107 / 134
4 王立べラム訓練学校 高等部2
4-14話 ティベリウスとフロット1
しおりを挟む
きゅうちゃんが先進技術実証研究所“ガラエルパ”にて、精霊を解放するときに適当に押した画面の中で、もうひとつの存在も目覚めさせていた。
千年前、子供ができない夫婦のために開発されていた人造人間、そのプロトタイプに当たる十歳ていどの少年、IC01が解放されていた。
保存液に満たされた青白い光を放つカプセルが泡立つ。
そのうちにフタが開くと身長が一三五センチメートルの少年が目を覚ました。
「プロトタイプ、IC01の起動を確認。現在、非常電源装置が作動中につき、緊急脱出のプログラムを実行します。IC01を脱出カプセルに誘導中……」機械音声が部屋に流れる。
無表情の黒髪の少年が、脱出カプセルへと向かう。射出カプセルに少年が入る。そこに再び機械音声が響いた。
「プロトタイプIC01を射出カプセルにて確認、これより緊急脱出を始めます」
部屋中にカウントダウンが始まると「射出」の音声とともに、カプセルが外に向かって火花をあげながら高速で飛び出していった。
川の中を高速で泳いでいくカプセル、千年前とは変わっている地形に弾き出されると、岩にぶつかって少年が投げ出された。
最初にぶつかった岩石のせいで、股関節の一部が変形してしまう。その後も何度か河原を転がって停止した。
それと同時に少年の保護プログラムが作動する。
「わん、わん、わん!」
そこに、プロトタイプIC01を見つけた大型の犬が近づいてきた。
「ジーナ、何を吠えてるの? ……まぁ、大変! こんなところに子供が?」
柔和な表情の犬の飼い主、その老婆があわてて少年にかけよった。全く動く気配のない少年に、老婆が鼻に指を近づける。呼吸の確認をすると、動かない身体を背中に背負って自宅へと連れていった。
ベシジャウドの森近くにあるコリドールの村から、少しだけ離れた場所にある小さな一軒家、そこに少年が運ばれた。
IC01のプログラムが起動して、すべてのチェックが終えると、少年が目を覚ました。
「わん、わん、わん!」それに気づいた犬がほえる。
「おや、目を覚ましたのかい、ミトラ」老婆がスープをもって少年に近づく。
ベッドの上では、少年がまばたきを繰り返している。
近づく老婆に、少年が顔を向ける。
「おかあさん?」少年がじっと老婆を見る。
「残念だけど、私はあなたのお母さんではないわ。あなたは、河原で倒れていたのよ。なにか覚えていることはない?」そっとスープを少年に渡す。
今度は手に取るスープをじっと見つめる少年。
「飲むといいわ、温まるわよ」
老婆がやさしくほほ笑んで、スプーンを少年の口へと運ぶ。少年は、ゆっくりと口を開けてスープを飲み込んだ。
「あなたは、だれ?」
「私はジーナよ。ジーナ・ヴァニッシュ、こっちの犬はミトラよ」
「わふ」老婆の紹介に答えるように毛足の長い犬がほえる。
「ジーナにミトラ」
少年がなにかを確認するように一人と一匹の名前をつぶやく。今度は笑顔で振り向くと「ジーナ、ミトラ」と名を呼んだ。笑顔に戻った少年を見て、ジーナが安堵した。
「ところで、あなたの名前はなんて言うのかしら? なんであそこに倒れていたのか、覚えてる?」
「うーん、わからない。逃げてきた」
少年のその言葉を聞いて、ジーナは両親と魔物に教われたのだろう、と推測する。ショックで記憶をなくしているのだろうと、つらい記憶なら思い出すまではそっとしておこうと判断した。
「名前が思い出せないのね。だったら、思い出すまで、フロットと呼ぶわね」
「フロット……、ぼくフロット、フロット・ヴァニッシュ」
「ええ、そうよ。あなたはフロット・ヴァニッシュ。本当のお母さんが見つかるまでは、私があなたの母になるわ。でもね、私のことはジーナって呼んでちょうだい」
「ありがとう、ジーナ。ミトラも」
「わふ」ミトラがベッドに前脚をかけると、フロットの顔をなめた。
夫に先立たれて、長らく一人で過ごしてきたジーナ、残り少ない命を前に念願の息子ができた、と女神に感謝した。見た目よりも、おさなく見えるこの少年を、本当の親が見つかるまでは私が面倒を見ようと心に誓った。
三年後、フロットはミトラと一緒に川まで魚を取りに来ていた。青空が川に反射して色をつける。フロットがアミを川に沈めると、ミトラが離れたところから魚を追いたてる。水面が波立って、キラキラと魚の身体が光った。アミには二十センチメートルほどの魚が五匹ほど引っ掛かっていた。
フロットとミトラは、取った魚を細かいアミで作られた袋にいれる。それを水の中に沈めた後、いつものように水遊びをしていた。
ひととおり遊んで休憩をしていたフロットとミトラ、その時ミトラの鼻がひくひくと動いた。
「わふ」ミトラが急に立ち上がって走り出す。
「ミトラ、どうしたの?」
とつぜん走り出したミトラを追いかけるフロットだったが「うわっ」と転んでしまった。射出されたときにぶつけた股関節の変形により、たびたび転んでしまうフロット、その声に心配したミトラが戻って顔をなめる。
「ありがとう、大丈夫だよ」フロットがミトラをなでた。無事を確認したミトラは、フロットのズボンの裾を噛んでこっちだ、と誘導する。誘われるままに大きな犬の後を追いかけていくフロットの視線の先には、白い服を着た少年が倒れていた。白い服のいたるところが血で赤く染まっている。
「ケガをしてるのかな? ジーナにもらったポーションで治るかな?」
フロットがジーナから渡されていたポーションをベルトのソケットから取り出した。身体に半分ほどをかけた後、仰向けにして細い息の傷だらけの少年に飲ませた。
少しして大部分のケガが治ると、フロットが白い服の少年を背負った。
「ううっ、重いよぉ」
その小さいからだでは、ケガをしている少年の足は地面を引きずってしまう。しかし、ほかに方法もなく、フロットは懸命に運んでいった。
フロットが、ベッドに横たわる少年を見ていた。
褐色の鍛えられた身体に黒い髪をした少年、その少年はルーセントと一騎打ちをしていたティベリウスであった。崖から川に落ちた後、骨が折れた痛む身体をなんとか動かして川を下っていった。
その後は、支流と合流した大河コロント河に流されて、追撃の手から逃れるために必死になって泳いだ。そして、たどり着いた先で気を失っていたところをフロットとミトラに見つけられる。
ティベリウスは三日の間、眠り続けていた。
身体のケガは、ジーナの家についた後に何度か与えられたポーションによって完治している。目を覚ましたとき、最大限の警戒をもって殺気立っていたが、視界に入る少年と老婆、大きな犬の姿にその警戒心を解いた。
フロットが自分の時と同じように、スープを手渡す。
ティベリウスは、スープを見下ろして一瞬だけ毒が仕込んであるのか、と疑ったが、殺す気なら寝ている間にいくらでもできたであろう、と安心してスープを口にする。のど元を通り抜ける温かさと、香ばしい匂いに心を落ち着ける。
「ここは、どこだ?」ティベリウスが目の前の少年に問いかける。
「ジーナの家だよ」フロットが笑顔で答える。
「ジーナ?」
「私よ。ここは私の家、川で倒れてたあなたを、このフロットとミトラが連れてきたんだよ」
「へへ」フロットが恥ずかしそうに笑う。
「わふ」ミトラは、自慢げにほえた。
「そうか、迷惑をかけた。すぐに出ていく」
「まだ体調も回復していないでしょ。そんなに急がなくても平気よ」
「しかし……」ティベリウスが目の前の少年を見る。
フロットは、自分とジーナ以外の人間を初めて見て目を輝かせていた。そのまなざしに、かつての自分を見たティベリウスは「わかった、しばらく世話になる」と、再びベッドに横たわった。
千年前、子供ができない夫婦のために開発されていた人造人間、そのプロトタイプに当たる十歳ていどの少年、IC01が解放されていた。
保存液に満たされた青白い光を放つカプセルが泡立つ。
そのうちにフタが開くと身長が一三五センチメートルの少年が目を覚ました。
「プロトタイプ、IC01の起動を確認。現在、非常電源装置が作動中につき、緊急脱出のプログラムを実行します。IC01を脱出カプセルに誘導中……」機械音声が部屋に流れる。
無表情の黒髪の少年が、脱出カプセルへと向かう。射出カプセルに少年が入る。そこに再び機械音声が響いた。
「プロトタイプIC01を射出カプセルにて確認、これより緊急脱出を始めます」
部屋中にカウントダウンが始まると「射出」の音声とともに、カプセルが外に向かって火花をあげながら高速で飛び出していった。
川の中を高速で泳いでいくカプセル、千年前とは変わっている地形に弾き出されると、岩にぶつかって少年が投げ出された。
最初にぶつかった岩石のせいで、股関節の一部が変形してしまう。その後も何度か河原を転がって停止した。
それと同時に少年の保護プログラムが作動する。
「わん、わん、わん!」
そこに、プロトタイプIC01を見つけた大型の犬が近づいてきた。
「ジーナ、何を吠えてるの? ……まぁ、大変! こんなところに子供が?」
柔和な表情の犬の飼い主、その老婆があわてて少年にかけよった。全く動く気配のない少年に、老婆が鼻に指を近づける。呼吸の確認をすると、動かない身体を背中に背負って自宅へと連れていった。
ベシジャウドの森近くにあるコリドールの村から、少しだけ離れた場所にある小さな一軒家、そこに少年が運ばれた。
IC01のプログラムが起動して、すべてのチェックが終えると、少年が目を覚ました。
「わん、わん、わん!」それに気づいた犬がほえる。
「おや、目を覚ましたのかい、ミトラ」老婆がスープをもって少年に近づく。
ベッドの上では、少年がまばたきを繰り返している。
近づく老婆に、少年が顔を向ける。
「おかあさん?」少年がじっと老婆を見る。
「残念だけど、私はあなたのお母さんではないわ。あなたは、河原で倒れていたのよ。なにか覚えていることはない?」そっとスープを少年に渡す。
今度は手に取るスープをじっと見つめる少年。
「飲むといいわ、温まるわよ」
老婆がやさしくほほ笑んで、スプーンを少年の口へと運ぶ。少年は、ゆっくりと口を開けてスープを飲み込んだ。
「あなたは、だれ?」
「私はジーナよ。ジーナ・ヴァニッシュ、こっちの犬はミトラよ」
「わふ」老婆の紹介に答えるように毛足の長い犬がほえる。
「ジーナにミトラ」
少年がなにかを確認するように一人と一匹の名前をつぶやく。今度は笑顔で振り向くと「ジーナ、ミトラ」と名を呼んだ。笑顔に戻った少年を見て、ジーナが安堵した。
「ところで、あなたの名前はなんて言うのかしら? なんであそこに倒れていたのか、覚えてる?」
「うーん、わからない。逃げてきた」
少年のその言葉を聞いて、ジーナは両親と魔物に教われたのだろう、と推測する。ショックで記憶をなくしているのだろうと、つらい記憶なら思い出すまではそっとしておこうと判断した。
「名前が思い出せないのね。だったら、思い出すまで、フロットと呼ぶわね」
「フロット……、ぼくフロット、フロット・ヴァニッシュ」
「ええ、そうよ。あなたはフロット・ヴァニッシュ。本当のお母さんが見つかるまでは、私があなたの母になるわ。でもね、私のことはジーナって呼んでちょうだい」
「ありがとう、ジーナ。ミトラも」
「わふ」ミトラがベッドに前脚をかけると、フロットの顔をなめた。
夫に先立たれて、長らく一人で過ごしてきたジーナ、残り少ない命を前に念願の息子ができた、と女神に感謝した。見た目よりも、おさなく見えるこの少年を、本当の親が見つかるまでは私が面倒を見ようと心に誓った。
三年後、フロットはミトラと一緒に川まで魚を取りに来ていた。青空が川に反射して色をつける。フロットがアミを川に沈めると、ミトラが離れたところから魚を追いたてる。水面が波立って、キラキラと魚の身体が光った。アミには二十センチメートルほどの魚が五匹ほど引っ掛かっていた。
フロットとミトラは、取った魚を細かいアミで作られた袋にいれる。それを水の中に沈めた後、いつものように水遊びをしていた。
ひととおり遊んで休憩をしていたフロットとミトラ、その時ミトラの鼻がひくひくと動いた。
「わふ」ミトラが急に立ち上がって走り出す。
「ミトラ、どうしたの?」
とつぜん走り出したミトラを追いかけるフロットだったが「うわっ」と転んでしまった。射出されたときにぶつけた股関節の変形により、たびたび転んでしまうフロット、その声に心配したミトラが戻って顔をなめる。
「ありがとう、大丈夫だよ」フロットがミトラをなでた。無事を確認したミトラは、フロットのズボンの裾を噛んでこっちだ、と誘導する。誘われるままに大きな犬の後を追いかけていくフロットの視線の先には、白い服を着た少年が倒れていた。白い服のいたるところが血で赤く染まっている。
「ケガをしてるのかな? ジーナにもらったポーションで治るかな?」
フロットがジーナから渡されていたポーションをベルトのソケットから取り出した。身体に半分ほどをかけた後、仰向けにして細い息の傷だらけの少年に飲ませた。
少しして大部分のケガが治ると、フロットが白い服の少年を背負った。
「ううっ、重いよぉ」
その小さいからだでは、ケガをしている少年の足は地面を引きずってしまう。しかし、ほかに方法もなく、フロットは懸命に運んでいった。
フロットが、ベッドに横たわる少年を見ていた。
褐色の鍛えられた身体に黒い髪をした少年、その少年はルーセントと一騎打ちをしていたティベリウスであった。崖から川に落ちた後、骨が折れた痛む身体をなんとか動かして川を下っていった。
その後は、支流と合流した大河コロント河に流されて、追撃の手から逃れるために必死になって泳いだ。そして、たどり着いた先で気を失っていたところをフロットとミトラに見つけられる。
ティベリウスは三日の間、眠り続けていた。
身体のケガは、ジーナの家についた後に何度か与えられたポーションによって完治している。目を覚ましたとき、最大限の警戒をもって殺気立っていたが、視界に入る少年と老婆、大きな犬の姿にその警戒心を解いた。
フロットが自分の時と同じように、スープを手渡す。
ティベリウスは、スープを見下ろして一瞬だけ毒が仕込んであるのか、と疑ったが、殺す気なら寝ている間にいくらでもできたであろう、と安心してスープを口にする。のど元を通り抜ける温かさと、香ばしい匂いに心を落ち着ける。
「ここは、どこだ?」ティベリウスが目の前の少年に問いかける。
「ジーナの家だよ」フロットが笑顔で答える。
「ジーナ?」
「私よ。ここは私の家、川で倒れてたあなたを、このフロットとミトラが連れてきたんだよ」
「へへ」フロットが恥ずかしそうに笑う。
「わふ」ミトラは、自慢げにほえた。
「そうか、迷惑をかけた。すぐに出ていく」
「まだ体調も回復していないでしょ。そんなに急がなくても平気よ」
「しかし……」ティベリウスが目の前の少年を見る。
フロットは、自分とジーナ以外の人間を初めて見て目を輝かせていた。そのまなざしに、かつての自分を見たティベリウスは「わかった、しばらく世話になる」と、再びベッドに横たわった。
0
お気に入りに追加
68
あなたにおすすめの小説

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
婚約破棄からの断罪カウンター
F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。
理論ではなく力押しのカウンター攻撃
効果は抜群か…?
(すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる