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1 動き出す光と伏す竜
1-7話 過去1
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ルーセントが控室まで戻ると、バーチェルに満面の笑みを向けていた。
まだ時間にして十分もたってはいない。
予想していたよりも早い戻りに「ずいぶんと早かったな。何かあったのか?」とバーチェルが首をかしげた。その質問に、ルーセントはこの世でこんなにうれしそうな顔をした人物がいるのだろうか、と思うほどの笑顔を返していた。
ルーセントは笑顔を崩すことなく、スッと鑑定結果の紙を手渡す。
「父上、見てください。すごいですよ!」ルーセントは父親の喜ぶ姿を想像して満面な笑みを崩さなかった。
その状況を見るバーチェルが「まさか上級か!」と驚いて紙に視線を落とす。それと同時にルーセントが結果を伝えた。
「それがですね、最上級だったんですよ! ビックリです。噴水の女神様のおかげですよ!」
息子の発言に「まさか!」と、バーチェルは時間が止まったかのように手にする紙をにらみ付けた。
ヴァンシエルと表示される守護者の名前と火の魔法、それと聞いたことも見たこともない雷の魔法が表記されていた。
さらに驚くべきは召喚魔法の項目であった。
効果範囲内にいる自分の守護者レベルより下の者を即死にできる。という桁外れの能力にバーチェルは絶句していた。
レフィアータ帝国と停戦をした今ならば、例え戦闘の上級守護者であろうと平穏に暮らせるに違いないと思っていたのだが、バーチェルの願いはむなしくも崩れ去ってしまった。
紙に書かれた最上級の文字にバーチェルは戸惑っていた。もはや国の趨勢をも左右する国家的人材といっても過言ではない能力に。そして、平穏な生活などはるか遠くに消えてしまったことに。
バーチェルの心を、とある一抹の不安が埋めていた。ルーセントがおよそ七年前に負った心の傷、今でも無意識のうちにおびえて怖がる姿を思い出す。
ルーセントは紙を手にしたまま動かないバーチェルを見て、不安に顔をのぞき込んだ。
「父上? どうしたのですか?」
「あ、あぁ……、すまんな、まさか本当に最上級持ちになるとは思わなくてな、驚いておったよ。良かったな。おめでとうルーセント」
バーチェルはぎこちなくも、にこやかにほほ笑んで息子の頭を優しくなでた。
そこへ手続きの準備を終えた鑑定士がやって来た。
二人を別室へと案内する。
三メートル四方の四角い部屋には、中央に長方形のテーブルが置いてあった。そのうしろには大きな窓があって部屋を明るく照らす。さらにその横には、本棚やチェストと植物が無機質な室内をかろうじて彩っていた。
鑑定士が順調に書類を手渡し説明していく。
そして、すべての書類にバーチェルがサインを書き終えると、ひとつにまとめて机の上で書類を整えた。
「……以上で手続きは終わりです。今日はお疲れさまでした。それにしても、最上級守護者なんて本当にめでたいですな。我が国では初代国王のスティグ・レイオールド以来ではないでしょうか」
「初代国王というと、おとぎ話に出てくる英雄の一人でしたな」
「ええ、そうです。我々、鑑定士の能力を持つものは、守護者解放を行ったときにすべての守護者の情報が得られるのですが、そこには最上級守護者を持った者の名前も入っております。まあ、対象者の死後、百年以上たたなければ分かりませんがね」
鑑定士が言うには、その名前のなかにこの国で最上級守護者を持った者は初代国王以外には居なかったという。
鑑定士は書類を封筒に入れると立ち上がった。
ルーセントとバーチェルも遅れて立ち上がる。
「長いこと引き留めてしまいましたな。これよりすぐに書類を領主様に届けます。明日かあさってには連絡があるかと思いますので、今後はそちらに従ってください。今日はありがとうございました」鑑定士は封筒を手に深々とお辞儀をする。
「いやいや、こちらも貴重な話を聞かせてもらいました」バーチェルとルーセントも返すように頭を下げた。
鑑定士とバーチェルが握手を交わすと、全員がエントランスへと戻る。
館を出る二人を鑑定士が見送った。
振り返るルーセントは、世話になった鑑定士に手を振って答えた。
バーチェルは家に帰るには少し早い時間帯に、せっかく商業区まで来たのだから、と市場に寄って行こうとルーセントに提案する。にこやかに「はい!」と答える息子に「今日はごちそうだな」と返して市場に消えていった。
ルーセントの鑑定結果は、その日のうちに領主のもとに届けられた。例年よりも多い上級守護者の通知に「また我が領土から上級守護者が出たか」と笑顔を浮かべて封筒を開封する。しかし、そこに書かれていた“最上級”の文字を見て書き間違えか、と一瞬だけ戸惑うウエストアルデ子爵だったが、すぐに使いの鷹を飛ばして真意を確認する。間違いはない、と確認が取れると、次の日の予定をすべてキャンセルしてしまうほどに子爵は喜んだ。そして早急にルーセントと会うことになった。
鑑定を済ませた翌日、道場に突如として現れた豪華な馬車が二人を出迎える。黒塗りで金の字で描かれる領主の紋章が太陽の光に反射していた。
二人は家に尋ねてきた使用人に戸惑いつつも、言われるままに馬車に乗り込んだ。その二人が城についたとき、さらに驚くべきことが待っていた。
ルーセント、バーチェルの二人が馬車を降りると、目の前にはウエストアルデ子爵本人が出迎えに出てきていた。
平民を出迎える領主、このあり得ない状況に恐縮する親子の緊張は一気に跳ね上がった。
子爵のうしろを歩く二人は、まるで拾われた猫のようにおどおどとした様子で執務室へと連れていかれる。執務室の中、あらためてルーセント親子が領主にあいさつを交わす。書類を手にする子爵がソファーに二人を促すと早々に確認を始める。すべての書類に不備がないことを確認すると「そろそろランチの時間だ。今後の予定もかねて一緒に食べようではないか」と昼食を一緒にすることになってしまった。
案内された部屋には細長いテーブルに何脚もの豪華な椅子が並べられていた。
メイドたちが二人をイスに案内する。
子爵のそばに控える執事が全員の着席を確認すると、手に持つベルを数回鳴らした。ベルの合図にカートを引いて現れるメイドたち。次から次へとテーブルに料理を並べ始めた。
白い布が敷かれた大きく細長いテーブルに、あっという間に豪華な食器に乗せられた料理で埋まっていった。
あっけにとられるルーセントは、バーチェルに顔を近づける。
「父上、すごいですね。家にも一人、あの人欲しいです」
「家には二人しかおらぬのだぞ。やることなくて逆に申し訳ないわい」バーチェルはメイドを見ながら、そっと耳打ちをした。
「ん~、それもそうですね。残念です。じゃあ、僕がいつか父上を連れて城に住むので期待していてください」
期待に目を輝かせるルーセントに、バーチェルはほほ笑みながら「ワシが生きているうちに頼んだぞ」と答えた。
メイドたちが配膳を終えると、次いでグラスに飲み物を注いでいった。
すべての準備が整うと子爵が立ち上がる。その手にはグラスに注がれたシャンパン、ルーセントにはオレンジジュースが揺れていた。二人もグラスを手に慌てて立ち上がる。
「今日はよく来てくれた。まさか初代国王が旗揚げしたこの地で、同じ最上級守護者を持つ者が誕生するとは思ってもみなかった。ルーセントは私の、いや、もはやこの国の最高の誇りだ。バーチェルも今日までよく育ててくれたな。私から最大限の感謝をしよう」
「もったいないお言葉、光栄にございます」
「うん。では、今日は思う存分に食べてくれ」
子爵のあいさつが終わると、それぞれが手にするグラスに口をつける。
本来であればコース料理として順序良く運ばれてくるのであろうが、子爵が慣れていないだろうと「気にせずに好きなものを食べるといい」と二人を気遣った。
ルーセントがあらためてテーブルを見渡す。
最初に興味を引いたのは正面にあるスープだった。金色の液体に溶かれた卵がふわふわ躍る。そこに浮かぶ透き通るグラスほうれん草の緑の葉が、まるで宝石のように輝いていた。
次に目を引いたのは、琥珀色に光るフーグストサーモンだった。切り身にパルメザンチーズとハーブがまぶされていて、適度に焦げ目が付くほどに焼かれたパルメザンハーブの香草焼き。食欲をそそる爽やかで香ばしい香りを漂わせていた。
ルーセントは見たことがない料理に「おぉ」とつぶやいて大量にあふれでる唾液で喉を鳴らす。そんなルーセントの胃袋を一番刺激したのは、この国でしか生存していないアドグラッド豚のローストであった。
表面をカリカリに焼かれて肉の焼けた香ばしい匂いが食欲を刺激する。少し塩気の強い味が、噛めば噛むほどに肉汁とともにあふれ出す。その身は数回噛むだけで消えてしまうのではないか、と錯覚させるほどの柔らかさだった。
ほかにも、めったに食べられない高級食材で作られた料理が並ぶ。二人は取りつかれたかのように一心不乱に食べ続けていた。
食事も終わり、領主は幸せそうな二人の顔に満足していた。
「まずは料理を堪能してもらえたようで何よりだ。それで今後の予定なのだが、すでに陛下に宛てた書状を早馬にて送っている。トラブルがなければ四日ほどで届くだろう。大体一週間から二週間もあれば返事が届くはずだ」
「なるほど。出発するのは向こうの返事が届き次第、ということですな」
「その通りだ。だがバーチェルよ、忘れてはおるまいな。王都の西エリアは平民には入れぬ。おそらくは入城許可証も一緒に送られてくるはすだ。しっかり持っていくのだぞ」
「おぉ、そうでしたな。あまりにも無縁な場所であったために、すっかり忘れておりましたわい」バーチェルは領主の言葉に感謝して頭を下げた。
「まぁ、無理もないな。それで、だ。向こうで再び鑑定を受けることになるであろうが、そのあとのことは向こうの者に従えばよい」
この後も細かな注意を受けた後、昼食が終わりを迎えた。
二人が立ち上がろうとしたとき、子爵が片手をあげてそれを制した。そして隣に立つ執事に耳打ちをすると再び親子に顔を向けた。
「引き止めて悪いな。せっかく王都に行くのだ、私から一週間分の資金を提供するゆえ、存分に楽しんでくるといい」
「おぉ、何から何まで配慮に痛み入ります」バーチェルがイスから立ち上がって頭を下げる。それを見たルーセントも、遅れながら立ち上がるとまねして頭を下げた。
少しして戻ってきた執事から資金を受け取ると昼食はお開きとなった。
馬車に揺られて帰路に就く途中、バーチェルは楽しそうに窓を眺めている息子のことで悩んでいた。
このままいけば、二年後には王都の訓練学校に行くことになる。しかし、今のままのルーセントでは過去の重圧に負けてつぶれてしまうだろう、と。いまだに癒えることのない、本人も記憶から消してしまうほどの心の傷に苦しみながら。
バーチェルが短くため息をつくと、ルーセントから視線を外して外を眺める。空は少しずつオレンジ色に染まり始めていた。
バーチェルのいつかの記憶。あの日、もう少し早く助けに行ってやれていたら、と今でも後悔は消えていない。まるで自分のせいだといわんばかりのバーチェルの心もまた縛り付けていた。
いつかは乗り越えなければならない壁だと、心を鬼にして覚悟を決めるのだった。
一夜が明けて、二日間は王都に行く準備へと充てていた。
一週間もの滞在となると着替えが大部分となり、自然と荷物が増えていく。
そして三日目の朝、バーチェルは小箱を手に持って道場にルーセントを呼んだ。
「もう準備は終わったか?」
「はい、終わりました。あとは王都に行くだけです」
明るく答えるルーセントに、これからのことを思うと心を痛めるバーチェルであったが「そうか」と低い声で短く答えた。続けて「そこに座りなさい」と優しく声をかける。
バーチェルは真実を告げるために、真剣な表情でルーセントに向き合あう。
「ルーセント、ひとつだけ聞くが、お前は私の本当の子供ではない、と言うことは分かっておるな」
「はい、養子なのは知っています。むかし父上から聞きましたから。突然どうしたのですか?」
ルーセントは不思議そうな顔を向けて、じっと父親の顔を見つめる。
バーチェルは耐えきれずに一度だけ視線を外したが、再び息子に視線を合わせると本題へと入っていった。
「では、養子になる前のことは覚えているか?」
「養子になる前……っ」
ルーセントが昔のことを思い出そうとした瞬間、ドクンっと心臓が跳ね上がり、全身の血の気が引いていった。そして、脱力感とともに身体の芯を握りしめられているかのような感覚が襲いかかった。
いつの間にかルーセントの手は震えていた。
「分かりません。思い出そうとすると怖くなって震えてくるんです」
「やっぱり覚えてはおらんか。心には残っているようだがな……。たしか、お前が三歳くらいのときだ」
バーチェルは、ルーセントに会った時のことを話し始めた。
「あれは王国から北の国境近くの村“スラープ村”で起きたことだ。当時のワシはな、まだ三人の仲間と一緒に冒険者をしておった。その時は、たしか村から五キロほど離れた場所で野営をしていてな。朝ごはんを食べていたはずだ」
バーチェル曰く、その日は依頼をこなし王都に戻る途中であった。
朝食を食べながら戻った後のことを仲間と話し込んでいると、突然一人の血だらけの男が飛び込んできた。話を聞けば、朝食時に盗賊が大人数を引き連れて村を襲いに来たと。
「その村には依頼で世話になっておった。だからワシらはすぐに準備を整えてスラープ村に向かったのだ」
ルーセントに説明しながら、バーチェルは昔を思い出していた。
――馬で駆け出してしばらくすると、煙が立ち上っているのが目に入った。
「おい、急ぐぞ! もうすぐだ。入り口が見える」バーチェルたちが村の手前で馬の速度を上げる。
村の入り口には先をとがらせた木柵に、つる草が巻き付いたアーチ状の木の門があった。
バーチェルたち四人は、入り口から少し離れた場所まで近づく。そこには村人と一緒になって戦う冒険者の姿があった。
対峙しているのは魔物の毛皮を加工した服と鎧を着用する盗賊らしき男の五人だった。
敵を視認したバーチェルの仲間の一人、四十代でイノシシのような筋骨たくましい黒人のリーダーが指示を出す。
名をガウルという。
ガウルは敵から視線を外すことなく、バーチェルとその仲間バティスに大声を出す。
「入り口とその周りは俺とパースに任せろ! バーチェル、バティスはそのまま中に突っ込め!」
ガウルにパースと呼ばれた金髪で細身な男は、無言でガウルの横に馬を並べる。そして右手に持つ槍に力を込めた。
二人が速度を上げてバーチェルともう一人を置き去りにしていく。ガウルは、入り口で戦っている男たちに「どけ! 邪魔だ!」と叫びながら盗賊めがけて突進していった。
うしろ姿を見送るバーチェルは「相変わらず勇猛だな。絶対に前衛を譲らぬわ」と余裕を浮かべて隣の男に顔を向けた。
バーチェルの視線の先、バティスがあきれた様子で首を振る。
「のんびりしている場合か! 突破するぞ!」と緊張感のない相棒の前に出た。
バーチェルはいつものことだろう、と軽く肩をすくめると、右手に持つ薙刀を握りなおして加速した。
前衛の二人が入り口の盗賊を倒すと、そのまま最初の分かれ道まで盗賊をなぎ倒していく。その二人が取りこぼした盗賊をバーチェルたちが一刀のもとに斬り捨てていった。
四人が分かれ道で合流しようとしたとき、ガウルが叫ぶ。
「俺とパースはここ一帯を見る! お前たちはそのまま奥まで進め!」
すれ違う四人、リーダーの指示にバーチェルとバティスがうなずいた。
ガウルとパースに見送られるように二人を追い抜いて村の中央へと急いだ。
敵を倒しつつ中央広場が視界に入る。
「まずはあいつらから片付けるぞ!」
バティスが村の中央で強奪品を集めている盗賊を見てバーチェルに指示を出す。広場の狭さに馬を降りると、槍を馬に預けて剣を取った。
バーチェルも馬から降りると刀へと武器を変えた。
指をさして人数を数えるバーチェル。
「余裕で十人以上はいるな。どっちが多く倒せるか勝負と行くか。負けた方が酒をおごれよ」
「こんな時くらいまじめにやらんか! まぁ、この俺がお前に負けるわけがないがな」
お互いが顔を見合わせるとニヤリと笑う。一度だけ武器を合わせた二人は、我先にと左右に分かれて盗賊たちに向かっていった。
バティスが相手の攻撃を受けつつ斬り倒すと、バーチェルは一太刀も受けることなく流れるように盗賊たちを切断していった。
怒号と入り乱れる剣戟音。数分後、広場の血の海には盗賊の死体だけが転がっていた。
「ふふん、俺が十三人でバティスが八人か。どうやら俺の勝ちだな」バーチェルが誇らしげな笑みを相棒に向ける。
「まだだ、全部片づけてからだろうが!」悔しさに顔をゆがませるバティスは、村の西側へと駆けていった。
余裕を浮かべるバーチェルは「どれだけ頑張ろうが、ムダだ。俺の剣術こそ最強よ」とカッカッカと笑った。
そして、そのまま刀を肩に乗せると、悠々とした態度で村の東に向かって、歩いて行った。
まだ時間にして十分もたってはいない。
予想していたよりも早い戻りに「ずいぶんと早かったな。何かあったのか?」とバーチェルが首をかしげた。その質問に、ルーセントはこの世でこんなにうれしそうな顔をした人物がいるのだろうか、と思うほどの笑顔を返していた。
ルーセントは笑顔を崩すことなく、スッと鑑定結果の紙を手渡す。
「父上、見てください。すごいですよ!」ルーセントは父親の喜ぶ姿を想像して満面な笑みを崩さなかった。
その状況を見るバーチェルが「まさか上級か!」と驚いて紙に視線を落とす。それと同時にルーセントが結果を伝えた。
「それがですね、最上級だったんですよ! ビックリです。噴水の女神様のおかげですよ!」
息子の発言に「まさか!」と、バーチェルは時間が止まったかのように手にする紙をにらみ付けた。
ヴァンシエルと表示される守護者の名前と火の魔法、それと聞いたことも見たこともない雷の魔法が表記されていた。
さらに驚くべきは召喚魔法の項目であった。
効果範囲内にいる自分の守護者レベルより下の者を即死にできる。という桁外れの能力にバーチェルは絶句していた。
レフィアータ帝国と停戦をした今ならば、例え戦闘の上級守護者であろうと平穏に暮らせるに違いないと思っていたのだが、バーチェルの願いはむなしくも崩れ去ってしまった。
紙に書かれた最上級の文字にバーチェルは戸惑っていた。もはや国の趨勢をも左右する国家的人材といっても過言ではない能力に。そして、平穏な生活などはるか遠くに消えてしまったことに。
バーチェルの心を、とある一抹の不安が埋めていた。ルーセントがおよそ七年前に負った心の傷、今でも無意識のうちにおびえて怖がる姿を思い出す。
ルーセントは紙を手にしたまま動かないバーチェルを見て、不安に顔をのぞき込んだ。
「父上? どうしたのですか?」
「あ、あぁ……、すまんな、まさか本当に最上級持ちになるとは思わなくてな、驚いておったよ。良かったな。おめでとうルーセント」
バーチェルはぎこちなくも、にこやかにほほ笑んで息子の頭を優しくなでた。
そこへ手続きの準備を終えた鑑定士がやって来た。
二人を別室へと案内する。
三メートル四方の四角い部屋には、中央に長方形のテーブルが置いてあった。そのうしろには大きな窓があって部屋を明るく照らす。さらにその横には、本棚やチェストと植物が無機質な室内をかろうじて彩っていた。
鑑定士が順調に書類を手渡し説明していく。
そして、すべての書類にバーチェルがサインを書き終えると、ひとつにまとめて机の上で書類を整えた。
「……以上で手続きは終わりです。今日はお疲れさまでした。それにしても、最上級守護者なんて本当にめでたいですな。我が国では初代国王のスティグ・レイオールド以来ではないでしょうか」
「初代国王というと、おとぎ話に出てくる英雄の一人でしたな」
「ええ、そうです。我々、鑑定士の能力を持つものは、守護者解放を行ったときにすべての守護者の情報が得られるのですが、そこには最上級守護者を持った者の名前も入っております。まあ、対象者の死後、百年以上たたなければ分かりませんがね」
鑑定士が言うには、その名前のなかにこの国で最上級守護者を持った者は初代国王以外には居なかったという。
鑑定士は書類を封筒に入れると立ち上がった。
ルーセントとバーチェルも遅れて立ち上がる。
「長いこと引き留めてしまいましたな。これよりすぐに書類を領主様に届けます。明日かあさってには連絡があるかと思いますので、今後はそちらに従ってください。今日はありがとうございました」鑑定士は封筒を手に深々とお辞儀をする。
「いやいや、こちらも貴重な話を聞かせてもらいました」バーチェルとルーセントも返すように頭を下げた。
鑑定士とバーチェルが握手を交わすと、全員がエントランスへと戻る。
館を出る二人を鑑定士が見送った。
振り返るルーセントは、世話になった鑑定士に手を振って答えた。
バーチェルは家に帰るには少し早い時間帯に、せっかく商業区まで来たのだから、と市場に寄って行こうとルーセントに提案する。にこやかに「はい!」と答える息子に「今日はごちそうだな」と返して市場に消えていった。
ルーセントの鑑定結果は、その日のうちに領主のもとに届けられた。例年よりも多い上級守護者の通知に「また我が領土から上級守護者が出たか」と笑顔を浮かべて封筒を開封する。しかし、そこに書かれていた“最上級”の文字を見て書き間違えか、と一瞬だけ戸惑うウエストアルデ子爵だったが、すぐに使いの鷹を飛ばして真意を確認する。間違いはない、と確認が取れると、次の日の予定をすべてキャンセルしてしまうほどに子爵は喜んだ。そして早急にルーセントと会うことになった。
鑑定を済ませた翌日、道場に突如として現れた豪華な馬車が二人を出迎える。黒塗りで金の字で描かれる領主の紋章が太陽の光に反射していた。
二人は家に尋ねてきた使用人に戸惑いつつも、言われるままに馬車に乗り込んだ。その二人が城についたとき、さらに驚くべきことが待っていた。
ルーセント、バーチェルの二人が馬車を降りると、目の前にはウエストアルデ子爵本人が出迎えに出てきていた。
平民を出迎える領主、このあり得ない状況に恐縮する親子の緊張は一気に跳ね上がった。
子爵のうしろを歩く二人は、まるで拾われた猫のようにおどおどとした様子で執務室へと連れていかれる。執務室の中、あらためてルーセント親子が領主にあいさつを交わす。書類を手にする子爵がソファーに二人を促すと早々に確認を始める。すべての書類に不備がないことを確認すると「そろそろランチの時間だ。今後の予定もかねて一緒に食べようではないか」と昼食を一緒にすることになってしまった。
案内された部屋には細長いテーブルに何脚もの豪華な椅子が並べられていた。
メイドたちが二人をイスに案内する。
子爵のそばに控える執事が全員の着席を確認すると、手に持つベルを数回鳴らした。ベルの合図にカートを引いて現れるメイドたち。次から次へとテーブルに料理を並べ始めた。
白い布が敷かれた大きく細長いテーブルに、あっという間に豪華な食器に乗せられた料理で埋まっていった。
あっけにとられるルーセントは、バーチェルに顔を近づける。
「父上、すごいですね。家にも一人、あの人欲しいです」
「家には二人しかおらぬのだぞ。やることなくて逆に申し訳ないわい」バーチェルはメイドを見ながら、そっと耳打ちをした。
「ん~、それもそうですね。残念です。じゃあ、僕がいつか父上を連れて城に住むので期待していてください」
期待に目を輝かせるルーセントに、バーチェルはほほ笑みながら「ワシが生きているうちに頼んだぞ」と答えた。
メイドたちが配膳を終えると、次いでグラスに飲み物を注いでいった。
すべての準備が整うと子爵が立ち上がる。その手にはグラスに注がれたシャンパン、ルーセントにはオレンジジュースが揺れていた。二人もグラスを手に慌てて立ち上がる。
「今日はよく来てくれた。まさか初代国王が旗揚げしたこの地で、同じ最上級守護者を持つ者が誕生するとは思ってもみなかった。ルーセントは私の、いや、もはやこの国の最高の誇りだ。バーチェルも今日までよく育ててくれたな。私から最大限の感謝をしよう」
「もったいないお言葉、光栄にございます」
「うん。では、今日は思う存分に食べてくれ」
子爵のあいさつが終わると、それぞれが手にするグラスに口をつける。
本来であればコース料理として順序良く運ばれてくるのであろうが、子爵が慣れていないだろうと「気にせずに好きなものを食べるといい」と二人を気遣った。
ルーセントがあらためてテーブルを見渡す。
最初に興味を引いたのは正面にあるスープだった。金色の液体に溶かれた卵がふわふわ躍る。そこに浮かぶ透き通るグラスほうれん草の緑の葉が、まるで宝石のように輝いていた。
次に目を引いたのは、琥珀色に光るフーグストサーモンだった。切り身にパルメザンチーズとハーブがまぶされていて、適度に焦げ目が付くほどに焼かれたパルメザンハーブの香草焼き。食欲をそそる爽やかで香ばしい香りを漂わせていた。
ルーセントは見たことがない料理に「おぉ」とつぶやいて大量にあふれでる唾液で喉を鳴らす。そんなルーセントの胃袋を一番刺激したのは、この国でしか生存していないアドグラッド豚のローストであった。
表面をカリカリに焼かれて肉の焼けた香ばしい匂いが食欲を刺激する。少し塩気の強い味が、噛めば噛むほどに肉汁とともにあふれ出す。その身は数回噛むだけで消えてしまうのではないか、と錯覚させるほどの柔らかさだった。
ほかにも、めったに食べられない高級食材で作られた料理が並ぶ。二人は取りつかれたかのように一心不乱に食べ続けていた。
食事も終わり、領主は幸せそうな二人の顔に満足していた。
「まずは料理を堪能してもらえたようで何よりだ。それで今後の予定なのだが、すでに陛下に宛てた書状を早馬にて送っている。トラブルがなければ四日ほどで届くだろう。大体一週間から二週間もあれば返事が届くはずだ」
「なるほど。出発するのは向こうの返事が届き次第、ということですな」
「その通りだ。だがバーチェルよ、忘れてはおるまいな。王都の西エリアは平民には入れぬ。おそらくは入城許可証も一緒に送られてくるはすだ。しっかり持っていくのだぞ」
「おぉ、そうでしたな。あまりにも無縁な場所であったために、すっかり忘れておりましたわい」バーチェルは領主の言葉に感謝して頭を下げた。
「まぁ、無理もないな。それで、だ。向こうで再び鑑定を受けることになるであろうが、そのあとのことは向こうの者に従えばよい」
この後も細かな注意を受けた後、昼食が終わりを迎えた。
二人が立ち上がろうとしたとき、子爵が片手をあげてそれを制した。そして隣に立つ執事に耳打ちをすると再び親子に顔を向けた。
「引き止めて悪いな。せっかく王都に行くのだ、私から一週間分の資金を提供するゆえ、存分に楽しんでくるといい」
「おぉ、何から何まで配慮に痛み入ります」バーチェルがイスから立ち上がって頭を下げる。それを見たルーセントも、遅れながら立ち上がるとまねして頭を下げた。
少しして戻ってきた執事から資金を受け取ると昼食はお開きとなった。
馬車に揺られて帰路に就く途中、バーチェルは楽しそうに窓を眺めている息子のことで悩んでいた。
このままいけば、二年後には王都の訓練学校に行くことになる。しかし、今のままのルーセントでは過去の重圧に負けてつぶれてしまうだろう、と。いまだに癒えることのない、本人も記憶から消してしまうほどの心の傷に苦しみながら。
バーチェルが短くため息をつくと、ルーセントから視線を外して外を眺める。空は少しずつオレンジ色に染まり始めていた。
バーチェルのいつかの記憶。あの日、もう少し早く助けに行ってやれていたら、と今でも後悔は消えていない。まるで自分のせいだといわんばかりのバーチェルの心もまた縛り付けていた。
いつかは乗り越えなければならない壁だと、心を鬼にして覚悟を決めるのだった。
一夜が明けて、二日間は王都に行く準備へと充てていた。
一週間もの滞在となると着替えが大部分となり、自然と荷物が増えていく。
そして三日目の朝、バーチェルは小箱を手に持って道場にルーセントを呼んだ。
「もう準備は終わったか?」
「はい、終わりました。あとは王都に行くだけです」
明るく答えるルーセントに、これからのことを思うと心を痛めるバーチェルであったが「そうか」と低い声で短く答えた。続けて「そこに座りなさい」と優しく声をかける。
バーチェルは真実を告げるために、真剣な表情でルーセントに向き合あう。
「ルーセント、ひとつだけ聞くが、お前は私の本当の子供ではない、と言うことは分かっておるな」
「はい、養子なのは知っています。むかし父上から聞きましたから。突然どうしたのですか?」
ルーセントは不思議そうな顔を向けて、じっと父親の顔を見つめる。
バーチェルは耐えきれずに一度だけ視線を外したが、再び息子に視線を合わせると本題へと入っていった。
「では、養子になる前のことは覚えているか?」
「養子になる前……っ」
ルーセントが昔のことを思い出そうとした瞬間、ドクンっと心臓が跳ね上がり、全身の血の気が引いていった。そして、脱力感とともに身体の芯を握りしめられているかのような感覚が襲いかかった。
いつの間にかルーセントの手は震えていた。
「分かりません。思い出そうとすると怖くなって震えてくるんです」
「やっぱり覚えてはおらんか。心には残っているようだがな……。たしか、お前が三歳くらいのときだ」
バーチェルは、ルーセントに会った時のことを話し始めた。
「あれは王国から北の国境近くの村“スラープ村”で起きたことだ。当時のワシはな、まだ三人の仲間と一緒に冒険者をしておった。その時は、たしか村から五キロほど離れた場所で野営をしていてな。朝ごはんを食べていたはずだ」
バーチェル曰く、その日は依頼をこなし王都に戻る途中であった。
朝食を食べながら戻った後のことを仲間と話し込んでいると、突然一人の血だらけの男が飛び込んできた。話を聞けば、朝食時に盗賊が大人数を引き連れて村を襲いに来たと。
「その村には依頼で世話になっておった。だからワシらはすぐに準備を整えてスラープ村に向かったのだ」
ルーセントに説明しながら、バーチェルは昔を思い出していた。
――馬で駆け出してしばらくすると、煙が立ち上っているのが目に入った。
「おい、急ぐぞ! もうすぐだ。入り口が見える」バーチェルたちが村の手前で馬の速度を上げる。
村の入り口には先をとがらせた木柵に、つる草が巻き付いたアーチ状の木の門があった。
バーチェルたち四人は、入り口から少し離れた場所まで近づく。そこには村人と一緒になって戦う冒険者の姿があった。
対峙しているのは魔物の毛皮を加工した服と鎧を着用する盗賊らしき男の五人だった。
敵を視認したバーチェルの仲間の一人、四十代でイノシシのような筋骨たくましい黒人のリーダーが指示を出す。
名をガウルという。
ガウルは敵から視線を外すことなく、バーチェルとその仲間バティスに大声を出す。
「入り口とその周りは俺とパースに任せろ! バーチェル、バティスはそのまま中に突っ込め!」
ガウルにパースと呼ばれた金髪で細身な男は、無言でガウルの横に馬を並べる。そして右手に持つ槍に力を込めた。
二人が速度を上げてバーチェルともう一人を置き去りにしていく。ガウルは、入り口で戦っている男たちに「どけ! 邪魔だ!」と叫びながら盗賊めがけて突進していった。
うしろ姿を見送るバーチェルは「相変わらず勇猛だな。絶対に前衛を譲らぬわ」と余裕を浮かべて隣の男に顔を向けた。
バーチェルの視線の先、バティスがあきれた様子で首を振る。
「のんびりしている場合か! 突破するぞ!」と緊張感のない相棒の前に出た。
バーチェルはいつものことだろう、と軽く肩をすくめると、右手に持つ薙刀を握りなおして加速した。
前衛の二人が入り口の盗賊を倒すと、そのまま最初の分かれ道まで盗賊をなぎ倒していく。その二人が取りこぼした盗賊をバーチェルたちが一刀のもとに斬り捨てていった。
四人が分かれ道で合流しようとしたとき、ガウルが叫ぶ。
「俺とパースはここ一帯を見る! お前たちはそのまま奥まで進め!」
すれ違う四人、リーダーの指示にバーチェルとバティスがうなずいた。
ガウルとパースに見送られるように二人を追い抜いて村の中央へと急いだ。
敵を倒しつつ中央広場が視界に入る。
「まずはあいつらから片付けるぞ!」
バティスが村の中央で強奪品を集めている盗賊を見てバーチェルに指示を出す。広場の狭さに馬を降りると、槍を馬に預けて剣を取った。
バーチェルも馬から降りると刀へと武器を変えた。
指をさして人数を数えるバーチェル。
「余裕で十人以上はいるな。どっちが多く倒せるか勝負と行くか。負けた方が酒をおごれよ」
「こんな時くらいまじめにやらんか! まぁ、この俺がお前に負けるわけがないがな」
お互いが顔を見合わせるとニヤリと笑う。一度だけ武器を合わせた二人は、我先にと左右に分かれて盗賊たちに向かっていった。
バティスが相手の攻撃を受けつつ斬り倒すと、バーチェルは一太刀も受けることなく流れるように盗賊たちを切断していった。
怒号と入り乱れる剣戟音。数分後、広場の血の海には盗賊の死体だけが転がっていた。
「ふふん、俺が十三人でバティスが八人か。どうやら俺の勝ちだな」バーチェルが誇らしげな笑みを相棒に向ける。
「まだだ、全部片づけてからだろうが!」悔しさに顔をゆがませるバティスは、村の西側へと駆けていった。
余裕を浮かべるバーチェルは「どれだけ頑張ろうが、ムダだ。俺の剣術こそ最強よ」とカッカッカと笑った。
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