月影の砂

鷹岩 良帝

文字の大きさ
上 下
61 / 134
2 王立べラム訓練学校 中等部

2-29話 再び、そして……4

しおりを挟む
 半身で右手だけで刀を持つルーセントに、三人の刺客が襲いかかる。ルーセントの両サイドにいる右手側の男が、剣を突き出し先陣を切った。白い制服をひるがえし、右足をずらしながらルーセントが相手の剣を切り上げ払う。しかし、すぐに反対側の男が頭を狙って身幅の厚い刀、柳葉刀を振り下ろしてきた。

 視界の端でその動きを捉えたルーセントは、思いっきり右足で地面を踏み込み、後方へと飛び退いた。相手の柳葉刀が顔、身体の手前ギリギリを通過し、制服の一部を切り落として地面を傷つけた。
 ルーセントは、相手の無防備となった姿を金の瞳に捉え、刀を振り抜こうとしたが、正面の男の攻撃によって回避せざるを得ず、仕留めることはできなかった。
 何度かの攻撃を防ぐと、再び場が止まり膠着こうちゃく状態となった。
 ルーセントの正面に立つ男がニヤけた顔で剣先を向ける。

「さすがに、一対三じゃ満足に攻撃できないだろう。おとなしく降参するなら、一発で首を切り落として楽にさせてやるぞ?」

 左右に立つ刺客の顔も楽しそうに歪んでいた。
 しかし、劣勢に立つはずのルーセントは無言のまま、その顔には焦りが一つもなく、落ち着いた表情で細く長い息を吐いた。そして、痛む左腕を動かし刀をつかんだ。
 両手で刀を構えるルーセントに、三人の男たちの表情が固まり動きが止まる。ただ一点をぼんやりと見つめるだけのルーセント。突っ立っているだけの少年の威圧感にその身体は重くなり、背後から無形の何かにつかまれているかのように動けなくなった。自然と小刻みに震える男の手、顔からは雨とは違う一筋の雫が滴った。

 ルーセントの心は、自分でも不思議なほどに落ち着いていた。すべての疑を捨て去り、生きることにも、死ぬことの執着心さえも存在しない空虚な心。そこには、戦国の主たる人物のみが放つ、圧倒的な風格が存在していた。
 ルーセントが左に立つ男に視線を向けると、男は苦難の表情を浮かべて一歩下がった。
 その瞬間、視界の外。右側に立つ男が決死の思いでルーセントに斬りつけてきた。
 ルーセントは刀の柄を立て身体に密着させると一歩で敵の間合いに入り、刃を触れさせることなく流れるように攻撃を交わすと、二歩目の足を踏み出したときには、男の首が斬り落とされていた。

「くっ、クソが!」

 仲間の死に、左にいた男が意を決して渾身の一撃を繰り出す。銀髪の頭を狙った一撃は、大きく踏み込んだルーセントの水平に振り下ろす刀に弾かれ、軌道を逸らされると同時に、その身体は真っ二つに裂けていた。
 最後の一人、正面に立つ男にルーセントがゆっくり近づいていく。まるで見えない壁に押し出されるかのように後ずさる男。ルーセントが刀を相手に向けた。
 相手の剣と刀が交わり、ルーセントが腹部を狙い突きを出した瞬間、男が剣身を寝かせて防いだ。そして、お返しとばかりにその男が突きを出そうとしたが、すでに銀髪の少年は、そこにいなかった。
 ルーセントは、剣が動いた瞬間にはすでに横に抜けていて、振り下ろす刀が男の両手を捉えていた。
 男は切り落とされる自分の両腕をあ然と眺め、遅れてくる激痛に声を上げようとしたが、黒い一筋の剣線に阻まれ、首のない自分の身体の映像を最後に人生を終えた。
 倒れる三つの死体、降り続ける強い雨にルーセントが空を見上げると、その手から刀がこぼれ落ちた。そして、糸の切れた人形のように膝から崩れ落ち、地面に仰向けに倒れてしまった。


「化け物か? あいつは。ちくしょう、まだ手が震えてやがる」

 ティベリウスを始末し終えた指揮官の男が、ルーセントの異様な雰囲気を恐れ、木陰から様子をうかがっていた。倒れたルーセントを見て、木陰から歩みを進める。

「まあでも、いくら強くても動けないんじゃな。木偶人形と変わらねぇからな」

 男は腰から刀を引き抜き、柄を逆手に持つ。
 ルーセントの横に立つと、トドメを刺そうと刀を両手でつかみ振り上げた。
 その瞬間、山中の広場入り口より現れた二人の人物が魔法を放った。
 人の気配にとっさに振り向く指揮官の男、その視線の足元には、腰ほどの高さの氷の波がトゲを形成して襲いかかる。男がすぐに刀を地面に突き刺すと、風の刃を大量に生み出し氷を切り裂いてしのいだ。
 しかし、二人目が放った圧縮された水の矢には対処が遅れ右肩を貫通した。
 激痛に傷口を押さえてうめく男、魔法を放った人物はフェリシアとパックスであった。

「てめぇ! ルーセントから離れろ!」

 パックスが、地面を凍らせながら敵に向かっていく氷の矢の魔法フロストショットを放ち、その氷の上を滑って高速で移動する。
 刺客は血に染まる左手を伸ばし、かき消そうと風の魔法を放つ。

「邪魔をするな!」

 怒声とともに風の刃が氷の矢じりとぶつかり、数発の刃を道ずれにパックスの魔法が消滅してしまった。
 しかし、パックスは出来上がった氷の道を滑走し、刀を引き抜いて男に迫った。
 男も高速で近づく少年に驚く表情を見せたものの、すぐに左手で地面に刺した刀を引き抜くと打ち合った。
 パックスが刺客の見覚えのある顔を見て眉をひそめた。

「お前! 祭りのときにいた引ったくりじゃねぇか! 何でここにいる!」
「チッ、どこまでも邪魔くさい野郎だ。悪いが、今日はここまでだ」
「おい! 待っ……、くっ!」

 男は腰から閃光弾せんこうだんと煙幕を取り出し起動させると、その場を立ち去っていった。

「クソったれ! 逃げられちまった」

 光が収まり、煙が雨で流されると、パックスが男を追いかけて少し進むもその姿はすでになく、逃げた先であろう木々の方向を警戒しつつ、ルーセントの元へと駆け出した。

「おい、ルーセントはどっ……、なんだよこれ? 真っ二つになった人間と頭がとれたやつが二人……、うっ、おえっ」

 パックスは、ルーセントが最後に作り出した凄惨せいさんな光景に気分を悪くし、その場を少し離れると、こみ上げる吐き気と格闘していた。

「ちょっと! 早く手伝ってよ!」
「無茶いう……うぉえっ」

 フェリシアは、ルーセントの真っ赤に染まる制服を見てすぐに回復魔法をかける。負傷箇所はすぐに完治するも、傷口から流れ出た血の量を考えて危険だと判断した。おまけにルーセントの身体は、雨の影響もあって冷えきっていた。
 近くにある小屋に運ぶためにパックスを呼んだが、極めて頼りない様子に諦めると、ルーセントを背負って小屋を目指した。

「ちょっと待っ……、うっ。ご飯食べてくるんじゃなかっ……おえっ」

 パックスは吐き気と格闘しつつ、死体を見ないようにフェリシアの後を追った。

 小屋のなか、囲炉裏いろりがある場所にルーセントを寝かせる。上着とシャツを脱がせて上半身を裸にすると、火を起こせそうな物を探しに、小屋のなかを歩き回る。
 小屋は横に長く、囲炉裏のある場所は三メートル四方の大きさがあり、土間を挟んでその先に五メートル四方の簡単なキッチンがあった。
 フェリシアがキッチンのエリアに入ろうとしたとき、パックスが青白い顔をしたまま入ってきた。

「ひどいもん見たぜ。あぁ、フェリシア、ルーセントは無事か?」
「ケガは治ったけど、血を流しすぎてて危険かも。身体も冷えてるし、何か燃やすものがあればいいんだけど」
「燃やすものか……。分かった、それは俺が探すから、フェリシアはルーセントを見てやってくれ」
「うん、わかった」

 フェリシアは再びルーセントの元に戻り、パックスがキッチンを探し始める。青白い顔の少年の肩には、いつの間にかきゅうちゃんが乗っていた。

「きゅう、きゅう!」
「おう、なに言ってるか分からんが、とにかく火を着けれそうなもの探してくれ」
「きゅう!」

 パックスの言葉が通じたのか、きゅうちゃんがパックスとは反対の方向に滑空して降りた。
 キッチンには石窯もあり、丸太を割ったまきと一緒に細い枝を集めた物もあり、パックスがあるだけつかんで囲炉裏へと持っていく。

「とりあえず、今あるのはこれくらいだな。向こうにでっかいまきはあったけど、さすがにここじゃ使えないしな」
「ありがとう。これだけあれば当分大丈夫だと思う。少しすれば、ベーテスたちが来ると思うから」
「ベーテスって誰だ?」
「私専属の世話係よ。ここに来る前に、学校の門番の人に手紙を届けるようにお願いしたから、きっと王都にあるお父様の屋敷から私兵も連れてくるはずよ」
「本当にそういうのがいるんだな」
「感心してないで、早く火をつけられそうなもの探してきて!」
「お、おう。わかった」

 パックスから見れば、制服が真っ赤に染まってはいるものの、フェリシアの回復魔法で何とかなったと思い込み余裕な態度で接していたが、フェリシアの切羽詰まったような顔を見て、パックスも焦りを浮かべつつキッチンへと、火を起こせそうなものを探しに戻っていった。
 パックスは、L型の木製の調理台にある引き出しを片っ端らから開けて確認するものの、めぼしいものは見つけられずにいた。
 その時、きゅうちゃんが調理台の向かいにあるチェストのような棚の下で「きゅう、きゅう、きゅう!」と激しく鳴き出した。

「お! なにか見つけたか?」

 パックスが駆け寄り、棚と壁の隙間をのぞくと、そこには直径三センチメートルほどある大きさの、円筒形の着火装置フラッシュファイヤーが転がっているのを見つけた。

「おお! こいつは……、お手柄だぞ、きゅうすけ」
「きゅう、きゅう」きゅうちゃんは、パックスに褒められうれしそうに飛び跳ねていた。

 パックスが棚を動かしフラッシュファイヤーを手に取る。長さが二十センチメートルほどあるその着火装置は、超高出力のレーザーを照射し可燃性の物質に火をつけるものだった。
 パックスは調理台の上に置いてあったキッチンペーパーをつかめるだけつかみ、ルーセントの元へと戻った。

「これなら行けるぞ!」

 パックスが囲炉裏まで戻ると、敷き詰められた灰の上に丸めたキッチンペーパーを何個か置くと、細いたきぎを組み上げていく。そして、フラッシュファイヤーの電源を入れて光源を調整した。ほんの数秒で煙が上がり炎をあげる。優しく息を吹き掛けながら木に火をつけると、消えないようにたきぎを足していった。
 しかし、これらだけでは満足に火力が出せずにいた。
 寒そうに震えるルーセントに、フェリシアが上半身を抱き抱えて身体を温める。
 パックスは、自分のサバイバルナイフを使って石窯用のまきを細かく割って継ぎ足していった。そこで、パックスが一人足りないことに気づく。

「そう言えば、ルーセントを呼び出したやつはどこにいったんだ?」
「それは、あの黒い服を着た人たちじゃないの?」
「いや、それは無理だろ? ルーセントがどこで呼び出された紙を受け取ったかは分からねぇが、訓練学校の中なのは間違いないだろ。となると、生徒かもしくは職員ってことになるけど……」
「でも、それっぽい人はいなかったよね」
「ああ、ルーセントに斬られてたやつらにも見覚えないしな」

 二人が考え込んだとき、きゅうちゃんが鳴き出した。

「きゅう! きゅきゅきゅきゅきゅう! きゅう! きゅう!」

 小さい身体で両手を広げ、何かを説明するきゅうちゃんであったが、当然ながらフェリシア、パックスの二人には通じなかった。

「ごめんね。きゅうちゃん。何をいってるのか全然わからない」
「うん、おれも分からん。……あ、そうだ! あの紙をくわえてたのはきゅうすけだろ? ひょっとして誰の物か知ってるのか?」
「きゅう! きゅう!」きゅうちゃんが、その場でくるくると回り出した。
「よし、いいぞ。そいつは訓練生か? もしそうなら、二回ジャンプしろ」
「きゅう! きゅう!」

 パックスの言葉を聞いて、きゅうちゃんが両手足を使って二回飛びはねた。
 パックスとフェリシアが顔を見合わせる。

「そんな人、いなかったよね」
「あぁ、間違いなくいなかったな。どこにいったんだ?」
「ひょっとして、あの黒服の人たちに襲われて逃げてるとか?」
「う~ん、可能性はないわけじゃないな。きゅうすけ、そいつってひょっとしてティベリウスか?」パックスがきゅうちゃんに顔を向けた。

「きゅう?」きゅうちゃんは、誰それ?と言わんばかりに首をかしげた。
「ほら、ルーセントとなんでか仲の悪い褐色の肌のやつだよ。ここに来たばかりの時にBFSバトルフィールドシミュレーターにいたやつ」
「きゅう! きゅうきゅう」きゅうちゃんがそいつ、と言わんばかりに飛びはねた。
「やっぱりあいつか。いつも異様に仲が悪かったんだけど、紙に書いてあったバスタルドってやつのせいだったのか。たしかバスタルドって、何年か前にルーセントとフェリシアをさらったやつだよな」
「うん、そうだけど、でもそれって完全に逆恨みじゃない?」
「かもな。でも、大事な人が殺されたんなら、理由なんて関係ないだろ。例え、そのバスタルドってやつが悪かったとしてもな」
「そうかな?」

 納得がいかないフェリシアだったが、目を細めたパックスが何かを我慢するように、左手で右腕をつかんで力を込めて握りしめた。

「とにかく、このまま放っておいてもまた来るかもしれない。ちょっと周辺を探してくる。ルーセントを頼んだぞ」
「うん、任せて。パックスも気を付けてね」
「おう、きゅうすけはルーセントに着いていてやれよ」
「きゅう!」

 パックスが自分の刀を手に取ると、再び小屋の外へと飛び出していった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

かつて最弱だった魔獣4匹は、最強の頂きまで上り詰めたので同窓会をするようです。

カモミール
ファンタジー
「最強になったらまた会おう」 かつて親友だったスライム、蜘蛛、鳥、ドラゴン、 4匹は最弱ランクのモンスターは、 強さを求めて別々に旅に出る。 そして13年後、 最強になり、魔獣四王と恐れられるようになった彼女ら は再び集う。 しかし、それは世界中の人々にとって脅威だった。 世間は4匹が好き勝手楽しむ度に 世界の危機と勘違いをしてしまうようで・・・? *不定期更新です。 *スピンオフ(完結済み) ヴァイロン家の少女が探す夢の続き~名家から追放された天才女騎士が最強の冒険者を目指すまでの物語~ 掲載中です。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

悠久の機甲歩兵

竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。 ※現在毎日更新中

落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!

ユーリ
ファンタジー
気が付くと見知らぬ部屋にいた。 最初は、何が起こっているのか、状況を把握する事が出来なかった。 でも、鏡に映った自分の姿を見た時、この世界で生きてきた、リュカとしての記憶を思い出した。 記憶を思い出したはいいが、状況はよくなかった。なぜなら、貴族では失敗した人がいない、召喚の儀を失敗してしまった後だったからだ! 貴族としては、落ちこぼれの烙印を押されても、5歳の子供をいきなり屋敷の外に追い出したりしないだろう。しかも、両親共に、過保護だからそこは大丈夫だと思う……。 でも、両親を独占して甘やかされて、勉強もさぼる事が多かったため、兄様との関係はいいとは言えない!! このままでは、兄様が家督を継いだ後、屋敷から追い出されるかもしれない! 何とか兄様との関係を改善して、追い出されないよう、追い出されてもいいように勉強して力を付けるしかない! だけど、勉強さぼっていたせいで、一般常識さえも知らない事が多かった……。 それに、勉強と兄様との関係修復を目指して頑張っても、兄様との距離がなかなか縮まらない!! それでも、今日も関係修復頑張ります!! 5/9から小説になろうでも掲載中

『王家の面汚し』と呼ばれ帝国へ売られた王女ですが、普通に歓迎されました……

Ryo-k
ファンタジー
王宮で開かれた側妃主催のパーティーで婚約破棄を告げられたのは、アシュリー・クローネ第一王女。 優秀と言われているラビニア・クローネ第二王女と常に比較され続け、彼女は貴族たちからは『王家の面汚し』と呼ばれ疎まれていた。 そんな彼女は、帝国との交易の条件として、帝国に送られることになる。 しかしこの時は誰も予想していなかった。 この出来事が、王国の滅亡へのカウントダウンの始まりであることを…… アシュリーが帝国で、秘められていた才能を開花するのを…… ※この作品は「小説家になろう」でも掲載しています。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

処理中です...