29 / 34
第27話 クライル王
しおりを挟む
何度見ただろうか。この景色。これ程頻繁に城に出入りする平民を見たことがあるだろうか。いや、ない。
ふっ、これだけ頻繁に城に来たんだ。俺はもう王族と言っても過言ではなかろう。ふふふ…。
「ユウタ、何ニヤニヤしてるのじゃ?」
「ちょっと気持ち悪いかなぁ…?」
顔を見るとルルとヨヨが引いていらした。それ以上引かれたくはないのでスッと真顔に戻す。
「余計顔が歪んだのじゃ。」
「もっと気持ち悪いかなぁ。」
お母さん。お元気ですか?俺はもう挫けそうです。でも俺は強く生きるよ。ルルにも負けず、ヨヨにも負けず。
「ユウタ様。こちらでお待ち下さい。」
執事に案内された部屋にあった椅子に座り大人しく待っていると、背後のドアがガチャリと音を立てた。
「おにーちゃん!」
背後から俺の首に強烈な打撃をくらった。
この衝撃…軽さ的にユリアたんだな!(声でわかった)
「ゆ、ユリアか。」
「おおー!!おにーちゃん、よくわかったね!!!」
「まぁ俺くらいになると?気配だけで誰かわかるって言うか?うん、天才だから?うん。」
髪の毛をサラァッとかき上げ、ドヤ顔をして見せる。
「少年よ。また来てもらって悪かったのう。」
後ろを振り向くと王様が入ってきていた。この爺…いつの間に俺の背後に…?
「今おにーちゃん、ビクゥッってなったよ?」
「は、はは。さすが王様ですね。気配を消すのがお上手です。」
そうだ、そうに決まっている。天才の俺がわからないだなんて、さすが王様だぜ。
「いや、普通に入ってきたのじゃ。」
「はは。そんな馬鹿な。」
軽く笑いながらルルとヨヨの顔を確認する。顔を見るとウンウンとその通りだと言わんばかりに頷いていた。
くっ…気配察知的なスキルがあれば。
「ま、まぁそんな事より、ユリアとアリスが会いたいって?」
「そうなのじゃよ。まぁユリアは少年に懐いておるからわかるのじゃが、アリスが…のぅ。」
「アリスがどうかしたんですか?」
「あのね、おねーちゃんね、隠れんぼしてて探してくれなかったって怒ってたの。」
な、なんだって!?第一王女も隠れていた…だとっ。まさか本当に隠れていただなんて。
ドアを見るとジーっと俺の方をアリスが見ていた。
「なんか、ご、ごめんな?」
「…今度は探してくださいね?」
かわゆい!第一王女、いやアリスたん。ぐうかわですやん!!
鼻血が出てきそうになるのを抑え、俺はふと思う。
王族相手にタメ口じゃね…?
「すんませんでしたぁあ!!!」
気付いたら即土下座すべし!!
「え?」
「王族様にタメ口でずっと喋っていたでござりまする!!!申し訳ござらん!!!」
「「「えぇぇ」」」
「少年、今更じゃのう…。気にしとらんからその変なしゃべり方はやめるのじゃのぅ。」
「あ、マジですか!いやぁ、敬語苦手だから助かります。」
敬語は難しいからね!
「今のは敬語じゃないのじゃ…」
「ははは、ルルは冗談がうまいなぁ。」
「「「「「はぁ…」」」」」
「ユウタは馬鹿じゃな。」
誰だ、ルルにこんな言葉を教えた奴は。出てこい俺がぶん殴ってやる!
「馬鹿じゃないし!天才だし!」
「馬鹿じゃから薬草だっていっぱい取るんじゃ。」
「ばッ!!」
時は既に遅し。急いでルルの口を手でふさいだがそこにはもちろん王族御一行が。
「薬草をいっぱい?」
「い、いや。あの。」
「…まさか薬草を乱獲したのかのぅ?」
やばい、どうしよう。捕まっちまうよパトラッシュ。
「ままま、まさかぁ!そんな訳ないじゃないですかぁ!そんな事したら法律違反で逮捕されちまうっすよぉ!こんな善良な市民がそんな事しませんって!」
一心不乱で誤魔化すしかない。
「ほほう。正直に言えば許してやらんこともないんじゃがのぅ…」
なんだって!
「乱獲しました、申し訳ございませんでしたぁあ!!!」
許してくれるとあらば俺のしょうもないプライドは捨て、高速土下座をする。それが社会ってもんよ!
「…ふむ。なぜ乱獲をしたのじゃのう?」
「全く知らなかったからであります!!」
「知らなかった?」
「はい!そんな法律全く知らなかったであります!」
俺の故郷にそんな法律は無かったんだし、知る訳ないじゃないか。乱獲禁止なら薬草が生えてるポイントごとに乱獲禁止の看板を立てとけってんだ!
「大陸全域で禁止されとるんじゃがのう?」
「大陸外から来た者でして。」
「大陸外からのう…?」
嘘は全くついていない。つまり今俺は正義なのだ(?)
「信じてくださいませ!!」
「まぁいいのじゃのう。」
だよな、こんな程度で許されるはずが
「っていいの!!??」
「嘘じゃないことはわかったしのう。」
この爺さん。いや王様は神か?神なのか?いや、髪はちょっとないけど!!
「そんな簡単に信じていいんですか?」
「ワシャのスキルで嘘探知というのがあってのう?それで反応が無かったからいいのじゃのう。まぁ次からは少年の好きな牢行きなのじゃのう。」
そんな便利なスキルがあるというのか…!あ、鑑定すればよくね?
【名前】ベルド・アッシュ・クライル
【種族】人間
【性別】男
【年齢】68
【職業】王
【称号】クライル王
【レベル】43
【体力】460
【魔力】30
【攻撃力】480
【防御力】150
【敏捷性】80
【スキル】嘘探知II(55/100)・剣術II(85/100)
【固有スキル】王の威厳
【アイテムスキル】ーー
【魔法】ーー
【従魔】ーー
…初期の俺より強いやないか。
ふっ、これだけ頻繁に城に来たんだ。俺はもう王族と言っても過言ではなかろう。ふふふ…。
「ユウタ、何ニヤニヤしてるのじゃ?」
「ちょっと気持ち悪いかなぁ…?」
顔を見るとルルとヨヨが引いていらした。それ以上引かれたくはないのでスッと真顔に戻す。
「余計顔が歪んだのじゃ。」
「もっと気持ち悪いかなぁ。」
お母さん。お元気ですか?俺はもう挫けそうです。でも俺は強く生きるよ。ルルにも負けず、ヨヨにも負けず。
「ユウタ様。こちらでお待ち下さい。」
執事に案内された部屋にあった椅子に座り大人しく待っていると、背後のドアがガチャリと音を立てた。
「おにーちゃん!」
背後から俺の首に強烈な打撃をくらった。
この衝撃…軽さ的にユリアたんだな!(声でわかった)
「ゆ、ユリアか。」
「おおー!!おにーちゃん、よくわかったね!!!」
「まぁ俺くらいになると?気配だけで誰かわかるって言うか?うん、天才だから?うん。」
髪の毛をサラァッとかき上げ、ドヤ顔をして見せる。
「少年よ。また来てもらって悪かったのう。」
後ろを振り向くと王様が入ってきていた。この爺…いつの間に俺の背後に…?
「今おにーちゃん、ビクゥッってなったよ?」
「は、はは。さすが王様ですね。気配を消すのがお上手です。」
そうだ、そうに決まっている。天才の俺がわからないだなんて、さすが王様だぜ。
「いや、普通に入ってきたのじゃ。」
「はは。そんな馬鹿な。」
軽く笑いながらルルとヨヨの顔を確認する。顔を見るとウンウンとその通りだと言わんばかりに頷いていた。
くっ…気配察知的なスキルがあれば。
「ま、まぁそんな事より、ユリアとアリスが会いたいって?」
「そうなのじゃよ。まぁユリアは少年に懐いておるからわかるのじゃが、アリスが…のぅ。」
「アリスがどうかしたんですか?」
「あのね、おねーちゃんね、隠れんぼしてて探してくれなかったって怒ってたの。」
な、なんだって!?第一王女も隠れていた…だとっ。まさか本当に隠れていただなんて。
ドアを見るとジーっと俺の方をアリスが見ていた。
「なんか、ご、ごめんな?」
「…今度は探してくださいね?」
かわゆい!第一王女、いやアリスたん。ぐうかわですやん!!
鼻血が出てきそうになるのを抑え、俺はふと思う。
王族相手にタメ口じゃね…?
「すんませんでしたぁあ!!!」
気付いたら即土下座すべし!!
「え?」
「王族様にタメ口でずっと喋っていたでござりまする!!!申し訳ござらん!!!」
「「「えぇぇ」」」
「少年、今更じゃのう…。気にしとらんからその変なしゃべり方はやめるのじゃのぅ。」
「あ、マジですか!いやぁ、敬語苦手だから助かります。」
敬語は難しいからね!
「今のは敬語じゃないのじゃ…」
「ははは、ルルは冗談がうまいなぁ。」
「「「「「はぁ…」」」」」
「ユウタは馬鹿じゃな。」
誰だ、ルルにこんな言葉を教えた奴は。出てこい俺がぶん殴ってやる!
「馬鹿じゃないし!天才だし!」
「馬鹿じゃから薬草だっていっぱい取るんじゃ。」
「ばッ!!」
時は既に遅し。急いでルルの口を手でふさいだがそこにはもちろん王族御一行が。
「薬草をいっぱい?」
「い、いや。あの。」
「…まさか薬草を乱獲したのかのぅ?」
やばい、どうしよう。捕まっちまうよパトラッシュ。
「ままま、まさかぁ!そんな訳ないじゃないですかぁ!そんな事したら法律違反で逮捕されちまうっすよぉ!こんな善良な市民がそんな事しませんって!」
一心不乱で誤魔化すしかない。
「ほほう。正直に言えば許してやらんこともないんじゃがのぅ…」
なんだって!
「乱獲しました、申し訳ございませんでしたぁあ!!!」
許してくれるとあらば俺のしょうもないプライドは捨て、高速土下座をする。それが社会ってもんよ!
「…ふむ。なぜ乱獲をしたのじゃのう?」
「全く知らなかったからであります!!」
「知らなかった?」
「はい!そんな法律全く知らなかったであります!」
俺の故郷にそんな法律は無かったんだし、知る訳ないじゃないか。乱獲禁止なら薬草が生えてるポイントごとに乱獲禁止の看板を立てとけってんだ!
「大陸全域で禁止されとるんじゃがのう?」
「大陸外から来た者でして。」
「大陸外からのう…?」
嘘は全くついていない。つまり今俺は正義なのだ(?)
「信じてくださいませ!!」
「まぁいいのじゃのう。」
だよな、こんな程度で許されるはずが
「っていいの!!??」
「嘘じゃないことはわかったしのう。」
この爺さん。いや王様は神か?神なのか?いや、髪はちょっとないけど!!
「そんな簡単に信じていいんですか?」
「ワシャのスキルで嘘探知というのがあってのう?それで反応が無かったからいいのじゃのう。まぁ次からは少年の好きな牢行きなのじゃのう。」
そんな便利なスキルがあるというのか…!あ、鑑定すればよくね?
【名前】ベルド・アッシュ・クライル
【種族】人間
【性別】男
【年齢】68
【職業】王
【称号】クライル王
【レベル】43
【体力】460
【魔力】30
【攻撃力】480
【防御力】150
【敏捷性】80
【スキル】嘘探知II(55/100)・剣術II(85/100)
【固有スキル】王の威厳
【アイテムスキル】ーー
【魔法】ーー
【従魔】ーー
…初期の俺より強いやないか。
0
お気に入りに追加
1,763
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
召喚アラサー女~ 自由に生きています!
マツユキ
ファンタジー
異世界に召喚された海藤美奈子32才。召喚されたものの、牢屋行きとなってしまう。
牢から出た美奈子は、冒険者となる。助け、助けられながら信頼できる仲間を得て行く美奈子。地球で大好きだった事もしつつ、異世界でも自由に生きる美奈子
信頼できる仲間と共に、異世界で奮闘する。
初めは一人だった美奈子のの周りには、いつの間にか仲間が集まって行き、家が村に、村が街にとどんどんと大きくなっていくのだった
***
異世界でも元の世界で出来ていた事をやっています。苦手、または気に入らないと言うかたは読まれない方が良いかと思います
かなりの無茶振りと、作者の妄想で出来たあり得ない魔法や設定が出てきます。こちらも抵抗のある方は読まれない方が良いかと思います
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
転生幼女の異世界冒険記〜自重?なにそれおいしいの?〜
MINAMI
ファンタジー
神の喧嘩に巻き込まれて死んでしまった
お詫びということで沢山の
チートをつけてもらってチートの塊になってしまう。
自重を知らない幼女は持ち前のハイスペックさで二度目の人生を謳歌する。
楽しい転生
ぱにこ
ファンタジー
大往生で亡くなった主人公。次の転生先は……あれ?これ前世でプレイした乙女向けRPGゲームじゃない?
しかも、私……悪役令嬢!!
回想にしか登場しない悪役令嬢に転生したルイーズ。いずれ召喚される巫女様(ヒロイン)が恋愛せず、帰還EDを迎えると、この世界の終焉になることに気付きました。世界の行く末を巫女様の恋心に委ねるのは、あまりにも危うい。これは、どのEDを迎えても良いよう攻略対象者を強化せねばいけませんね。
目指すは邪神討伐!
前世の知識をフル稼働し対策を練るも、まだ少女……儘なりません。
贖罪のセツナ~このままだと地獄行きなので、異世界で善行積みます~
鐘雪アスマ
ファンタジー
海道刹那はごく普通の女子高生。
だったのだが、どういうわけか異世界に来てしまい、
そこでヒョウム国の皇帝にカルマを移されてしまう。
そして死後、このままでは他人の犯した罪で地獄に落ちるため、
一度生き返り、カルマを消すために善行を積むよう地獄の神アビスに提案される。
そこで生き返ったはいいものの、どういうわけか最強魔力とチートスキルを手に入れてしまい、
災厄級の存在となってしまう。
この小説はフィクションであり、実在の人物または団体とは関係ありません。
著作権は作者である私にあります。
恋愛要素はありません。
笑いあり涙ありのファンタジーです。
毎週日曜日が更新日です。
異世界でチート能力貰えるそうなので、のんびり牧場生活(+α)でも楽しみます
ユーリ
ファンタジー
仕事帰り。毎日のように続く多忙ぶりにフラフラしていたら突然訪れる衝撃。
何が起こったのか分からないうちに意識を失くし、聞き覚えのない声に起こされた。
生命を司るという女神に、自分が死んだことを聞かされ、別の世界での過ごし方を聞かれ、それに答える
そして気がつけば、広大な牧場を経営していた
※不定期更新。1話ずつ完成したら更新して行きます。
7/5誤字脱字確認中。気づいた箇所あればお知らせください。
5/11 お気に入り登録100人!ありがとうございます!
8/1 お気に入り登録200人!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる