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1 動き出す光と伏す竜
1-4話 フェリシア・エアハート
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光月暦 一〇〇〇年 八月
ルーセントが女神と出会うおよそ二カ月前、場所はアンゲルヴェルク王国、王都フエストディールにあるメストヴォード伯爵邸。
この国でただ一人だけいる伯爵。その家で生まれ育った一人の少女の手首に、守護者の文様が現れた。水面の上に浮かんでいる聖杯と、そのうしろに鳥の羽が一枚だけが描かれているものだった。
文様の持ち主は、メストヴォード伯爵領 領主アマデウス・エアハートの娘で、名前は四月で十歳になったフェリシアだった。まだあどけなさが残る顔には、さらりと目元まで前髪がかかっている。その栗毛の髪は肩まで伸びていた。
フェリシアは屋敷の廊下を小走りに、赤みが強い茶色の瞳、その紅樺色の目をキラキラと輝かせながら早く両親に見せたい、とニコニコしながら食堂に入る。
「お父様! お母様! 見てください! 私にも文様が現れましたよ」
「フェリシア、屋敷の中を走ってはいけませんよ」
優しく注意をするのは、フェリシアと同じ髪色の母親、アシュリー・エアハートだった。
「ごめんなさい、お母様。でも、これを見てください」
母親からの注意を受けて謝るフェリシアは、悪びれる様子もなく笑みを絶やさなかった。
フェリシアがせがむようにクリクリとした目を向ける。そして左の袖をめくると、ぐいっとアシュリーに手首を見せた。
黒く描かれた解放前の文様を見たアシュリーは、驚きに一度だけ大きく目を見開く。なぜならアシュリーの実家は、最初の英雄の一人『アルバ・エングダール』の末裔の家系だったからだ。その家の紋章はアルバの紋章、聖杯をモチーフにしていた。
そのために、フェリシアの文様を見た瞬間、これは最上級守護者のものだ、と気づいたのであった。しかしアシュリーは、自分の娘がどんな守護者であるのかを楽しみにしていたために、その表情を笑顔に戻すと成り行きを見守ることにした。
「まあ、おめでとうフェリシア。よかったわね」
母親が穏やかな笑みを浮かべてフェリシアの頭をなでる。
それを見ていた父親のアマデウスも、娘の成長に顔をほころばせてほほ笑んだ。
「よかったな、フェリシア。私にも見せてくれ」
フェリシアが「はい」と元気に返事を返す。
今度はアマデウスの方へと優雅に歩く。そして、袖をまくり上げると左手を見せた。
「これは間違いなく守護者の文様だな。今日は幸いにも大した予定がない。ご飯を食べた後にでも鑑定に行くか」
「はい! ありがとうございます、お父様。楽しみです」
フェリシアは、いったいどんな守護者が現れるのか、と今から待ち遠しくて仕方がなかった。
朝食から数時間が経過したとき、フェリシアのもとへ使用人のベーテスがやってきた。ベーテスがドアを数回ノックする。
「お嬢様、旦那様がお呼びです」
ベーテスの言葉にいよいよだ、とフェリシアは満面の笑みを浮かべて部屋を出る。その足取りは軽く、早く、早くとアマデウスのもとへと向かっていった。
しかし、フェリシアが歩き出した途端に、ベーテスがフェリシアを引き止めた。
「お嬢様、旦那様の部屋は逆ですよ」
「……そうだったわね!」
自分の家で迷いかける恥ずかしさに、顔を赤くした少女は、あっという間に立ち去って行った。
フェリシアがドアをノックする。
「お父様、フェリシアです」
「あぁ、ちょっと待っていてくれ。すぐに出る」
アマデウスは、娘を数分だけ待たせた後で部屋から出てきた。
「待たせたな。では行こうか」
「はい! 早くいきましょう」
フェリシアは待ちきれないのか、父親の手を引っ張ると「早く、早く」と急かした。
屋敷の玄関の前には、すでに豪華な装飾が施された馬車が止められている。先に馬車にいたベーテスが扉を開けて待っていた。
屋敷の外は玄関から出口までおよそ五百メートルの距離がある。石畳の続く道のわきには樹木が一定間隔で並んでいた。
そこから続く広大な庭には小さな噴水と水路、手入れが行き届いた植木が庭園を形づくっていた。
馬車が王城に到着すると、すでに出迎えの兵士が待機していた。兵士は二人が馬車を降りたのを見計らって声をかける。
「お疲れさまです。本日はフェリシア様の鑑定と伺っておりますが、間違いはございませんでしょうか?」
伯爵の前とあってか、兵士は少し緊張していた。
「ああ、間違いない。娘の鑑定に来た」
「かしこまりました。それではこのまま鑑定部屋までお供させていただきます」
「任せる」
フェリシアと伯爵は、鑑定部屋を目指して前を歩く兵士についていった。
鑑定部屋に入ると兵士が二人に振り向く。
「伯爵はお待ちになられますか? それとも室内までご一緒いたしますか?」
アマデウスは少し考えこむと「いや、控室で待とう」と答えた。
「かしこまりました。それでは担当の者に案内させていただきます」
兵士が一礼すると、そばに控えていた使用人に声をかける。そしてアマデウスが案内人とともに控室へと消えていった。
伯爵を見送った兵士がフェリシアを見ると、前を歩いて一緒に鑑定部屋へと入っていった。
兵士は入り口で立ち止まると待機、フェリシアは一人で鑑定士のいる場所まで歩いて行った。
フェリシアを視界にとらえた鑑定士が深く頭を下げる。
「フェリシア様、本日はおめでとうございます。早速ですが、解放の前に守護者の鑑定を行いますので、こちらの水晶に左手を乗せていただけますか?」
「ええ、わかったわ。これでいいのね」フェリシアは、ぺちっと音を立てて水晶に手を置いた。
鑑定士がひと通りの確認作業を終えると、水晶に魔力を流し込む。そこに走る赤い稲妻とともにフェリシアの手の上に浮かび上がる文字列、その情報を見た瞬間、最上級と表示された文字を見て、おどろきに鑑定士は目を丸くした。
鑑定士は何度も浮かび上がる文字を確認するとやっと口を開いた。
「フェリシア様、おめでとうございます。神聖特化の最上級守護者と判明いたしました」
「……え? 本当に? 本当に最上級守護者なのね」
フェリシアが驚いた顔で固まると、すぐに笑みをこぼして喜ぶ。そしてうれしさのあまりに、鑑定士の手を握ったままぴょんぴょんと飛びはねた。
鑑定士は結果の紙を二枚の紙に転写すると、一枚をフェリシアに、もう一枚を入り口にいる兵士へと渡しに行った。
「こちらの紙を陛下にお見せください。解放の許可をお願いいたします」
鑑定結果に兵士は興奮したように「わかりました。すぐに届けてまいります」と急いで部屋を出て行った。
鑑定士がフェリシアのもとへと戻る。
「フェリシア様、陛下の許可が下りるまでには時間がかかるかと思われます。なので、先にアマデウス様にお伝えしてきてはいかがですか?」
「そうね! お父様のところへ行ってくるわ」フェリシアが鑑定士の提案にうなずく。
フェリシアはすぐに身体の向きを変えると、小走りに父親のもとへと戻っていった。
アマデウスはすぐに戻ってきた娘に何かあったのか、と眉をひそめる。そうとは知らないフェリシアは、嬉々とした表情で手にしていた紙を父親に見せた。
「お父様、見てください! 最上級守護者ですよ!」喜びを爆発させるフェリシア。
アマデウスは突然言われた娘の言葉が信じられなかった。手に取る紙を何度も見返す。
「おお、本当に最上級の守護者ではないか! でかしたぞ、フェリシア。わが国では初代国王のとき以来、お前が初めてだ」
さすがの伯爵も興奮を抑えることができずに娘と一緒に喜びあった。
それと同時に、娘が政治の道具にされないように、と警戒を強める必要に気を緩めることができなくなってしまった。
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この国でただ一人だけいる伯爵。その家で生まれ育った一人の少女の手首に、守護者の文様が現れた。水面の上に浮かんでいる聖杯と、そのうしろに鳥の羽が一枚だけが描かれているものだった。
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フェリシアは屋敷の廊下を小走りに、赤みが強い茶色の瞳、その紅樺色の目をキラキラと輝かせながら早く両親に見せたい、とニコニコしながら食堂に入る。
「お父様! お母様! 見てください! 私にも文様が現れましたよ」
「フェリシア、屋敷の中を走ってはいけませんよ」
優しく注意をするのは、フェリシアと同じ髪色の母親、アシュリー・エアハートだった。
「ごめんなさい、お母様。でも、これを見てください」
母親からの注意を受けて謝るフェリシアは、悪びれる様子もなく笑みを絶やさなかった。
フェリシアがせがむようにクリクリとした目を向ける。そして左の袖をめくると、ぐいっとアシュリーに手首を見せた。
黒く描かれた解放前の文様を見たアシュリーは、驚きに一度だけ大きく目を見開く。なぜならアシュリーの実家は、最初の英雄の一人『アルバ・エングダール』の末裔の家系だったからだ。その家の紋章はアルバの紋章、聖杯をモチーフにしていた。
そのために、フェリシアの文様を見た瞬間、これは最上級守護者のものだ、と気づいたのであった。しかしアシュリーは、自分の娘がどんな守護者であるのかを楽しみにしていたために、その表情を笑顔に戻すと成り行きを見守ることにした。
「まあ、おめでとうフェリシア。よかったわね」
母親が穏やかな笑みを浮かべてフェリシアの頭をなでる。
それを見ていた父親のアマデウスも、娘の成長に顔をほころばせてほほ笑んだ。
「よかったな、フェリシア。私にも見せてくれ」
フェリシアが「はい」と元気に返事を返す。
今度はアマデウスの方へと優雅に歩く。そして、袖をまくり上げると左手を見せた。
「これは間違いなく守護者の文様だな。今日は幸いにも大した予定がない。ご飯を食べた後にでも鑑定に行くか」
「はい! ありがとうございます、お父様。楽しみです」
フェリシアは、いったいどんな守護者が現れるのか、と今から待ち遠しくて仕方がなかった。
朝食から数時間が経過したとき、フェリシアのもとへ使用人のベーテスがやってきた。ベーテスがドアを数回ノックする。
「お嬢様、旦那様がお呼びです」
ベーテスの言葉にいよいよだ、とフェリシアは満面の笑みを浮かべて部屋を出る。その足取りは軽く、早く、早くとアマデウスのもとへと向かっていった。
しかし、フェリシアが歩き出した途端に、ベーテスがフェリシアを引き止めた。
「お嬢様、旦那様の部屋は逆ですよ」
「……そうだったわね!」
自分の家で迷いかける恥ずかしさに、顔を赤くした少女は、あっという間に立ち去って行った。
フェリシアがドアをノックする。
「お父様、フェリシアです」
「あぁ、ちょっと待っていてくれ。すぐに出る」
アマデウスは、娘を数分だけ待たせた後で部屋から出てきた。
「待たせたな。では行こうか」
「はい! 早くいきましょう」
フェリシアは待ちきれないのか、父親の手を引っ張ると「早く、早く」と急かした。
屋敷の玄関の前には、すでに豪華な装飾が施された馬車が止められている。先に馬車にいたベーテスが扉を開けて待っていた。
屋敷の外は玄関から出口までおよそ五百メートルの距離がある。石畳の続く道のわきには樹木が一定間隔で並んでいた。
そこから続く広大な庭には小さな噴水と水路、手入れが行き届いた植木が庭園を形づくっていた。
馬車が王城に到着すると、すでに出迎えの兵士が待機していた。兵士は二人が馬車を降りたのを見計らって声をかける。
「お疲れさまです。本日はフェリシア様の鑑定と伺っておりますが、間違いはございませんでしょうか?」
伯爵の前とあってか、兵士は少し緊張していた。
「ああ、間違いない。娘の鑑定に来た」
「かしこまりました。それではこのまま鑑定部屋までお供させていただきます」
「任せる」
フェリシアと伯爵は、鑑定部屋を目指して前を歩く兵士についていった。
鑑定部屋に入ると兵士が二人に振り向く。
「伯爵はお待ちになられますか? それとも室内までご一緒いたしますか?」
アマデウスは少し考えこむと「いや、控室で待とう」と答えた。
「かしこまりました。それでは担当の者に案内させていただきます」
兵士が一礼すると、そばに控えていた使用人に声をかける。そしてアマデウスが案内人とともに控室へと消えていった。
伯爵を見送った兵士がフェリシアを見ると、前を歩いて一緒に鑑定部屋へと入っていった。
兵士は入り口で立ち止まると待機、フェリシアは一人で鑑定士のいる場所まで歩いて行った。
フェリシアを視界にとらえた鑑定士が深く頭を下げる。
「フェリシア様、本日はおめでとうございます。早速ですが、解放の前に守護者の鑑定を行いますので、こちらの水晶に左手を乗せていただけますか?」
「ええ、わかったわ。これでいいのね」フェリシアは、ぺちっと音を立てて水晶に手を置いた。
鑑定士がひと通りの確認作業を終えると、水晶に魔力を流し込む。そこに走る赤い稲妻とともにフェリシアの手の上に浮かび上がる文字列、その情報を見た瞬間、最上級と表示された文字を見て、おどろきに鑑定士は目を丸くした。
鑑定士は何度も浮かび上がる文字を確認するとやっと口を開いた。
「フェリシア様、おめでとうございます。神聖特化の最上級守護者と判明いたしました」
「……え? 本当に? 本当に最上級守護者なのね」
フェリシアが驚いた顔で固まると、すぐに笑みをこぼして喜ぶ。そしてうれしさのあまりに、鑑定士の手を握ったままぴょんぴょんと飛びはねた。
鑑定士は結果の紙を二枚の紙に転写すると、一枚をフェリシアに、もう一枚を入り口にいる兵士へと渡しに行った。
「こちらの紙を陛下にお見せください。解放の許可をお願いいたします」
鑑定結果に兵士は興奮したように「わかりました。すぐに届けてまいります」と急いで部屋を出て行った。
鑑定士がフェリシアのもとへと戻る。
「フェリシア様、陛下の許可が下りるまでには時間がかかるかと思われます。なので、先にアマデウス様にお伝えしてきてはいかがですか?」
「そうね! お父様のところへ行ってくるわ」フェリシアが鑑定士の提案にうなずく。
フェリシアはすぐに身体の向きを変えると、小走りに父親のもとへと戻っていった。
アマデウスはすぐに戻ってきた娘に何かあったのか、と眉をひそめる。そうとは知らないフェリシアは、嬉々とした表情で手にしていた紙を父親に見せた。
「お父様、見てください! 最上級守護者ですよ!」喜びを爆発させるフェリシア。
アマデウスは突然言われた娘の言葉が信じられなかった。手に取る紙を何度も見返す。
「おお、本当に最上級の守護者ではないか! でかしたぞ、フェリシア。わが国では初代国王のとき以来、お前が初めてだ」
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