妹の馬鹿さが既に恐怖の域に達している!?

筒猫

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第十三話 あの日見た妹の奇行を僕たちはまだ理解できない。~下~

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 ※第十二話の続きです
 
 「なんだ……これは?」

 「えっとそれはね!………何?」

 「俺が聞いてるんだ!」

 結希の部屋の大掃除が始まり、俺達は順調に結希の部屋のがらくたを片付けて行った……途中、カビの生えたおにぎりや、鉄と鉄を溶接する機械など、おかしなもののオンパレードだったが。
しかし、そんな俺達の前に本当に未知のものが突如立ちはだかった。

 ……部屋に無造作に置かれた、謎の変な形をしたそこそこ大きい割れた石だ。

 正直に言おう……気持ち悪い。

 苔が所々あったり、赤い字で何か文字が書かれている……この石、呪われている気しかしない。
ヤバイ臭いがプンプンする。

 そんなすこし顔がひきつり出した俺を見て結希は、急に心外だ!と言わんばかりに俺にこう言った。

 「私の部屋なんだから未知のものではないはず!」

 「お前の部屋だから未知の可能性があるんだよ!」

 「……なっ!で、でも!私はこの石見覚えある……もん?」

 「疑問にするな!」

  興奮のあまり立ち上がった結希の後ろに結希が経験したこと無いはずの、野球のキャッチャーマスクがあったが、気にしないことにしよう。
 しかし、そこで俺はあることを思い出していた。
 ……当然、野球についてではない。

 確か、小学三年生の時にこんな石をみた覚えがある……。

 そういえば七年前、俺はこの石をもって結希の部屋にいたのだ。
……確か、小学校に入学したばかりの結希を心配していたからだった気がする。
あれ?何をしに結希の部屋に行ったんだっけ?

 【七年前】

 「よし!これでよし!」

 ついこの前、妹の結希が小学校に入学した。
 ……ああ、心配だ。

 俺の可愛い結希が変な男子にまとわりつかれてしまう!

 そんなことになったら結希はきっと、困るだろう。

 だから今日はこのお守りの石を結希の部屋に置きにきたのだ……ヤバイ、俺ってすげえいいお兄ちゃんじゃん! 

 俺はこの前映画でみた、神社とかに置かれている石を自分で作って、結希の部屋の物置に置こうとしていた。
 神社って神様の場所って聞いたことがあるから縁起がいいに決まっているよな。

 ……っていうか、見よう見まねで作ったけど、この『呪』ってどんな意味なんだろう?

 まあ、いいか!これで、結希の周りに男子が群れることはなくなるはずだ!

 「あっ!お兄ちゃん!……なんで結希の家にいるの?」

 「……えっ!って家にいるのは当たり前だろ!それをいうなら部屋にだ!………ああっ!」

 俺は、急に入ってきた結希には動揺しなかったが、ツッコミを入れたときに手の力が抜けてしまった。
 ガラアアアンっ!と音をたてて俺の手から落ちた石が割れる。
……まあ、割れても効果ある、よな?

 「結希……この石を大事にするんだぞ」

 「……え?なんで?なにこの石?怖い」

 テンションが完全に下がりきった俺は、シャツをズボン代わりに着ている結希に「着替えとけよ」と一言付け足してから自分の部屋へ戻った。  

 *****

 ………黒歴史か。

 完全に思い出して、俺が頭を押さえて過去の自分を後悔していたとき、結希は急にひらめいたような様子になる。

 「……っていうかこの石!確かお兄が持ってき……」

 「結希!もうすぐで片付け終わるから頑張ろう!」

 「……いやでも、これお兄が」

 「さあ!明日までに絶対に終わらせるぞおおお!」

 有無を言わせない俺に結希は困惑するのだった。
余談だが、片付けは年越し直前まで続いた……。



 まあ、俺にも結希が可愛くて仕方なかった時期があったらしい………だが、今を思うとやはり過去の話のようだ。

 俺は一年を振り返り、遠い目をした。

 
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