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異世界に召喚されました
善行よりも二人の夜が大切だ
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獣人らしき弱々しい気配があった場所まで来ることはできたが……すでに数匹のワイバーンがそこに群がっていた。
ああ、ここ一帯に広がった濃い血の匂いのせいか。
「凛、ちょっと離れていて。ガキ猫と一緒にあの大きな岩のところで隠れていてほしい。ワイバーン倒すのに魔法使うから」
「うん、わかった。行こ、セシリオくん」
ああー、凛ってばガキ猫と手は繋がなくてもいいんだよ! ロープ、ロープを引っ張ればいいのに。
くっそう、腹が立った。八つ当たりしてやる、ワイバーンめ!
ワイバーンに攻撃をする前に、保護する獣人の位置を探査魔法で岩と岩の隙間まで丹念に調べる。
すぐに、弱々しい獣人の反応があった場所が確定できた。
あの獣人を助ければ凛が喜ぶだろうと思うと、俺のテンションまで上がってくるようだ。
獣人の反応があった方向へゆっくりと進みながら、ワイバーンの数と飛行の動線を確認していく。魔法の無駄撃ちはしたくないし、獣人の命の時間もそう余裕があるわけじゃない。
俺は、右手を上に向け体内の魔力を濃密に練り上げていった。
ワイバーンの数は五匹、飛行型の魔獣は頭か翼を狙うのが鉄則だ。一度の攻撃で全滅させるためには、もう少し奴らの高度が下がってきてほしいが……。
ん? 一匹、岩場にポツンと立つ俺に気付いたのか、こっちに飛んでくるな。
ちょうどいい。弱った獲物よりも魔力の多い新鮮な獲物へと、他のワイバーンもこっちに飛んでくる。
右手に込めた魔力に、攻撃のイメージを膨らませていく。そう、鎌の形だ。細い半円形の鋭い刃……首を狩る風の刃だ。
「ウインドカッター」
右手から放たれた幅二メートル弱の風の刃は、瞬く間に五つに分かれ、俺を襲おうとスピードを上げて降下してきていたワイバーンの首をスパッと切り落していく。
最初の一匹の首を狩った風の刃は、そのまま後ろを飛んでいた別のワイバーンの片羽を切り落とした。
狩られたワイバーンの首は、ポーンと跳ねるように飛び、下に落ちてはゴロゴロと岩にぶつかりながら転がっていく。
頭を失ったワイバーンは降下した勢いそのままに真っ直ぐに地面に激突し、首をめり込ませ倒立する奇怪なオブジェと化した。
ふん、ワイバーン討伐はあっさりと終ってしまった。俺の持つ魔力をこれっぽっちも消費することなく、一歩も動いていないから労力もゼロだ。
凛はちゃんと俺のカッコイイ姿を見ていてくれただろうか? ポッとかわいい頬を染めて大きな瞳をキラキラとさせて俺を見つめているだろうか?
俺の姿に見惚れているだろう凛の姿を盗み見ようと後ろを振り向くと、ガクガクと震え真っ青な顔をした凛が呆然と立ち尽くしていた。
え、なんで? ……俺、カッコ悪かった?
ひえええっ! ここでも魔獣の首チョンパ!
山頂に雪が残る山の岩場で不気味なワイバーンのオブジェが……って、体中切り裂かれた痕が生々しい首無し死体だし。
夜だけど月明りでバッチリ岩場に広がる真っ赤なペンキのような血! 大量の血! うわわわわっ、惨劇です!
わかる、わかるよ。一撃必殺! 敵を仕留めるには急所を狙うのが正解って……、でも悠真、ワイバーンの首はこっちに転がってくるし、血がドバーッて空から降り注ぐし、怖いよぅ。
足がガクガク震える僕を哀れんだのか、セシリオくんが手を強く握ってくれたから耐えられたけど。また、少し泣いちゃったよ。うわーん。
悠真は、魔法でワイバーンをサクッと秒で倒した後、慌てて駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫? 凛、ど、どこか……具合でも悪いのか」
ワイバーンに一斉に襲いかかられても平然としていた悠真が、僕の情けない姿におたおたと慌てている。
「だ、大丈夫だよ……」
なんで、日本人って「大丈夫ですか?」て聞かれると「大丈夫です」って答えるんだろう。僕も思わず「大丈夫です」って答えたけど、嘘です。もう、帰りたい。ガクブルです。
「リン、しっかりしろよ。もう、ワイバーンはいないぞ」
うん、生きているワイバーンはいないよね。でも、首とか胴体とかが有り得ない形であちこちにあるでしょーよ!
「まだ一人残っていたが……。もう、帰ろうか?」
悠真が僕の頬を撫でて優しく問いかける。「うん、もう帰りたい」って気持ちで頷こうとしたら、セシリオくんが焦った声で主張する。
「それ、俺の父ちゃん!」
あ、そうだった。ごめんごめん。
セシリオくんが僕と悠真をキッと睨むけど、ギジトラ子猫ちゃんの威嚇はご褒美です。あーかわいい。
悠真はセシリオくんに眉を顰めて、「あっちにいるぞ」と低っい声で教えてあげた。
「え? セシリオくんのお父さん、見つけたの?」
じゃあ、早く助けなきゃ! 怪我しているんでしょ?
なるべくワイバーンの残骸を避けながら三人で走ると、大きな岩と岩の間に隠れるようにセシリオくんのお父さん、ディオニシオさんがいた……けど。
「ひっ!」
ヒドイ。
ディオニシオさんは、ヒューヒューと苦しそうにか細い息を繰り返すしているが意識はなさそう。右肩はワイバーンに噛まれたのか千切れている。顔や腕にも爪による裂傷があって……左足は膝から下が潰れて骨が見えている状態だった。
全身血を浴びたようにベッタリと汚れてるのに、顔や手にまったく血の気がなく真っ白だ。
「と、父ちゃん。父ちゃん、父ちゃん! わあああっ、やだやだやだよぅ。死なないでぇぇぇーっっ!」
セシリオくんの絶叫でさえ、僕には遠くから聞こえるような感覚……現実感なんてない、「死」という無情な運命が……、あれ、悠真……おいおい、何しているの?
「さあ、飲め。飲まないと死ぬぞ」
先ほどから繰り返されたお馴染みのセリフと、ガッと怪我人の頭を掴んでポーションを口に流し込む、悠真の一連のその動作は……。
お父さんの傷だらけの体に縋りつき、この世の終わりと泣き叫んでいたセシリオくんも、ビックリ硬直していますよ。
「ゆ……悠真。治るの? その、中級ランクのポーションで?」
「死にはしない」
僕はその悠真の自信に溢れた一言に、全身の力が抜けそうなほど安心したんだけど、セシリオくんは鼻を啜りながらさらに確認する。
「足は? 足も治る?」
「いや、ポーションでその足は治らない。この状態は、ほとんど欠損している状態だ。もう無理だろう」
悠真は子どものセシリオくんにも無情な宣告を無表情でしている……ううん、それは悠真の優しさだよね? きっと嘆いているだけじゃなくて状況を正しく把握しろってことだよね?
「そんな……」
「……悠真」
でも、セシリオくんは子猫だから、もうちょっと手を貸してあげようよ? 悠真なら、なんとかできるんでしょ?
僕の期待が籠った目をじっと見つめ返した悠真は、はあーっとため息を吐く。
「凛……、わかったよ」
やっぱり悠真はすごいよ! 僕の思っていることがわかったんだね。幼馴染ってすごい絆があるんだね!
悠真は、チラリとディオニシオさんを見下ろすと彼の潰れた足に手を向けて、小声で「エクストラヒール」と呟いた。
悠真の手から放たれたいくつもの淡い光の玉がディオニシオさんの足へ吸い込まれていき、たちまちに足が再生されていく。
まるで動画の逆再生を見ているように、傷ついた足が治って、しかも傷痕のない綺麗な肌になっていく。
嘘っ、すごい、まるで魔法みたい! ……あ、魔法だった……。
さあ、ここら辺のワイバーンも倒したし、冒険者パーティーの怪我も治したし、帰ろう。
今すぐ帰って凛と二人の夜を満喫しよう!
俺はガキ猫の親父の頭をポカリと殴って意識を戻させた。
「あたっ! え? なんだ。俺は……生きているのか……」
「父ちゃん!」
「セシリオ! お前……なんでここに」
「父ちゃん、父ちゃん、ごめっ……俺……俺……ごめんなさーいっ!」
「……セシリオ?」
こいつら、うるさいな。このまま、放って帰るか?
いや、凛がこのくだらない親子劇場にもらい泣きしている。
目がウルウルしてて、かわいい。あー、かわいい。つまらない労働のあとで、凛のかわいい顔、めちゃくちゃ癒される。
「おい、帰るぞ」
「兄ちゃん……もっと、俺たちにも気を遣えよ。今、いいシーンだぞ? ぐすっ」
「……置いてくぞ」
俺は、ガキ猫につられてグスグスと鼻を鳴らす凛をサッと背中に負ぶって、スタタタと歩きだす。
ガキ猫の親が訳もわからずにポカーンとしていたが、知らん。
ガキ猫が親父の腕を引っ張り立ち上がらせて、「戻りながら説明するから」と言ってあわてて後ろをついてくる。
「悠真?」
「怪我も治した。体力も戻っている。俺たちは早く帰って休もう。凛には刺激が強いことばかりだったから疲れているはずだ」
「……そうだね。悠真、お疲れさま。いろいろ、ありがと」
背中で、えへっとかわいく笑う凛の気配に、スタタタタタタタタタタッ。
俺は歩くスピードをさらにあげた。早く早く、二人きりで夜を過ごそう、凛。
「待ってよ、兄ちゃん。早いって!」
うるさい、ガキ猫。
俺と凛は今夜こそ、長年の思いとか大事なこととか、大事なところとかを繋げるんだ。
ああ、ここ一帯に広がった濃い血の匂いのせいか。
「凛、ちょっと離れていて。ガキ猫と一緒にあの大きな岩のところで隠れていてほしい。ワイバーン倒すのに魔法使うから」
「うん、わかった。行こ、セシリオくん」
ああー、凛ってばガキ猫と手は繋がなくてもいいんだよ! ロープ、ロープを引っ張ればいいのに。
くっそう、腹が立った。八つ当たりしてやる、ワイバーンめ!
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すぐに、弱々しい獣人の反応があった場所が確定できた。
あの獣人を助ければ凛が喜ぶだろうと思うと、俺のテンションまで上がってくるようだ。
獣人の反応があった方向へゆっくりと進みながら、ワイバーンの数と飛行の動線を確認していく。魔法の無駄撃ちはしたくないし、獣人の命の時間もそう余裕があるわけじゃない。
俺は、右手を上に向け体内の魔力を濃密に練り上げていった。
ワイバーンの数は五匹、飛行型の魔獣は頭か翼を狙うのが鉄則だ。一度の攻撃で全滅させるためには、もう少し奴らの高度が下がってきてほしいが……。
ん? 一匹、岩場にポツンと立つ俺に気付いたのか、こっちに飛んでくるな。
ちょうどいい。弱った獲物よりも魔力の多い新鮮な獲物へと、他のワイバーンもこっちに飛んでくる。
右手に込めた魔力に、攻撃のイメージを膨らませていく。そう、鎌の形だ。細い半円形の鋭い刃……首を狩る風の刃だ。
「ウインドカッター」
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最初の一匹の首を狩った風の刃は、そのまま後ろを飛んでいた別のワイバーンの片羽を切り落とした。
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頭を失ったワイバーンは降下した勢いそのままに真っ直ぐに地面に激突し、首をめり込ませ倒立する奇怪なオブジェと化した。
ふん、ワイバーン討伐はあっさりと終ってしまった。俺の持つ魔力をこれっぽっちも消費することなく、一歩も動いていないから労力もゼロだ。
凛はちゃんと俺のカッコイイ姿を見ていてくれただろうか? ポッとかわいい頬を染めて大きな瞳をキラキラとさせて俺を見つめているだろうか?
俺の姿に見惚れているだろう凛の姿を盗み見ようと後ろを振り向くと、ガクガクと震え真っ青な顔をした凛が呆然と立ち尽くしていた。
え、なんで? ……俺、カッコ悪かった?
ひえええっ! ここでも魔獣の首チョンパ!
山頂に雪が残る山の岩場で不気味なワイバーンのオブジェが……って、体中切り裂かれた痕が生々しい首無し死体だし。
夜だけど月明りでバッチリ岩場に広がる真っ赤なペンキのような血! 大量の血! うわわわわっ、惨劇です!
わかる、わかるよ。一撃必殺! 敵を仕留めるには急所を狙うのが正解って……、でも悠真、ワイバーンの首はこっちに転がってくるし、血がドバーッて空から降り注ぐし、怖いよぅ。
足がガクガク震える僕を哀れんだのか、セシリオくんが手を強く握ってくれたから耐えられたけど。また、少し泣いちゃったよ。うわーん。
悠真は、魔法でワイバーンをサクッと秒で倒した後、慌てて駆け寄ってきた。
「だ、大丈夫? 凛、ど、どこか……具合でも悪いのか」
ワイバーンに一斉に襲いかかられても平然としていた悠真が、僕の情けない姿におたおたと慌てている。
「だ、大丈夫だよ……」
なんで、日本人って「大丈夫ですか?」て聞かれると「大丈夫です」って答えるんだろう。僕も思わず「大丈夫です」って答えたけど、嘘です。もう、帰りたい。ガクブルです。
「リン、しっかりしろよ。もう、ワイバーンはいないぞ」
うん、生きているワイバーンはいないよね。でも、首とか胴体とかが有り得ない形であちこちにあるでしょーよ!
「まだ一人残っていたが……。もう、帰ろうか?」
悠真が僕の頬を撫でて優しく問いかける。「うん、もう帰りたい」って気持ちで頷こうとしたら、セシリオくんが焦った声で主張する。
「それ、俺の父ちゃん!」
あ、そうだった。ごめんごめん。
セシリオくんが僕と悠真をキッと睨むけど、ギジトラ子猫ちゃんの威嚇はご褒美です。あーかわいい。
悠真はセシリオくんに眉を顰めて、「あっちにいるぞ」と低っい声で教えてあげた。
「え? セシリオくんのお父さん、見つけたの?」
じゃあ、早く助けなきゃ! 怪我しているんでしょ?
なるべくワイバーンの残骸を避けながら三人で走ると、大きな岩と岩の間に隠れるようにセシリオくんのお父さん、ディオニシオさんがいた……けど。
「ひっ!」
ヒドイ。
ディオニシオさんは、ヒューヒューと苦しそうにか細い息を繰り返すしているが意識はなさそう。右肩はワイバーンに噛まれたのか千切れている。顔や腕にも爪による裂傷があって……左足は膝から下が潰れて骨が見えている状態だった。
全身血を浴びたようにベッタリと汚れてるのに、顔や手にまったく血の気がなく真っ白だ。
「と、父ちゃん。父ちゃん、父ちゃん! わあああっ、やだやだやだよぅ。死なないでぇぇぇーっっ!」
セシリオくんの絶叫でさえ、僕には遠くから聞こえるような感覚……現実感なんてない、「死」という無情な運命が……、あれ、悠真……おいおい、何しているの?
「さあ、飲め。飲まないと死ぬぞ」
先ほどから繰り返されたお馴染みのセリフと、ガッと怪我人の頭を掴んでポーションを口に流し込む、悠真の一連のその動作は……。
お父さんの傷だらけの体に縋りつき、この世の終わりと泣き叫んでいたセシリオくんも、ビックリ硬直していますよ。
「ゆ……悠真。治るの? その、中級ランクのポーションで?」
「死にはしない」
僕はその悠真の自信に溢れた一言に、全身の力が抜けそうなほど安心したんだけど、セシリオくんは鼻を啜りながらさらに確認する。
「足は? 足も治る?」
「いや、ポーションでその足は治らない。この状態は、ほとんど欠損している状態だ。もう無理だろう」
悠真は子どものセシリオくんにも無情な宣告を無表情でしている……ううん、それは悠真の優しさだよね? きっと嘆いているだけじゃなくて状況を正しく把握しろってことだよね?
「そんな……」
「……悠真」
でも、セシリオくんは子猫だから、もうちょっと手を貸してあげようよ? 悠真なら、なんとかできるんでしょ?
僕の期待が籠った目をじっと見つめ返した悠真は、はあーっとため息を吐く。
「凛……、わかったよ」
やっぱり悠真はすごいよ! 僕の思っていることがわかったんだね。幼馴染ってすごい絆があるんだね!
悠真は、チラリとディオニシオさんを見下ろすと彼の潰れた足に手を向けて、小声で「エクストラヒール」と呟いた。
悠真の手から放たれたいくつもの淡い光の玉がディオニシオさんの足へ吸い込まれていき、たちまちに足が再生されていく。
まるで動画の逆再生を見ているように、傷ついた足が治って、しかも傷痕のない綺麗な肌になっていく。
嘘っ、すごい、まるで魔法みたい! ……あ、魔法だった……。
さあ、ここら辺のワイバーンも倒したし、冒険者パーティーの怪我も治したし、帰ろう。
今すぐ帰って凛と二人の夜を満喫しよう!
俺はガキ猫の親父の頭をポカリと殴って意識を戻させた。
「あたっ! え? なんだ。俺は……生きているのか……」
「父ちゃん!」
「セシリオ! お前……なんでここに」
「父ちゃん、父ちゃん、ごめっ……俺……俺……ごめんなさーいっ!」
「……セシリオ?」
こいつら、うるさいな。このまま、放って帰るか?
いや、凛がこのくだらない親子劇場にもらい泣きしている。
目がウルウルしてて、かわいい。あー、かわいい。つまらない労働のあとで、凛のかわいい顔、めちゃくちゃ癒される。
「おい、帰るぞ」
「兄ちゃん……もっと、俺たちにも気を遣えよ。今、いいシーンだぞ? ぐすっ」
「……置いてくぞ」
俺は、ガキ猫につられてグスグスと鼻を鳴らす凛をサッと背中に負ぶって、スタタタと歩きだす。
ガキ猫の親が訳もわからずにポカーンとしていたが、知らん。
ガキ猫が親父の腕を引っ張り立ち上がらせて、「戻りながら説明するから」と言ってあわてて後ろをついてくる。
「悠真?」
「怪我も治した。体力も戻っている。俺たちは早く帰って休もう。凛には刺激が強いことばかりだったから疲れているはずだ」
「……そうだね。悠真、お疲れさま。いろいろ、ありがと」
背中で、えへっとかわいく笑う凛の気配に、スタタタタタタタタタタッ。
俺は歩くスピードをさらにあげた。早く早く、二人きりで夜を過ごそう、凛。
「待ってよ、兄ちゃん。早いって!」
うるさい、ガキ猫。
俺と凛は今夜こそ、長年の思いとか大事なこととか、大事なところとかを繋げるんだ。
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