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第十五話 超馬鹿妹 まじか☆マジダ
しおりを挟む「お兄……お正月ってどうしてこんなにやる気がでないのかな?」
「まあ、寝正月という言葉がこの国にあるくらいだからこれがふつうだろ……」
正月から二、三日が経った。
外は寒く出ていく気を著しく削ぐうえに、この時期のテレビは特番なんかで面白いものが多い。
そもそも行くところもすることもない。
俺たちはそんな理由で、こたつの中に入りみかんを食べるという鉄板スタイルで正月を満喫していた。
俺も結希もこたつから一歩も出ずに朝から怠惰に過ごしている。
……まあ、これは仕方ない、不可抗力だ。
正月って言ったらこんなもんだろ?
完全に気の抜けた表情で俺はこたつにうずくまった。
結希も何もする気が起きないといった様子だ。
あれ?物凄く平和だ……万歳!正月万歳!
俺は過去にないくらいに幸せそうな笑みを浮かべる。
そして、俺はみかんを食べる結希に向き直ると、やはり気の抜けた声で話しかける。
「結希……みかんは普通皮じゃなくて実をたべるんだぞ?」
「あ、そっか~だからあんまり美味しくないのか~」
結希は、みかんの皮を剥き、中の実は机に置き、その皮を食べていた。
それを見た俺はすかさず注意する。
しかし、心は瞑想した後のように落ち着いていた。
……いつもなら興奮して突っ込んでいたような結希の奇行も、今は突っ込む気力も起きない。
突っ込む気も、気にする気すらもない俺は結希と同じようにみかんを食べ始める。
やはり、みかんは美味しいな……。
ここ最近ではありえなかったリラックスできる時間に俺は存分に浸っていた。
すると、同じく気の抜けた表情の結希が話しかけてきた。
「あ、そういえばお兄……今日誰かと結束があるって言ってなかったっけ~?」
「おいおい、それを言うなら約束だろ?漢字が似てるせいで読者が気づかないかもしれないようなボケはやめとけよ……
って約束!?はっ!完全に忘れてた!」
俺は仏のような表情から一変、水泳で息継ぎをしないで泳ぎ、限界直前で水面に上がって息継ぎをしたときのような顔になる。
……完全に忘れていた。
今日は瞬(※忘れた人は第五話参照)と一緒にカラオケにいく予定だった。
あいつだけなら別に遅れても大丈夫なのだが、今日来るもう一人のやつがいるので遅れると絶対にやばいことになる。
確か約束の時間は12:00に現地集合。
ここからはだいたい15分ほどでつくところだ。
今の時間は……
11:45
「……wow」
「あれ?どうしたの?急にアフリカ人みたいになって」
「アメリカだよチクショー!微妙に諦められない時間なのが尚更嫌だよ!……結希、留守番頼んだぞ!」
俺は急いで外出用の服に着替えると、すぐに家を出た。
そして、自転車に乗ってカラオケまで全力でこいでいると
……後ろから走って地球外生命体が追いかけてきた。
「ねぇ~お兄~!ルスバンって何~!」
「はあああああああ!?」
ーーーーーーーー
「あれ?妹さんと一緒に来たんだ?」
「ははっ!俺は別にいいけどな」
約束の時間、カラオケ屋には俺と瞬と俺の友達の矢田 浩樹……そして、結希がいた。
……もう嫌だ!この妹!
全く息を切らしていない結希を見て、俺は息を切らした状態で声にならない言葉を心の中で叫んだ。
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