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3章 まず行動、目的は後からやってくる
17話 まず行動、目的は後からやってくる ②
しおりを挟むルディと麻衣、兼次と姉が横並びで木々の生い茂る森林を、歩きながら街から遠ざかっている。麻衣はルディと手を繋ぎ、兼次は姉の腰に手を回して、恋人の様に歩いていた。
「お… おい。くっつくな、歩きにくい」
ルディの姉は、兼次の腕を振り払い、彼から距離を取って歩き始めた。前を歩くルディと麻衣を見て、隣の兼次に視線を向けた。
「ところで、何処に向かっている?」
「これと言った目的も無く、街から離れる様に歩いてるな」
姉と問いに答えた兼次は、再び姉の方に体を寄せ始めた。
「そう言えば、名前を聞いてなかったな」
名前と聞いて、前を歩いていた麻衣は「そう、それ!」と言い振り返る。そして歩く速度を落として、姉の横に並んだ。麻衣と兼次に、挟まれた姉は、窮屈に体を少しよじらせていた。
「リディ・・・ と言う」
リディは両側を挟まれ、両方からの視線を感じ。恥ずかしそうに答えた。
「俺は、兼次と言う」
「麻衣よー、おねーちゃんと呼んでね」
「おねーちゃん… だと?」とリディは、隣の麻衣を見ると、頭から足まで全身を見渡すと「歳は私と、変わらない気がするが?」
「リディ… 麻衣の見た目は若いが、実際は63歳だぞ」
「本当か?」
兼次の言葉にリディは、驚きの表情で兼次を見上げた。
「そんな分けないでしょー! 何言ってんの! 17歳です!」
「17なら、私と同じだが…」
リディは麻衣の言葉に反応して、また麻衣の方を向いた。改めて麻衣の全身を確認すると、その大きな胸を見つめ始めた。リディは …たしか子供が出来ると、大きくなると聞いたことが… と思った。
「お前… 子供いるのか?」
「いません!」
「そうか… すまん」
「リディ。早速だが、何故人の街に居た? 敵情視察か?」
兼次は年齢の話に飽きたか、話題を切り替え本題に入る。リディは、そんな兼次をしばらく見て考え込んだ。そして彼に、睨むように話しかけた。
「お前達は、信用できるのか?」
「命を助けてやっただろ、それで十分信用できる気がするが?」
「それもそうだが・・・ しかし」
「安心して、私達は味方だから」
と麻衣が、兼次とリディの会話に割り込んできた。リディは麻衣の方を向くと、その先に居るルディを見つめ始めた。ルディは、その視線に気づきリディに向かって笑顔で答えた。リディは再び兼次の方を向くと、彼に尋ねた。
「その前に、どうやってここまで来た? 一瞬で景色が変わったぞ」
「空間転移魔法よ!」と麻衣が
「テレポーテーションだな」と兼次が、麻衣と同時に答えた。
「どっちだ?」
とリディは両脇から聞こえた声に反応して、兼次と麻衣を交互に見比べた。
「麻衣… 話が進まないから、少し黙ってろ」
「もうー、しかたないわねー」
麻衣はそう言うと、リディを引きつれ兼次達から、少し距離を取った。兼次は麻衣が大人しくなったのを確認すると、リディに向かって話し始めた。
「テレポーテーション、我が国の技術だ」
「我が国だと?」
リディはテレポートで連れて来られたことより、我が国と言った単語に異常な食い下がりを見せた。それを見た兼次は、少しだけ本当の事混ぜて言おうと思った。
「俺の国だ。そこで俺は、王として国を治めている」
「その国は何処にある?」
「ああ、東の山脈を超えた先だが… かなり遠い場所だ」
「そうか・・・ あるのか、あの山の先に・・・」
「ルディから聞いたが、住む場所を探しているんだって? 詳しく聞こうか、力になれるかもしれん」
「その前に、お前は本当に王なのか? なんと言うか・・・」
リディは兼次を見ながら、考え込んだ。
「ずばり、風格が無い! でしょ? なんたって、丸投げ王だからね」
離れていた麻衣が、ニヤケ顔で兼次を見て言った。兼次はそんな麻衣を、無言で睨むと「はいはい、黙りまーす」と麻衣は前を向いて黙り込んだ。
リディは黙り込み、遠くを見ながら歩き考え始めた。兼次も彼女が話し始めるのを待ちならが、彼女の横を歩いていた。しばらく4人は、黙りながら森の中を歩いていた。
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