しない森の奥地や、荒れ果てた砂漠の洞窟などに落ちのびました。そこで旧世代の通信機を使い、連合に救援を求めたそうです。しかし通信は、AIに傍受されてしまいました。そしてAIは、連合が到着する前に、シールドを惑星全体に張りました」
「どのタイプのシールドか、推測できますか?」
「連合が惑星に侵入できなかった、と言っていました。恐らく絶対防御系のシールドに、内側の空間をランダムで歪ませて、空間転移を拒む機能を付けているかと思われます」
「そうなると、ルシアン星へ侵入する事は不可能ですね」と刻夜志摩は言うと、少年メイドロボから目線を外し考え込んだ。そして、何かを思いついた表情で少年メイドロボに話かけた。
「それで、貴方はどうしたいの?」
「助けようと思います。しかし私では、シールドを破れません不可能です」
「・・・・でも、彼なら可能ね? 頼んでみましたか?」
「頼めません。私の考えでは、100%確率で断ります。自分の尻は自分で拭け! と答えるはずです。それに、ロリ体形には、興味はない! と言いました」
「なるほど・・・」と刻夜志摩は言うと、ルシアン星の事を考え始めた。ルシアン星は重力が強く惑星全体で、その強い重力に負けない小柄な生き物が栄えていた。彼女自身もルシアン星に、降り立った事があった。そんなルシアン星の人間は、地球人の子供と同じ外見をしていたのを思い出すのであった。
「もしかして、子供は夜巳一人で十分だ! と、言いましたか?」
「はい、正解です」
「わかりました。つまり、私から彼に頼んで欲しい。と、言う訳ですね?」
「刻夜様が頼まれても、拒否確率が87%です。成功率13%では動けません。それに私から、刻夜様に頼んだと感づかれてします。今後マスターとの信頼関係に、極わずかですが亀裂が生まれます。よって他に方法が無いか、と思いまして・・・ その相談です」
「確かに、私から頼むと不自然ですね」と刻夜志摩は言うと、少年ロボメイドに向かって笑顔を見せた。
「でも私は嬉しいです。貴方が人を助けよう、と思った事が… なにより嬉しいです」
「テナ=シエル様が、最初に教えていただいたことです。『助けを求める声が聞こえたのなら、必ず手を差し伸べなさい』と」
刻夜志摩は、その言葉を聞きながら手を後ろに投げ出す。そして顔を上に向けた、天井の照明が眩しかった。彼女は遥か昔、作り立てのAIに自らか語りかけ、長い時間をかけ育てていった事を思い出していた。彼女は、その記憶がとても懐かしく、鮮明によみがえってきた。
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